ウクライナ

2022.06.9

ロシア軍に打ちのめされたウクライナ軍は士気が低下、兵士の脱走が増加

英国のIndependent紙は9日、東部戦線でロシア軍の圧倒的な火力に打ちのめされたウクライナ軍は「脱走を試みる兵士の増加に悩まされている」と報じている。

ウクライナ軍とロシア軍の砲兵戦力比は1対20、保有弾薬比は1対40、攻撃範囲比は1対12

ウクライナや西側諸国の諜報機関が作成した報告書を入手したIndependent紙は「ウクライナ軍とロシア軍の砲兵戦力比は1対20、保有弾薬比は1対40、攻撃範囲比は1対12で、圧倒的な火力にウクライナ軍は打ちのめされている。ドンバス地域だけで1日100人以上の戦死者が発生する事態に士気が低下、ウクライナ軍は兵士の脱走増加に初めて直面している」と報じており、マリウポリでウクライナ軍部隊が降伏したため「ロシアとの交渉力も低下した」と指摘している。

ウクライナ軍が公式に発表している捕虜の数は「1,000人」だが、実際にはロシア軍との捕虜交換によって550人まで減少しているらしい。

一方のロシア軍はマリウポリで2,500人以上のウクライナ軍兵士が投降したため5,600人以上の捕虜を確保しており、ゼレンスキー大統領は英雄に祭り上げられたマリウポリの兵士全員をウクライナに連れ戻すと国民に約束したが、報告書は「ロシアは1対1の捕虜交換にしか応じないため和平交渉成立まで多くの捕虜がロシアの刑務所に収監される可能性がある。これを利用してクレムリンはウクライナ国内に政治的な不安定を作り出そうと試みる可能性が高い」と予想している。

Independent紙は報告書の出処を明かしていないが、他にも「ウクライナ軍はBM-27(最大射程70km)とBM-30(最大射程90km)で使用するロケット弾の在庫を完全に使い尽くしており、武器の数が敵よりも少なく、射程も短く、弾薬の数も少なければ戦いに勝利できないのは明白だ。首都攻防で米国や英国が提供した対戦車ミサイルはロシアの戦車に有効性を証明したものの、大砲や多連装ロケットランチャーの前では効果を発揮できない」と指摘しており、火力の投射量がそのまま結果に反映されたという意味だろう。


元アフガニスタン空軍のMi-17ヘリはウクライナ軍のもとへ

  • 2022-06-06

アメリカ政府はウクライナの支援としてロシア製の多用途ヘリコプター「Mi-17」を提供しています。実はこの機体、もともと、アフガニスタン支援のためにアメリカがロシアから購入し、アフガニスタン空軍で使用されていた機体になります。

16機のMi-17を提供

アメリカはウクライナにロシアの侵攻初期に5機の中型多目的ヘリMi-17を提供、そして5月には追加で11機が提供され、その写真が公開されました。しかし、その機体にはウクライナの環境には合わない、中東・砂漠仕様の迷彩ペイントが施されています。実はこの機体、昨年8月までアフガニスタン空軍で運用されていた機体になります。

タリバンから逃れた機体

2013年、アメリカはアフガニスタン空軍で使用するために以前から使用され、扱いにも慣れたロシア製のMi-17ヘリ30機をロシアの軍事輸出企業Rosoboronexportから総額5億7千万ドルで購入します。Mi-17は1970年代にソ連で開発され、ロシア国内ではMi-8と呼ばれ、今なお生産が続く、ロシア製(ソ連製)ヘリとしては最も成功したヘリです。安価でタフで整備しやすく、これまで延べ17000機が製造されています。3人の乗組に加え、24人の人員、12個の担架、または約4,000kgの貨物を運ぶことができます。輸送、偵察の他、武装換装して攻撃ヘリとしても使用できる多目的ヘリです。

アフガニスタンではタリバン掃討のために活躍するも、昨年8月にタリバンがアフガニスタン全土を制圧すると、アフガニスタン政府軍は極一部を除いて早々に降伏、多くの兵器がタリバンの手に渡ります。しかし、空軍は基地が完全にタリバンに制圧される前に数十機のヘリと航空機が空路、隣国のウズベキスタンやタジキスタンに脱出、タリバンによる鹵獲を免れました。その中には約20機のMi-17もあったとされ、脱出した機体はその後、米軍基地に移動され、米軍の管理下になります。

脱出したMi-17の管理状態はよくなかったため、メンテナンスが必要でしたが、2014年にロシアがクリミア侵攻を行っていたこともあり、Rosoboronexportとの取引は不可能。そこで、目を向けられたのがウクライナでした。2014年以降、ロシアと対立するウクライナは兼ねてから独自にMi-17のオーバーホールを実施、スペアパーツの製造を行うなど、既に中東やアフリカからメンテナンスの業務を請け負っていました。アメリカは少なくとも5機のMi-17をメンテナンスのためにウクライナに送ります。ロシアの侵攻が始まった時、この5機はまだウクライナ国内にありました。アメリカが侵攻初期に提供した最初の5機というのは、メンテナンスのために送られていたものをそのまま提供したものになります。

ウクライナに提供された機体はその後、ウクライナの環境とウクライナ軍仕様に合わせる形で再ペイントされ、戦線に投入されます。

侵攻初期の圧倒的航空劣勢ではなくなったウクライナ軍は5月以降、ヘリ部隊も積極的に投入、兵員輸送や負傷兵の運搬の他に攻撃ヘリとしても活躍しています。また、アメリカが提供した155mm榴弾砲M777は重量約4.2トンでMi-17でロープ牽引して輸送することが可能であり、迅速な砲兵陣地の展開を可能にしています。

mod ukraineウクライナ南東部の港湾都市マリウポリがロシア軍によって制圧される前、アゾフスタル製鉄所に立て籠もり、最後まで抵抗を続けたアゾフ連隊。彼らがロシア軍に包囲されながらも82日間という長期に渡って抵抗を続けられたの[...]

5月末には16機のMi-17からなる輸送部隊が82日間に渡ってマリウポリのアゾフスタル製鉄所で抵抗を続けていたアゾフ大隊に7度に渡る決死の輸送作戦を実施し、弾薬や食料、兵員を輸送していたことが明らかになりました。この作戦では3機のMi-17を失っています。


2022.06.6

反撃が続くセベロドネツクの戦い、ウクライナ軍が市内の約80%を支配か

セベロドネツクを巡る攻防で反撃に出たウクライナ軍は6日朝までに「市内の70~80%を奪還した」という報告があり、占領されていたVoronoveからロシア軍を追い出して防衛ラインを構築することにも成功したらしい。

6月10日までに「セベロドネツク占領」もしくは「補給ルート遮断」を達成するのは困難になってきたロシア軍

セベロドネツク市当局者は「ウクライナ軍は市内からロシア軍を完全に追い出す」と明かし、英国防省も「過去24時間に行われたウクライナ軍の反撃で市内のロシア軍は勢いを失った可能性がある」と発表していたが、ウクライナ軍は6日までに市内の「80%」を奪還した可能性がある。

出典:GoogleMap 大まかなセベロドネツク周辺の状況/管理人加工

大通りの支配を失い市庁舎やミールホテルのある一角に押し込められたロシア軍の占領地域は目に見えて縮小しており、ネット上にアップされる戦闘の様子を検証した人物は「ウクライナ軍が市内の75%~80%を確保している」と述べており、別の人物は「ウクライナ軍が市内の80%以上を奪還したのを電話で確認した」と主張しているのが興味深い。

まだ政府や軍関係者の公式な発表はないが、ルハーンシク州知事のガイダイ氏が「ロシア軍を押し戻して市内の50%を確保した」と4日に明かして以降もウクライナ軍は着実に前進しているのは確かで、ロシア軍をセベロドネツク市内から追い出す可能性が高まっている。

因みにロシア軍は6月10日までに「セベロドネツクの完全占領」もしくは「バフムート~リシチャンシク間の補給ルート遮断」のどちらか一方を達成するよう要求されているとガイダイ氏は明かしているが、セベロドネツクからは追い出される寸前で、幹線道路のT1302を巡る戦いではルガンスク人民共和国の第一軍団を率いていたロシア軍のクトゥーゾフ少将が部下を自ら率いて戦闘中に戦死(公式にウクライナ軍が確認)しており、どちらの要求も実現するのが困難な状況だ。


2022.06.6

米軍のものより優れたウクライナ軍の砲兵システム、PzH2000への統合が完了

イタリア陸軍で勤務経験をもつトーマス・タイナー氏は5日、ドイツとオランダがウクライナに提供するPzH2000は特別仕様だと明かして注目を集めている。

PzH2000はGISArtaに統合されたことで運用効率が上がり、戦場に投入されればロシア軍にとって恐ろしい存在になる

ロシア軍との戦いに不可欠な自走砲をウクライナを送るためドイツととオランダは計12輌(ドイツ7輌+オランダ5輌)のPzH2000を提供する予定だが、イタリア陸軍で勤務経験をもつトーマス・タイナー氏は5日「ドイツとオランダがウクライナに提供するPzH2000は特別仕様だ」と明かして注目を集めている。

ドイツ軍関係者へのインタビューを行ったタイナー氏は「ウクライナ軍、オランダ軍、ドイツ軍のIT技術者、ウクライナ人翻訳家、自走砲を製造したKMWの技術者が集結してPzH2000のソフトウェアをウクライナ語にローカライズしただけでなく、GISArtaと呼ばれるウクライナ軍の砲兵管理システムも統合した」と言及している点が非常に興味深い。

ウクライナでの地上戦は両陣営とも無人機や市販のドローンを大量に投入して戦場認識力を拡張しており、戦場の霧に紛れることが難しくなった地上部隊は分散運用が基本だ。

この戦いで主役を務めているのは戦車や歩兵戦闘車ではなく射程の長い榴弾砲や多連装ロケットシステムで、ウクライナ人が開発した砲兵管理システム「GISArta」は無人機やドローンがもたらす敵の位置情報を元に「戦場の分散した砲兵部隊の中から目標に攻撃するのに誰が最適なのか?」を素早く判断して射撃情報を送信、兵士は送られてくる指示通りに砲撃を行えば分散した砲兵部隊の火力を集中運用することができ、位置や武器が異なる砲兵部隊による同着攻撃もGISArtaを使用すれば数秒で準備が整うらしい。

米国の国防関係者もウクライナ軍が使用するGISArtaについて「目標の特定から砲撃開始まで最短でも1分かかる米軍のシステムより優れている」と述べており、圧倒的な砲兵戦力を誇るロシア軍に相手に「数で劣るウクライナ軍」が善戦しているのは砲兵戦力の運用効率に秘密があるのだろう。

つまりドイツとオランダが提供するPzH2000は「米軍のシステムより優れている」と評価されるGISArtaに統合されたことで運用効率が上がり、戦場に投入されればロシア軍にとって恐ろしい存在になるという意味だ。


2022.06.6

ウクライナ、ベルギーが民間企業に払い下げたM109A4の入手に成功

ベルギーのデドンダー国防相は2日、出席した下院の委員会で「ウクライナは我々が民間企業に払い下げたM109を手に入れた」と明かした。

ウクライナが保管されていたM109A4を全て入手していればノルウェー提供分と合わせてM109は84輌になる

ベルギー国防省は2008年に64輌のM109A4とスペアパーツをFlanders Technical Supply(世界中から余剰装備を専門的に買取る企業)に計175万ユーロで払い下げたのだが、この装備がFTSの倉庫に眠っていることに気づいたウクライナ当局は「M109A4を譲って欲しい」とベルギー国防省に連絡をしてきたらしい。

この装備について議員から質問されたデドンダー国防相は「FTSと連絡をとって(M109A4の買い戻し)交渉を始めようとしたが、再度FTSに連絡を入れると当該装備の売買交渉が成立した後だった」と明かし、交渉の詳細については把握していないものの「M109A4がウクライナに向かっている」とだけ付け加えており、デドンダー国防相の話を額面通り受け取れば「ウクライナはFTSと直接交渉してM109A4を買い取った」という意味になる。

因みにベルギー国防省がFTSにM109A4を払い下げた際、契約にM109A4の買い戻し条項を盛り込もなかったため「FTS側はベルギー国防省に買い取り金額の10倍=1,750万ユーロを要求した」という噂があり、もしかすると金額面でベルギー国防省とFTSの交渉が長引くと判断したウクライナが「言い値でFTSからM109A4を買い取った」とも解釈できるが、現在の戦況は金よりも圧倒的に時間の方が貴重なので「FTSの言い値で買い取る」という点は些末な問題なのだろう。

もしウクライナが保管されていたM109A4を全て入手していればノルウェー提供分(M109A3GN×20輌)と合わせてM109は84輌となり、イタリアもPzH2000かM109A3の供与を検討(FH70を提供したので自走砲の提供は見送られた可能性もある)していると報じられているのでウクライナに集まるM109の数はもっと増えるかもしれない。


2022/06/04 12:00

高額求人でも兵士が集まらない...ロシア軍が短期決戦を図るワケ

ウクライナ東部への攻撃を強化するロシア軍だが、ドンバス地方制圧を急ぐ背景には相当の焦りがあるようだ。兵力を集約させ短期決戦を図るロシアは、兵士の頭数不足により長期戦の維持が困難となってきている。

ロシアの独立系報道機関『モスクワ・タイムズ』は5月下旬、「ウクライナによる決然とした防衛」を相手にロシア軍が複数の前線で交戦しており、これが「ロシアの歩兵予備隊をひどく減損させた」と報じた。

結果、このところロシア国内の複数の都市で、兵員募集の横断幕などが多く見られるようになっている。同紙によるとモスクワ近郊の都市では、現地の平均月給の4倍をうたう募集が確認されており、その提示金額は17万ルーブル(約35万円)にも達する。高額での勧誘に、前線での深刻な欠員が透けてみえるかのようだ。

しかし、高額募集をもってしても兵力の補充は追いついていない。モスクワ・タイムズ紙は軍事アナリストの見解として、ロシア軍が「その場しのぎで編成した軍」で急場をしのいでいるとの分析を報じた。苦境のロシア軍は各部隊で生き残った残党を寄せ集め、応急的な部隊を編成して前線を維持している模様だ。

一般に、侵攻する側の軍が敵陣を落とすには、防御側の3倍の兵力が必要だとされる。しかしイギリス当局の分析によると、ロシア軍は優勢を確保するどころか、2月の侵攻開始以来投入した兵力の3分の1をすでに失った。兵力比3対1には「ほど遠い」状態だとモスクワ・タイムズ紙は嘆く。

つぎはぎだらけのロシア部隊

軍事アナリストのミカエル・コフマン氏は5月14日、外交・安全保障誌『ワー・オン・ザ・ロックス』によるポットキャスト番組に出演し、「現段階においてロシア軍は、複数部隊の一部をその場しのぎで編成した軍でこれ(ウクライナ軍)と戦っている」と述べ、兵力の限界を指摘している。

氏はその要因として、「彼らが抱えている最大の課題は、欠員を効果的に穴埋めできず、交代できる部隊を持ちあわせていないという点にある」とも論じた。ロシア軍の現状に関しては、前線投入に備える予備隊が決定的に不足しているとの分析が各所から上がっている。

ロシア側が打てる手段としては、徴兵による兵力増強が考えられる。ロシアでは毎年、春と秋に18~27歳の男性を徴兵し、1年間の兵役に就かせている。今年も4月から春の徴兵が始まった。しかし、侵攻中の徴兵に対し、国民の拒否感は根強い。カタールのアルジャジーラは、ウクライナ侵攻の長期化を受け、「兵役の回避を手助けしてほしいという嘆願」がロシアの人権団体に多く寄せられていると報じている。

政権は火消しに躍起だ。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は国内紙に対し、「徴兵された者たちはいかなる危険地帯へも送られることがないことを強調したい」と述べ、ウクライナ情勢とは無関係であると遠回しに主張した。しかし、この言葉を頭から信じている国民はむしろ少数派にとどまるだろう。

ウクライナに派兵された息子たちを母親が取り返す

すでにウクライナへ派兵された兵士に関しても、検察を通じて帰国の権利を勝ち取る家族が現れた。米インサイダー誌が英BBCの報道として伝えた話によると、あるロシア人の母親は2人の息子を国にかえすようロシア当局に迫り、奪還に成功している。

安全のためマリーナという仮名で取材に応じたこの母親は、息子たちはウクライナ行きに同意していないはずだとして軍事検察に調査を要求し、2人をウクライナから帰国させた。

軍の将校は当初、母親に対し、息子たちはウクライナ派兵に同意する契約書にサインを済ませていると説明していた。しかし、母親の請求を受けた軍事検察が調査に乗り出したところ、そのような事実はないことが確認された。こうして当該兵2名はロシアへの帰国が認められた。

一命を取り留めた兵士たちだが、戦地からの帰還後はすっかり別人のようになってしまったという。母親は訴える。「目をみればわかります。別の人です。幻滅しています。明るい未来、平和と愛を、もう一度信じてほしいのです」

破れた服の息子たちに戦地で何をみたのかと聞くと、彼らはただこう答えた。「あそこで何が起きたかは、知らないほうがいい」

英紙「徴兵逃れがますます増加している」

ウクライナ派兵に対するロシア国民の抵抗感を象徴するかのように、このところ徴兵逃れが目立ちはじめている。英エクスプレス紙は5月、プーチンの戦争動員は「ボロボロの状態」であり、「徴兵逃れがますます増加している」と報じた。

ロシアの状況は、フランスでも注目を集めている。軍事研究家のクリスティン・デュゴン氏は、フランス上院が出資する議会チャンネル『パブリック・セナート』に出演し、ロシアでは「多くの人々のあいだで、徴兵逃れの傾向やその試みがみられます」と指摘した。

シングルマザーと結婚する、教育機関に入学する、医師の診断書を得るなど、「あらゆる手段を複数並行して」使うことで、人々は兵役を回避しようと躍起になっているのだという。

こうした現状を受けデュゴン氏は、兵の頭数の不足により、プーチンの軍勢が縮小する可能性すらあると論じている。

無計画な戦場から逃亡する兵士たちも

兵士不足に追い打ちをかけるように、戦地から逃亡を図るロシア兵も相次ぐ。食糧の調達難などで生存環境が悪化し、兵士たちの戦闘意欲を削いでいる。軍事ニュースサイトの米『ソフレプ』は、給与目当てに兵役に登録したロシア側の契約軍人の例を報じた。

イワンと名乗るこの21歳の兵士は、月給3万1000ルーブル(約6万5000円)の報酬に惹(ひ)かれて入隊を志願したという。2021年11月の入隊時点では、故郷の近くシベリア・ケメロヴォの街に配属され、毎日家に帰れるという説明を受けた。

ところが、契約から4カ月とたたずにプーチンがウクライナ侵攻に踏み切ったことで、急遽(きゅうきょ)戦地へと送られる。彼を待っていたのは、食糧もろくに補給されず、疲れ切った夜も廃屋に寝泊まりするという厳しい生活だった。

イワンがソフレプ誌に語ったところによると、「食糧がないため、ウクライナ軍が残していったものを何であれ食べなければならなかった」という。この兵士の件とは別に、ロシア軍内で6年前の戦闘食が配給されているとの報道も出ている。

新兵動員は違法のはずだが...プーチンが「戦争」と呼ばないワケ

前線で続々と倒れるロシア軍を補うべく、多くの新兵が、非常に基本的な訓練を受けただけの状態で実戦に駆り出されている。これは、ロシアの国内法にさえ抵触する恐れがある。

ロシアの国内法は、入隊4カ月未満の兵を戦地に送ることを違法と定めている。ソフレプ誌は、プーチンが戦争でなく「特別軍事作戦」との呼称にこだわる理由のひとつに、違法との指摘をかわしたいねらいがあるとみる。

実質的な犯罪行為が軍全体に横行していることになるが、上官たちは軍部の非を認めるどころか、若い兵たちの逃亡を糾弾するばかりだ。ある部隊では兵士たちが契約の解除を申し出ると、現地にロシア連邦保安局(FSB)の捜査官が現れ、離反は違法行為であると脅したという。上官の命令に背いて契約を解除することは軍事犯罪であり、刑事告発も免れないとの脅迫だ。

しかし、逮捕承知で逃亡を図る兵が後を絶たない。「ウクライナ(の戦地)に戻るよりは、刑務所に入るほうがまだましだ」とこの兵士は語る。

こうして兵の流出が続いた結果、軍の活動維持さえ危うくなってきている。イギリスの王立防衛安全保障研究所で陸上戦を専門とするニック・レイノルズ研究員は、モスクワ・タイムズ紙に対し、「ロシア軍のモデルを念頭に置き、(兵力の)損失を考慮に入れた場合、彼らは限界に近い状態で活動しているといえます」との分析を示した。

3分の1の兵力を失い、かつての勢いを失ったロシア軍

イギリス国防省諜報(ちょうほう)部は、ロシア軍が投入兵力の3分の1を失った可能性があると分析している。同省は軍事評価のなかで、ウクライナ東部でのロシア側の軍事行動は「勢いを失っており」、いまでは侵攻が「予定よりも大幅に遅延している」との分析を示した。英ガーディアン紙が5月に報じた。

北大西洋条約機構(NATO)のミルチャ・ジョアナ事務次長も同じく、ロシアの攻勢の衰えを指摘する。ジョアナ氏は5月、加盟各国外相との非公式の会談に先立つスピーチのなかで、「ロシアの残忍な侵略は勢いを失いつつある」との見解を示した。氏はNATO加盟国による支援を念頭に、「ウクライナがこの戦争に勝利できることを確信している」とも明言している。

米CNNの記者がプーチンへのメッセージを求めると、ジョアナ氏は次のように応じた。「したがって我々がプーチン氏に送りたいメッセージは、彼らが第2次世界大戦後としては最も残忍かつ皮肉な戦争を仕掛けたのだということだ。おそらく彼は、ウクライナの人々の勇気と西側の政治的結束にただただ驚愕(きょうがく)していることだろう」

忍び寄る戦線崩壊の足音

戦闘が予想外に長期化したことで、プーチンと軍上層部は国内からの批判にも対峙(たいじ)しなければならない厳しい状況に追い込まれた。本来ならば違法である入隊4カ月未満の若い兵士たちが戦地に送られ、その家族らが安否を気遣い眠れない夜を過ごしている。

高給に惹かれ、自らの意思で軍に関わった契約軍人に関しては、戦地での厳しい生活は織り込み済みだったとの指摘もあるだろう。しかし、侵攻前の2021年に契約を交わした兵士たちの胸中は複雑だ。祖国の防衛のために命を懸けるならばいざ知らず、「特別軍事作戦」と称する侵略戦争に寄せ集めの部隊で参戦させられ、敵軍の食べ残しを拾って命をつなぐ日々が続く。プロパガンダにより侵攻を正当化してきたプーチン政権も、遠からず国民感情の悪化に向き合うときを迎えるだろう。囁(ささや)かれるプーチンの健康状態の悪化を待つまでもなく、兵士の逃亡と欠員による戦線の崩壊で終わりを迎えるシナリオもあり得そうだ。


ロシアで「反戦の動き」高まりプーチン離れ加速 戦地では軍の内紛勃発!【一覧表付き】

公開日:2022/06/04 06:00 更新日:2022/06/04 06:00

 ロシア軍が攻勢を強めている。近く、ウクライナ東部ルガンスク州全域を制圧する可能性がある。一方、ここへきてロシア国内で一気に厭戦ムードが広がっている。反戦の声が次々と上がっているのだ。4月以降にあった、公然と戦争に反対する声や、反戦の兆候とみられる動きをまとめたのが<別表>だ。大手企業、起業家、人気司会者、退役軍人、ジャーナリスト、知事、地方議員、宗教界──と、あらゆる分野に及んでいる。5月9日の対独戦勝記念日でプーチン大統領は「祖国への献身は最高の価値であり、ロシアの独立を支える強固な支柱だ」と団結を訴えた。国威発揚を狙ったのだろうが、むしろ、戦勝記念日以降、反戦の動きが急増している。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)が言う。「日に日に各方面のプーチン離れが加速しています。プーチン大統領を取り巻く環境はカオス状態と言っていいでしょう。また、少なくないロシア兵は、何のために戦っているのか分からなくなっています。軍の部隊もバラバラになりつつあります」

6.12電撃首脳会談も

 どうやら、戦地では内紛も起きているようだ。ウクライナ保安庁が公開したロシア兵の会話とみられる音声では、部隊の内紛の様子がなまなましく証言されている。隊長が銃を振り回し、乱射を始めると、別の兵士が反撃しようと構える。「全員で銃撃戦になりそうだった」という。また、多くが前線に行くことを拒み、600人の部隊が215人になったとも証言している。ロシア国内のカバルジノ・バルカル共和国の軍事裁判所は26日、ウクライナへの出征を拒否した国家親衛隊員115人への除隊処分を「支持」した。ロシア当局が従軍拒否した兵士の存在を認めたのは初めてとみられる。

「これ以上の戦争遂行は難しいとプーチン大統領自身も感じているはずです。8日にラブロフ外相がトルコを訪問し、プーチン大統領のトルコ訪問を調整するようです。『ロシアの日』である12日にトルコでゼレンスキー大統領との首脳会談を実現し、『一時的停戦』に持っていく可能性があります。もし、近い将来に首脳会談ができなければ、プーチン降ろしが強まる可能性があります」(中村逸郎氏)和平か、政権崩壊か──ロシアの日に注目だ。 


「プーチンはすでに負けた」

歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが、そう断言する理由 ウクライナの国民は、人類の「分断を克服する力」を示した

世界的な賢人12人のインタビュー・論考をまとめた『ウクライナの未来 プーチンの運命』が話題だ。「人は想像を超える事態を目にすると、しばしば思考停止に陥るが、目を背けてはならない。考え続けなければならない。賢人たちの言葉は、私たちにより深い視座を与えてくれるはずだ」と編集を担当したクーリエ・ジャポン編集部は言う。同書より、『サピエンス全史』で知られる歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリのインタビューを特別公開する──。(第1回/全2回)

古い戦争と新しい戦争は両立する

──21世紀の戦争は、サイバー攻撃戦略やAI搭載兵器に決定づけられ、より冷淡で暴力性が低いものになるだろうと、私たちは考えていました。ところが、ウクライナ侵攻においては、ロシアが航空支援を受けた地上戦という昔ながらの図式に倣(なら)っている様を私たちは目撃しています。

【ハラリ】テクノロジーは野蛮に対立するものではなく、たいていはそれと両立するものです。最も発達したテクノロジーは、野蛮な暴君に貢献します。さらに歴史においては、古いものと新しいものは両立するのが常です。

人々はこの戦争がサイバー戦争になるだろうと予想していましたが、私たちは、火炎瓶で攻撃される戦車を目にしています。もちろん、サイバー戦争も並行して展開されています。

プーチンの空想が生んだ悲劇

──プーチンは、ロシアの軍事作戦の目的は「ウクライナの非軍事化と非ナチ化」であると宣言し、ウクライナ軍がネオナチに指揮されているというクレムリンの主張に言及しました。

【ハラリ】プーチンは正気を失い、現実を否定しているのだと思います。この戦争すべての基本的原因は、プーチンが頭のなかで空想を作り上げたことにあります。「ウクライナは現実には存在しない、ウクライナ人はロシアに吸収されたがっている、それを阻んでいるのはナチ一派だけだ」というものです。

この妄想のせいでプーチンは、ウクライナを侵略した瞬間にゼレンスキー大統領は逃亡し、ウクライナ軍は降伏し、国民は花を持ってロシアの戦車を出迎え、ウクライナはロシアの一部に戻るはずだと考えたのです。

けれど、彼は完全に間違っていました。ウクライナは現実に存在する、非常に勇敢な国家です。ゼレンスキーは逃亡しませんでした。ウクライナ軍は猛烈に戦っています。そしてウクライナ国民は、ロシア戦車に向かって花ではなく火炎瓶を投げつけています。

プーチンはこの国の大部分を征服するかもしれません。でも、手元に留め、吸収することはできないでしょう。それこそが彼の目標ですが、達成することはできないでしょう。

彼はすでに戦争に負けたのです。

人々の団結は一人の残酷な野心に勝利する

──ロシアによるウクライナ侵攻に誘発されたウクライナ国民の大脱出は、考えられない規模に及んでいます。ヨーロッパに混乱をもたらすというプーチンの目的の成功のほかに、この大量移住は何を意味しているでしょう?

【ハラリ】たった一人の残酷な野心が、いかに数百万人に悲惨をもたらすことが可能であるかを示しています。

でも私は、プーチンがヨーロッパを混乱させられるとは思いません。事実、彼はヨーロッパを1つにしています。ヨーロッパの人々は、誰も想像しなかったほど迅速で、強力な、全会一致の反応を見せています。

もしヨーロッパがこのまま団結し続けるなら、恐れることは何もありません。ロシア経済は、イタリアや韓国の経済よりも小規模です。ロシアの国内総生産(GDP、2020年)はおよそ1兆5000億ドル(約177兆9000億円)、ヨーロッパ全体のそれは約20兆ドル(約2370兆円)です(1ドル=118円で計算)。

リベラリズムとナショナリズムのあいだ

【ハラリ】ここ数年、ヨーロッパと西側諸国は、左派と右派、リベラル派と保守主義者のあいだの文化戦争に引き裂かれてきました。ウクライナがこの対立に終止符を打つ一助となってくれるかもしれません。いまは誰もが危険を察知しており、「自由」という中心的価値をめぐって団結できるかもしれないのです。

文化戦争は、間違った考えに基づいていました。ナショナリズムとリベラリズムのあいだには矛盾があるというものです。右派はナショナリズムを支持し、リベラリズムを拒絶しました。左派はリベラリズムを支持し、ナショナリズムを拒絶しました。

けれど、リベラリズムとナショナリズムが本当は連動していることを、ウクライナは証明しています。どちらも自由に関わるものです。

ウクライナ人は、自由な社会のために戦うのと同じぐらい、国家の自由のために猛獣のごとく戦っています。さらに彼らは、ナショナリズムとは、外国人を憎むことでもマイノリティを憎むことでもないのだと、私たちに思い出させています。

それは自国民を愛し、人が自分の未来を自由に選択するのを認めることなのです。

ナショナリズムとリベラリズムのあいだの深い繋がりをヨーロッパが思い出せるなら、地域内の文化戦争を終結させることができ、プーチンを怖れる理由は何もなくなるでしょう。

火薬より砂糖が死をもたらす...プーチン戦争までは

──以前、あなたはこう述べました。「歴史上、平和とは『一時的に戦争がない状態』を意味していたことが多かった。(中略)ここ数十年においては『平和』は、『戦争が起こり得ないこと』を意味する。(中略)戦争の減少は、神が奇跡を起こした結果でも、自然の法則に変化が生じた結果でもない。人間がより良い選択をした結果だ。これが現代文明における最大の政治的・道徳的偉業であることは間違いない」と(『エコノミスト』オンライン、2022年2月9日号)。私たちが後退して、こうした成果を失うことは何を意味しているでしょう?

【ハラリ】プーチンの攻撃が成功すれば、世界中に戦争と苦しみの暗黒時代が訪れることでしょう。

過去数十年、私たちは歴史上で最も平和な時代を謳歌(おうか)してきました。1945年以降、国際的に承認されている国家で、外国からの侵略により地図から消えた国は1つもありません。

内戦のような別種の争いは減っていませんが、21世紀最初の20年間で、人間の暴力により殺害された人の数は、自殺や自動車事故、肥満に起因する病の犠牲者数を下回りました。

火薬は、砂糖よりも死をもたらす存在ではなくなったのです。

劇的に減っていた防衛費

【ハラリ】この平和の時代は、政府予算にさらに明確に反映されていました。過去数十年間、世界中の政府が自国は充分に安全であると感じたため、軍隊にかけられる予算は平均してたったの6.5%でした。

一方で、教育、保健、ソーシャルワークには、はるかに多くの金額が投資されてきました。EU加盟国のあいだでは、防衛費は平均して3%程度でした。これは驚くべき成果です。

数千年のあいだ、王、皇帝、スルタンたちは、予算の大半を軍隊に費やし、臣民の教育や保健にはほとんど投資しませんでした。古い王たちと同じように、プーチンは予算の10%以上をロシア軍に費やし、社会サービスを疎(おろそ)かにすることで軍事力を築いてきました。

もしもウクライナ侵攻が成功すれば、世界中の国々がプーチンを真似るでしょう。このような征服を夢見る独裁者は大勢おり、彼らはプーチンと同じことをして幸福を感じるはずなのです。民主主義国家も、自衛のために軍事予算を2倍、3倍にするように求められるでしょう。

未来は二分する

たとえば、すでにドイツは一夜にして国防予算を倍増させました。教師、看護師、ソーシャルワーカーに充てられるべきお金が、戦車、ミサイル、そして「サイバー兵器」にかけられるのです。

戦争の新時代はまた、人類共通の緊急の課題をめぐる国際協力を衰退させるでしょう。

相手を壊滅させる覚悟の国と仕事をするのは容易ではありません。おそらく、プーチンが成功すれば、人工知能による軍備拡大競争が起こり、気候変動予防に向けた国際的努力は崩壊するでしょう。

プーチンが敗北すれば、平和な時代の継続が保証されることでしょう。世界中の国が、暴力に勝ち目はなく、プーチンを真似れば罰せられるという教訓を学ぶのです。

国防予算は低く抑えられ、保健予算は高くなります。プーチンが敗北すれば、おそらく地球の住民一人ひとりが、より良い医療と教育を受けられるでしょう。

観察者に留まってはいけない

──過去の悲劇が引き起こした痛みを知り尽くし、同時に変化の可能性に信頼を置く歴史家として、いま、あなたはご自身に何と語りかけますか?

【ハラリ】決定的瞬間が訪れた、そして攻撃と圧政を打ち破るために誰もができる限りのことをするべきだと言います。寄付をするのであれ、オンラインの「戦い」に貢献するのであれ、制裁を支持するのであれ、ただ窓にウクライナの国旗を吊るすのであれ。

ウクライナの人々は、全世界の未来の輪郭を描いているのです。我々が圧政と攻撃の勝利を許したら、すべての人がその結果を被ることになります。ただの観察者に留まっている意味はありません。いまは立ち上がり、態度を示すときなのです。

ロシア国民の勇敢な抵抗が人類を救う

──ウクライナで命運が懸かっているのは人類の歴史の行方であると、あなたは主張しています。ロシア社会にどのようなメッセージを送りますか?

【ハラリ】これはロシアの戦争ではありません。プーチンの戦争です。ロシア人とウクライナ人は家族です。プーチンは毎日両者のあいだに憎しみの種を植え付けようとしていますが、いま戦争が止まらなければ、何世代も憎しみが続くでしょう。

かつてロシア国民はヒトラーに勇敢に抵抗し、人類を救いました。ロシア国民は、プーチンに勇敢に抵抗することにより、再び人類を救うことができます。

もしかすると、彼らは通りに出て意思表示をするのは危険すぎると感じているかもしれません。しかし、ロシア人は暴君への抵抗にかけては非常に聡明な人々です。彼らは経験豊富です。

ですから、プーチンとその戦争に抵抗する方法を見つけてください。それも遅すぎないうちに、そうしてください


バイデン氏、米はウクライナにより高度なロケットシステム供与へ

2022年6月1日 9:14 JST 更新日時 2022年6月1日 11:12 JST

  • 最長80キロ離れた地点から攻撃できるミサイルも供与へ-米政府高官
  • ウクライナ、新型ミサイルでロシア領土標的にしないと保証-米高官

バイデン米大統領はウクライナに対し、ロシアとの戦争でより精度の高い「高度なロケットシステム」や他の武器を供与する方針を示した。ロシアの侵攻開始から4カ月目に入ったウクライナへの軍事支援を一段と強化する。

  バイデン氏は米紙ニューヨーク・タイムズが5月31日夜掲載した寄稿で、「ウクライナの戦場で主要ターゲットをより正確に攻撃できる、より高度なロケットシステムと武器弾薬を米国がウクライナに提供すると決めた」と表明した。

  米政府高官が匿名で記者団に語ったところによると、供与する武器には最長80キロ離れた地点から攻撃できるミサイルが含まれる。ジョンソン英首相ら世界の首脳はここ数週間、そうした措置を公の場で求めていた。

  長射程型の武器供与を巡っては米国や欧州の一部の国に、ウクライナがロシア国内への攻撃にそれらを使用しないかという懸念がある。米政府高官によれば、ウクライナ政府は新型ミサイルシステムでロシア領土を標的にしないと保証した。

  米当局者らによると、ホワイトハウスはこの新たな7億ドル(約900億円)規模の安全保障支援パッケージを6月1日に発表する予定。今回の戦争で米国がウクライナに供与した軍事支援は45億ドルを上回る。

  バイデン氏は寄稿で「ロシアが自らの行為による報いを受けないなら、侵略者になりそうな他の勢力に対し、彼らも他国の領土を獲得し支配下に置くことができるというメッセージを送ることになる」と指摘。「これはルールに基づく国際秩序の破綻を意味し、どこでも武力侵略が起きる状況につながって世界中で悲惨な結果をもたらしかねない」と強調した。


2022年5月31日 11時44分

ロシア軍の一部で反乱か 指揮官不足で士気低下の分析も

イギリス国防省は、ロシア軍の一部に反乱が起きているという情報があると明らかにした。

イギリス国防省の分析によると、ロシア軍の中級から下級の将校に、壊滅的な人的損害があり、信用できる指揮官が不足して、士気がさらに低下しているとしている。

そのうえで、ロシア軍の一部に反乱が起きているという情報があると明らかにした。

一方、アメリカの戦争研究所は、ロシア軍内部で大統領府が戦争に勝つために十分なことをしていないとする不満が増えているとしている。



2022.05.30

ポーランド、NATO規格対応の自走砲KRAB×18輌をウクライナに提供

ポーランドの国営ラジオ(Polskie Radio/PR)は29日、陸軍の在庫から18輌の自走砲「KRAB」をウクライナに提供したと報じて注目を集めている。

ウクライナは旧ソ連規格のGoździkやDANAや牽引式榴弾砲まで加えると227門以上の大砲を手に入れた計算

ポーランド企業が開発した自走砲「KRAB」は英国製AS90の砲塔と韓国製K9の車体を組み合わせたもので、ポーランド陸軍はチェコ製のDana(111輌)と国産のKRAB(80輌/発注量は122輌)を保有しているが、Danaは旧ソ連規格の152mm榴弾砲を搭載してるためNATO加盟国が提供する155mm砲弾を使用することが出来ない。

一方のKRABはAS90と同じ155mm榴弾砲を備えており、ポーランドの政府関係者はPRに「100人のウクライナ軍兵士にKRABの操作方法を教えるため訓練を施し、18輌のKRABをウクライナに提供した」と明かして注目を集めている。

これでウクライナが受け取ったNATO規格(155mm砲弾)対応の自走砲はフランス提供のCAESAR×12輌、ドイツとオランダが提供したPzH2000×12輌、チェコ提供のZuzana×8輌、提供国も提供数も不明なM109、ポーランド提供のKRAB×18輌=計50輌以上になり、旧ソ連規格のGoździkやDANAや牽引式榴弾砲まで加えると227門以上の大砲を手に入れた計算だ。


2022.05.28

ウクライナにM777、FH70、CAESAR、M109、ハープーンが到着

ウクライナのレズニコフ国防相は28日、M777、FH70、CAESAR、M109、ハープーンがウクライナに到着していると明かして注目を集めている。

正式発表なしにウクライナに到着する武器が多すぎて、何がどこまで届いているのか追いきれなくなってきた

レズニコフ国防相は28日「米国、カナダ、オーストラリアが提供したM777、イタリアが提供したFH70、フランスが提供してCAESARが前線で活躍している、このような兵器を3月に手に入れることが出来るとは想像もしていなかった」とFacebookの投稿の中で明かしたが、最も興味深いのはM109やハープーンもウクライナに到着していると明かした点だろう。

M109の提供を匂わせていた国はノルウェー、ベルギー、イタリアの3ヶ国(管理人調べ)で、どの国もM109のウクライナ提供を正式発表はしていないがレズニコフ国防相は「M109の一次バッチ分を受け取った」と明かしており、デンマークが提供を発表したばかりのハープーンについても「訓練されたウクライナ軍兵士による運用が始まった」と言及している。

さらに西側諸国が提供した榴弾砲や自走砲が使用する155mm砲弾についても「同盟国の工場が6ヶ間で生産できる量(旧ソ連規格の152mm砲弾)よりも多い155mm砲弾を受け取っている」と説明しているが、すでにドイツでの訓練を終えてウクライナに向かったPzH2000(ドイツ7輌+オランダ5輌)については触れていない。

もう正式発表なしにウクライナに到着する武器(特にイタリア)が多すぎて、何がどこまで届いているのか追いきれなくなってきた


赤っ恥プーチン大統領...ウクライナ南部2州の編入狙うも住民は「ロシア国籍」欲しがらず

2022年5月28日 9時26分

 プーチン大統領は25日、制圧下のウクライナ南部のヘルソン州、ザポリージャ州の住民を対象に、ロシア国籍を取得する手続きを簡素化する大統領令に署名した。両州をロシアに編入し、「戦果」としたいようだが、空振りに終わりそうだ。

 ロシアはヘルソン州の全域とザポリージャ州の一部を支配したと主張している。今月に入り、両州に通貨ルーブルを導入するなどロシア化を加速。住民のロシア国籍の取得を進め、最終的にはクリミアのようにロシアに編入する魂胆だ。

 クリミア併合では編入の是非を問う「住民投票」が実施された。両州でも「住民投票」により、民主的な手続きを演出した上で、ロシアに編入するとみられていた。ロシアの工作により「編入賛成」が多数を占める"インチキ投票"になると確実視され、ウクライナや欧米は反発していた。先月下旬、英国防省はヘルソン州の住民投票について「占領の正当化が目的だ」と警戒を示していた。

 ところが、両州の編入は住民投票を経ず、両州の親ロ政治家がプーチン大統領に「要請」する形で進められている。なぜ、住民投票は行われないのか。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)がこう言う。

「ロシア軍が壊滅的な破壊を行ったため、住民投票を実施できる状況ではありません。多くの住民は国内外に避難しています。残っている住民も誰がどこに住んでいるのか分からず、住民投票の案内を送ることも難しい。役所や警察も機能していない。州としての体をなしていないのです」

ロシア国籍を取得すればどこに連れていかれるか分からない

 ヘルソン州の州都ヘルソンでは、ロシア軍の占領後、人口30万人のうち約40%が脱出したとの推計もある。手続きの簡素化を受け、両州でロシア国籍を取得しようとする住民はどれくらいいるのだろうか。

「ロシアでも侵攻後わずか1カ月で約380万人が国外に脱出しました。今、誰がロシア国民になろうと思いますか。両州でロシア国籍を希望する住民はほとんど登場しないと思われます。ロシア国籍を取得すれば、どこに連れていかれるか分からない。戦争に動員されるかもしれない。プーチン大統領は国籍取得の簡素化を打ち出し、両州のロシア化を戦果としようとしたのでしょうが、住民がいかにロシアを嫌っているかが浮き彫りになりそうです。プーチン政権が『親ロ派が多い』と"プロパガンダ"を流している東部ドンバス地方でも住民はロシアへの反感を強めています。ここでもロシア化はうまくいかないでしょう」(中村逸郎氏)

 タス通信によると、ロシアのショイグ国防相は24日、軍事作戦の遅れを初めて認めたが、「作戦の全任務を達成する」と長期戦の構えを示した。早く失敗に気づき、停戦した方がいい。


「ロシア政権内部でプーチンの後継者が議論されている」

2022.05.25 15:45

ロシア独立メディア「メデューサ」がプーチン大統領の後継者に対する議論が政権内部で進んでいると24日(現地時間)、クレムリン宮関係者の言葉を引用して報じた。匿名を求めたクレムリン宮関係者はメデューサに対して「プーチン大統領以降の未来」に対する議論が政権内部で進んでいると語った。この関係者は「今すぐプーチン氏を大統領から退かせなければならないとか、陰謀が準備されているとかいう意味ではない」としながらも「遠からずプーチン氏が国を統治できなくなることもある」と話した。メデューサはこのような議論が出ている背景には、ウクライナ戦争状況に対して強硬派・穏健派を問わず双方からの不満が占めているとしながら、どちらもプーチン大統領に対して満足できなくなっていると指摘した。プーチン大統領に代わることができるほどの人物としては、モスクワ市長のセルゲイ・ソビャニン氏、安全保障理事会副議長のドミトリー・メドベージェフ氏、大統領秘書室第1部秘書室長のセルゲイ・キリエンコ氏などが挙がっていると伝えられた。英国日刊テレグラフは政権内部のこのような雰囲気は、ロシアのウクライナ侵攻以降、西側国家の経済制裁がロシアに破壊的な影響を及ぼすだろうというロシア内部の懸念を反映していると指摘した。


2022.05.25

フランス提供の自走砲がウクライナに到着、ロシア軍との戦いに投入済み

ウクライナ軍のザルジュニー総司令官は24日、155mm榴弾砲をトラックに搭載したフランス製自走砲「Caesar」がロシア軍との戦いに投入されていると発表した。

マクロン仏大統領は先月21日「ウクライナにCaesarを12輌提供した」と明かして注目を集めていたが、ウクライナ軍のザルジュニー総司令官は「Caesarがロシア軍との戦いに投入されている」と発表、ただ公開された写真がウクライナ国内で撮影されたものか、フランスで訓練を受けていた時のものかは不明で、東部戦線に投入されたのか、南部戦線に投入されたのかもよく分かっていない。

因みにチェコ提供のDANA×20輌、Zuzana×8輌、ポーランド提供のGoździk×20輌、ドイツとオランダが提供したPzH2000もウクライナに到着済みで、米国、カナダ、オーストラリアが提供したM777と合わせると180門近い砲兵装備をウクライナ軍は手に入れたことになるが、既にロシア軍の攻撃を受けて幾つかM777が破壊もしくは損傷しているため装備の追加供給を行う必要がある。

追記:ウクライナへの武器支援を調整する連絡会議(ラムシュタイン会議)が23日に開催され、米国のオースティン国防長官は「20ヶ国が新たにウクライナへの武器支援を決定した」と明かしていたが、この20ヶ国に含まれるカナダは155mm砲弾をメーカーから2万発(7,632万ドル相当)購入してウクライナに提供すると明かした。


あの国営放送が"プーチン戦争"批判を展開!ロシアでいま起こっていること

公開日:2022/05/19 14:20 更新日:2022/05/19 14:20

 いよいよロシア国内で表立った造反の動きが出てきた──。ロシア軍が苦戦し、ウクライナ侵攻の行く末が見通せないこともあって、有力者や政権内部からの批判を、国営放送が公然と放送し始めている。もう誰もプーチン大統領についていけないということなのか。今後、国民からの支持も失いかねない。「全世界がロシアと敵対している」「状況はこれから悪化する」
 16日、国営放送「ロシア1」の番組内で淡々とこう話したのは、ロシア軍退役大佐で軍事アナリストのミハイル・ホダレノク氏だ。

プロパガンダを真っ向批判

 さらに、「『情報の鎮静剤』は飲まないようにしよう」「ウクライナ軍の士気や心理の崩壊を伝える情報が流されることがあるからだ」「そのどれひとつとして現実に即していない」と、ロシア政府によるプロパガンダまで批判したのだ。「特別軍事作戦」を巡る討論番組で飛び出した異例の発言に、他の出演者はただただ硬い表情を浮かべ、沈黙するだけだった。現状を苦々しく感じているのは、ホダレノク退役大佐だけではない。この放送の前日、同じ国営放送でアナトリー・アントノフ駐米大使も、作戦をネガティブに捉える有力者の声を紹介していた。アントノフ大使は、政府内の有力者の一部が侵攻をやめようとしていることを示唆。ある人物は、軍を撤退させ「悔い改めたい」と考えていると話した。

ロシアが国際社会から孤立

 あのロシアで戦争批判が国営放送で公然と流されるのは異例のことだ。3月中旬には、やはり国営放送のニュース番組で女性スタッフが「戦争反対」と書かれたボードを掲示。あの時、女性は拘束されたが、なぜか今回はスルッと放送されている。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)がこう言う。「女性スタッフが拘束された3月中旬と現在では、全く状況が違っています。戦況の悪化はもちろんですが、ロシア自体が国際社会から完全に孤立してしまっている。"仲間"のはずの旧ソ連国までがロシアから距離を置いています。現状を嘆くホダレノク退役大佐は、『プロパガンダでなく現実を見ろ』『もう戦争は続けられない』というメッセージを発信したかったのでしょう。ホダレノク退役大佐は軍人で、アントノフ大使は外務省所属。少なくとも軍と外務省がプーチン離れを起こし始めているということ。そこに、メディアまで追随し始めた格好です。国営放送は多くの国民が見ています。今後、現場の兵士の士気に加え、国民感情にも多大な影響が出てくるでしょう」

 プロパガンダが通用しなくなれば、ロシア国民は一気に目を覚ます可能性がある。プーチン大統領はどんどん追い詰められている。


「プーチン常勝神話」崩壊...ついに有力プロパガンディストも"現実"を認めはじめた

5/19(木) 6:02配信

 ロシアによるウクライナ侵攻開始から、まもなく3ヵ月が経とうとしている。  プーチンは当初、首都キーウを短期間で陥落させることを狙っていた。しかし、キーウは落ちなかった。そこで仕方なく、ルガンスク、ドネツクに戦力を集中させ、東部支配を確立しようと考えた。そして、5月9日の対ドイツ戦勝記念日に、「勝利宣言」をするつもりでいた。 しかし、ウクライナ軍の健闘により、この目標も達成できず、勝利宣言も出せていない。いわゆる「特別軍事作戦」が長期化することで、「軍神」プーチンの「常勝神話」が揺らいでいるーー。

プーチン常勝神話の終わり

 プーチンは、国際社会で異常に目立っている。しかし、国内を見ると、これといった実績はない。  確かに彼の1期目2期目(2000~2008年)、ロシア経済は、年平均7%の成長をつづけていた。原油価格が右肩上がりで上昇しつづけていたからだ。

 だが、2014年のクリミア併合以降、欧米日の制裁により、ロシア経済はまったく成長しなくなった。2014年~2020年のGDP成長率は、年平均0.38%に過ぎない。  結果、1億4600万人の人口を持つロシアのGDPは、2021年時点で世界11位。一人当たりGDPを見ると、ロシアは2021年度、12198ドル(約156万円)で世界64位。

 ロシアのGDPは2013年、2兆2884億ドルだった。それが2021年には、1兆7755億ドルまで23%減少している。22年間ロシアを統治しているプーチンが、「国民を豊かにできなかった」のは間違いない。  では、彼は、どうやって高い支持率を維持しているのだろうか?   それは「戦争によって」だ。  プーチンは1999年8月16日、首相に任命された。その10日後、ロシアからの独立を目指すチェチェン共和国との内戦がはじまった(第2次チェチェン戦争)。

 プーチンは、チェチェンに対し、容赦ない強気の姿勢を示すことで支持率を上げ、大統領に昇り詰めたのだった。  次の戦争は、2008年8月のロシアージョージア戦争だ。ロシア軍は、この戦争に短期間で勝利している。そして、ロシアは、ジョージアからの独立を目指す南オセチア、アプハジアを国家承認し、事実上の属国とした。

 プーチンは、2011年にはじまったシリア内戦にも介入している。ロシアはアサド大統領を支援し、欧米は反アサド派を助けた。アサドは、現在に至るまで失脚していない。つまり、プーチンは、シリア内戦で欧米に勝利したことになる。  2014年3月、プーチンは、ウクライナからクリミアをほぼ無血で奪うことに成功した。2014年4月、ルガンスク州、ドネツク州の親ロシア派がウクライナからの独立を宣言。ウクライナ政府はこれを認めず、内戦が勃発した。  欧米は、ウクライナ政府を、ロシアはドネツク、ルガンスクの親ロシア派を支援している。ルガンスク、ドネツクは、事実上の独立を保っているので、ここでもプーチンが勝利したといえる。

 このように、プーチンはこれまで「常勝将軍」だった。ロシア国民が経済音痴の大統領を支持しつづける理由は、彼が戦争に勝ちつづけてきたからだ。  しかし、ご存じの通り、今回のウクライナ戦争は、うまく進んでいない。

42ヵ国の反露同盟「彼らはロシアに勝てる」

 4月26日、ドイツのラムシュタイン米空軍基地に、42ヵ国の代表が集結した。  42ヵ国とは、アイスランド、アメリカ合衆国、イタリア、英国、オランダ、カナダ、デンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルク、ギリシャ、トルコ、ドイツ、スペイン、チェコ、ハンガリー、ポーランド、エストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア。  ここまでは、NATO加盟国だ。  さらに、日本(岸防衛大臣がオンラインで参加)、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエル、韓国、カタール、ヨルダン、ケニア、リベリア、チュニジア、モロッコ。  そして、ウクライナからは、レズニコフ国防相が出席した。

 この42ヵ国は、「新たな反ロシア同盟」の参加国だ。ここでは、「ウクライナへの大規模な軍事支援について」協議された。具体的には、「支援する武器の質を変えること」だ。  これまで欧米は主に、携帯式対戦車ミサイル「ジャベリン」、携帯式地対空ミサイル「スティンガー」、軍事ドローンなどを供与してきた。ウクライナ軍は、欧米から提供された武器によって、ロシア軍のキーウ侵攻を阻止できた。

 参加国は4月26日、戦車、ヘリコプター、155ミリ榴弾砲、地対空ミサイルシステムなどをウクライナに提供していく方針を固めた。  この場で、米国のオースティン国防長官は、こう語った。  「本物の軍備と適切な支援があれば、彼ら(ウクライナ)は勝てるはずだ」  欧米は今、「ウクライナはロシアに勝てる」と思い始めている。

追い詰められ核の恫喝に出るロシア

 ロシアメディア(特にテレビ)は現在、国民を洗脳するプロパガンダマシーンと化している。  国民を洗脳する主要な役割を果たしているのは、ニュースの人気キャスターや、政治討論番組の有名司会者たちだ。彼らのことを、反プーチン勢力は、「プロパガンディスト」と呼ぶ。  そして今、ロシアの国営テレビを見ていると、プロパガンディストたちの論調に変化がみられる。

 2月21日前、彼らは、「ロシアはウクライナを攻めない。米国が煽っているだけだ」と発言していた。侵攻が始まった2月24日直後は、「すぐにキーウを陥落させることができる」と楽観的だった。  ところが、戦闘が長引くにつれ、彼らは苦戦の理由を、「ロシアが戦っているのはウクライナではない。実質NATOと戦っているのだから、簡単にはいかない」と言い訳しはじめた。  そして、歴史的「ラムシュタイン会議」の前後、焦ったロシア政府高官やメディアは、「核による恫喝」をはじめた。

 2022年4月25日、ラブロフ外相は、「核戦争が起こる可能性は十分あり、過小評価すべきではない」と発言。  4月26日、国営テレビ局「ロシア1」の人気番組「ヴェーチェル・ス・ソロヴィヨヴィム」で、別の国営メディアRTの編集長マルガリータ・シモニャンが、他の番組出演者に質問した。  「ウクライナで負けるか、それとも第3次世界大戦か?」と。  そして彼女は、自分の質問に、自分で答えた。  「個人的には、第3次世界大戦の方がありえると思う」 「最終的に核攻撃で終わる方が、ウクライナで負けるよりは、ありえると思う」 「恐ろしいことだけど、仕方ない」  これを聞いて、司会のソロヴィヨフがいう。  「俺たちは、天国にいくからね。やつら(敵)は、ただくたばるだけだ」 (筆者註:核戦争が起これば、善なるロシア国民は天国に行くが、欧米、ウクライナ人は地獄に落ちる)  4月27日、プーチン自身が核兵器使用の可能性を示唆した。

 〈 ロシアのプーチン大統領は27日、ウクライナへの軍事作戦に介入する国に対し「電光石火の対抗措置を受けることになる」と述べ、ウクライナへの軍事支援を強化する欧米諸国をけん制した。DPA通信などが伝えた。また「(ロシアは)他国にない兵器を保有しており、必要な時に使う」とも強調 〉(毎日新聞4月28日)  4月28日、「ロシア1」の人気番組「60ミヌート」では、ロシアのカリーニングラードから、大陸間弾道ミサイル「サルマト」を発射すると、欧州の主要都市を破壊するまでどのくらい時間がかかるかという話で盛り上がっていた。ベルリンまで106秒、パリまで200秒、ロンドンまで202秒だ、と。  ロシア自民党のジラヴィリョフ議員は、「サルマト一発でイギリスは消滅する。何か問題があるのか?」と発言していた。

 4月29日、「ロシア1」の「ヴェスティ・ニデーリ」で、司会のキシリョフは、「1回ボタンを押すだけで、イギリスは消滅する」と得意気に語った。  これらの発言を見ると、プーチン政権は、欧米からの事実上無限の支援により、「ロシアは負けかもしれない」と考えはじめていることがわかる。彼らは、核を前面に押し出すしかないほど、追い詰められているのだ。

プーチンのさえない「言い訳」演説

 5月9日は、ロシアの対ドイツ戦勝記念日だ。これは、ロシアで最大の祝日である。  プーチンは、ここで勝利宣言をするのではないか? あるいは、戦争宣言をするのでは? など、さまざまな憶測がなされた。しかし、プーチンは5月9日、勝利宣言も戦争宣言もしなかった。  なぜ、勝利宣言をしなかったのかといえば、「勝利していないから」だ。首都キーウを制圧できず、ルガンスク、ドネツクの戦いでも勝利していない。

 なぜ、戦争宣言をしなかったのか? そもそも戦争宣言とは何か?   プーチンは、今回のウクライナ侵攻のことを、「戦争」ではなく、「特別軍事作戦」と呼んでいる。つまり、ロシアは現在、「戦争をしていない」のだ。  では、「戦争宣言」をするとどうなるのか? オフィシャルに戦争が開始されるだけではない。戦争宣言は、「動員令」とセットなのだ。つまり、18歳から50歳の男性が、ウクライナの戦場に送られる可能性が出てくる。  自宅でテレビを見ながら、「ロシア軍がんばれ!」と応援するのは簡単だ。しかし、自分や自分の父親、夫、子供たちが戦場に送られることを容認することは困難だ。

 実際、ロシアでも若い層は、ネット経由で、ウクライナ戦争が国際社会でどう見られているのか知っている。それで若い世代の多くは、「プーチンのバカげた戦争のために死ねるか」と考えている。  「動員令が出て戦場に送られる前に逃げよう」と考え、ロシアから脱出するケースも多い。ちなみに、今年1月から3月、ロシアから脱出した人の数は388万人だという。  〈 ウクライナに侵攻中のロシアで、国民が国外に出る動きが急増している。独立系メディアが6日、連邦保安局(FSB)の統計として、今年1~3月に約388万人が国外に出たと伝えた 〉(朝日新聞DIGITAL 2022年5月6日)

 プーチンは5月9日、国民の反発を恐れて、「戦争宣言」をすることができなかった。では、彼は、何を語ったのか? それは、「ウクライナを攻撃するしか選択肢がなかった」という「言い訳」だ。  〈 米国とその取り巻きの息がかかったネオナチ、バンデラ主義者との衝突は避けられないと、あらゆることが示唆していた。  繰り返すが、軍事インフラが配備され、何百人もの外国人顧問が動き始め、NATO加盟国から最新鋭の兵器が定期的に届けられる様子を、われわれは目の当たりにしていた。危険は日増しに高まっていた。

 ロシアが行ったのは、侵略に備えた先制的な対応だ。それは必要で、タイミングを得た、唯一の正しい判断だった 〉  要するにプーチンは、「ウクライナがロシアへの侵略準備をしていたので、先手を打ってウクライナを攻撃した」と主張しているのだ。「歴史に残る大フェイク」といえるだろう。  しかし、ロシアに住むロシア人に聞くと、プーチン演説を信じている人が驚くほど多い。ある知人のロシア人ジャーナリストは、「国民のだいたい7割ぐらいは、プーチン演説の内容を信じている」と語っていた。  ロシアは、国際社会における情報戦で、完敗の様相だ。しかし、国内における情報戦においては、相変わらず有利な戦いをつづけている。

有力プロパガンディストも終わりを予見

 とはいえ、5月9日のプーチン「言い訳」演説は、タカ派のエリート達を失望させているようだ。  タカ派は、9日に「戦争宣言」が出され、大動員令が発せられ、戦術核を使ってでも、ウクライナに勝利することを願っていた。  その一方で、一般国民とは違い、彼らは実際に何が起きているのかを知っている。それで、5月9日以降、弱気な発言が多くなった。

 たとえば、前述「ウクライナに負けるより、核ですべてを終わらせる」発言のマルガリータ・シモニャンは5月12日、以下のようなツイートをしている。〈 私たちは去ります。 必要とされなくなるから。もっと正確には、必要とされた期間が終わるから。 そのことを知って、自分の仕事をするのは、特殊な、少しマゾ的な喜びです 〉  この発言の前に彼女は、戦争に反対して外国に逃げた芸能人が、将来ロシアに戻り、再びロシアの番組に出始めることは間違いないとツイートしていた。  エリートプロパガンディストも、ついにロシアの悲惨な現実を認め始めた。  プーチンの時代は、確実に終わりに近づいている。


「恥ずべきほど成果がない」 ロシア国営メディアが異例の軍部批判を流しはじめた

5/18(水) 18:21配信

──貧弱な装備に、頼りない補給網、そして終わりのみえない「特別軍事作戦」......。これまで積極的にプロパガンダを流していたロシアのTVで、戦況に対する不満が噴出している

ロシア国営チャンネルやプロパガンダを積極的に伝えていた特派員などから、従来であれば考えられなかったようなロシア軍への批判が聴かれるようになった。

国営TV局『ロシア1』のトークショーでは、番組司会者のウラジミール・ソロヴィヨフ氏が兵站への不満をぶちまけた。「けれど、我々の兵に何かを届けるのは事実上不可能では。この不満は100回も述べてきた。」 氏は補給網に問題があると指摘し、前線の兵士に物資を届けるまでに長時間を要していると指摘している。

ウクライナ戦線で重要な役割を占めるドローンについても、生産数の少なさと輸送網の貧弱さが足かせになっていると氏は嘆く。「ドンバス地方に何かを持ち込みたいなら、(西部)リヴィウのウクライナ税関を通す方がまだ早い」との皮肉だ。

ソロヴィヨフ氏はこれまでプーチン政権のプロパガンダを積極的に担っており、国家批判の発言は異例だ。デイリー・メール紙は「プーチンの最も有名な操り人形のひとつ」であるソロヴィヨフ氏が軍部を「公然と批判しはじめた」と報じた。

同紙は続ける。「ウクライナ政府転覆をねらう『特別軍事作戦』に数日間を見込んでいたところ、突入から2ヶ月以上が経つ。プーチンの太鼓持ちたちでさえ、進展のなさに言い訳が尽きたようだ。」 ここ数日でウクライナは猛烈な反撃をみせており、5月9日にはハルキウ北部の2つの都市を配下に取り戻した。少なくともこの地方においては、ロシアとの国境から約16キロの地点まで押し返したことになる。ロシア軍としては、ウクライナ深部に取り残された部隊への補給線の寸断の可能性も現実味を帯びてきた。

■ 「ロシア軍総動員でも効果薄い」 元大佐が見解 軍への怒りを爆発させるのは、ソロヴィヨフ氏だけではない。番組内にゲスト出演したロシア国家院(下院)のセミョーン・バグダサロフ議員は、司会を務めるソロヴィヨフ氏の主張に大いに同調し、貧弱な物資補給に怒りを示した。

「国(ロシア)は、戦時中のアプローチに移行する必要がある。馬鹿げた行動はもう十分だ。」 番組出演者らはさらに、兵士たちが「去年の装備(もはや旧式となった装備)」で戦地に送り出されているとも述べ、近代化が遅れるロシア軍の状況を憂慮している。

英メトロ紙は、NATOの支援を受けるウクライナ側が対戦車ミサイルやドローンなどで成果を挙げている点と対比しながら、ロシア側の兵器の古さを指摘している。 ロシア有利と思われた兵力差に関しても、もはや顕著な利点にはならないとの主張が出てきた。

元ロシア軍大佐のミハイル・キョーダリョノク氏は国営TVへの出演を通じ、ロシア軍には物資も兵力も不足していることから、兵を総動員しても戦況が大きく好転することはないだろうとの予測を語った。「我々には、(前線への投入に備える)予備隊がないのだ」と氏は述べている。

これまでプロパガンダを積極的に展開してきた戦争特派員のアレクサンドル・スラドコフ氏も、ロシア軍の糾弾に転じた。ウクライナ軍を「卑劣」と批判しながらも、ロシア側も「(敵勢の人数と)1対1の割合」で村の強襲に臨んでいる、と苛立ちを募らせる。数の優位をまったく生かせていないため、「ウクライナ軍を押し返すことはできない」と断言している。

この特派員はまた、日々押し寄せるウクライナ軍に対してロシア軍がかろうじて対処しているのみであり、「ルーティーンであるべき事柄をさも手柄のように語っている」とも述べる。ロシア軍の指揮官たちは「恥ずべきほど成果を出していない」と痛烈に批判した。

■ 軍の需要に耐えられないロシア経済 戦地での局所的な問題だけでなく、ロシアには国家として長期化する戦線を支えるだけの経済力が残っていないのではないかとの指摘も国内から出はじめている。軍事評論家のコンスタンティン・シヴコフ氏はTV出演を通じ、「我々の現行の市場経済は、我々の軍の需要に耐えることができない」との分析を示した。

豪ニュースメディアの『news.com.au』はこうした一連の批判劇を動画で取り上げ、「ウラジミール・プーチンのくぐつメディアがついにプーチンに背を向けた」と報じる。「プーチンのプロパガンダ機関らが、ロシア軍の状況をおおっぴらに批判しはじめた」とし、軍部への不満が表面化していると指摘している。 動画視聴者からは、ロシア軍に対する皮肉が相次いだ。

ある視聴者は「『去年の装備』をもたされ、去年の戦争に、去年の思考と信念をもった指導者によって送り出される。あなた方の華麗な失敗に祝福を。ウクライナに栄光あれ」とのコメントを残した。 侵攻の泥沼化で出口を見失うロシアに、国内外から批判が集中している。


2022.05.17

苦戦を予言していた元ロシア軍大佐、西側製の武器がロシア軍を追い詰める

ロシア軍の苦戦やレンドリース法の登場を侵攻開始の3週間前に予言していた元ロシア軍大佐が露TV番組に出演、西側諸国の武器がロシア軍の置かれた状況を更に悪化させると警告した。

欧米の支援を加味すると新たに動員される100万人以上の兵士は現実的な戦力として扱う必要がある

参謀本部作戦総局で勤務経験のある元ロシア軍大佐のミハイル・コダレノク氏は露メディアに寄稿した記事の中で「ウクライナを数時間で制圧するなど不可能だ、ロシア軍がパンと花束で歓迎されることはない。米国はレンドリースを再び持ち出してくる」と侵攻開始の3週間前に予言していたが、今度は露メディアの生番組に出演して「士気の低いウクライナ軍はまもなく総崩れになるというクレムリンの主張は真実ではない」と否定して注目を集めている。

コダレノク氏は「この国の指導者や国民は何が起こっているのかを知る必要がある。西側諸国はロシア人に制裁を課し、近代的な兵器でウクライナ人の武装化を助けているため我々の置かれた状況は更に悪化させる」と指摘、さらに「士気の低いウクライナ軍はまもなく総崩れになるというクレムリンの主張は控えめに言っても真実ではない。まもなくウクライナは訓練を受けた100万人以上の兵士を動員する準備が整う」と付け加えた。

コダレノク氏は「欧米の支援が本格的に動きだしていることを加味すると、新たに動員される100万人以上の兵士は現実的な戦力として扱う必要がある」と語ったが、クレムリンの意向に忠実な番組司会者は「所詮は徴兵された兵士だ」と反論、しかしコダレノク氏は「本当に重要なのは兵士の数ではなく戦う意思があるかどうかで、多くのウクライナ人には祖国を守るという大義と最後の1人まで戦い続けるという強い意思がある。戦場での勝利を決定づけるのは『血を流すを厭わない兵士』の存在だ」と言い切っている。

さらにコダレノク氏は「我が国が直面する最大の問題は地政学的に孤立してしまったことで、例えクレムリンが認めなくても世界中がロシアが敵視している。我々は遅かれ早かれ現実を受け入れる瞬間が訪れると思うが、恐らく多くのロシア人は世界で何が起こっているのかを理解できないだろう」と述べており、特別軍事作戦に批判的な報道を禁じているロシアにとって生番組の内容は「異例」と言っても過言ではない。

因みにロシアではドネツ川の渡河作戦失敗が契機となり、プーチンの無謀な作戦を擁護してきた人々も批判の声を上げ始めている。

例えばミリタリーブロガーのイゴール・ガーキン氏(元ロシア軍大佐でTelegramのフォロワー数は210万人)は「残念ながらドンバスに布陣する敵を包囲して殲滅する取り組みは失敗したと言わざるを得ない。2週間以上続いた戦闘でロシア軍が手にしたのは局地的な戦術的勝利のみで目標地域の解放は1つも実現していない。もうドンバスからウクライナを追い出して解放するのは絶対に不可能だ。そしてこの結果を全く予想していかなったかと言えば嘘になる」と述べているのが興味深い。

クレムリンのプロパガンダを支持して擁護してきたロシア人でさえ「幻想」と「現実」を区別し始めたのだろう。

因みにウクライナ軍は西側諸国から提供された戦車や装甲車で新たな機械化部隊の編成を進めていると米Forbesが報じている。


ウクライナ戦争で中国は"ロシア寄り"で金欠状態 政府系メディアにも異変の危機感

2022年5月17日 6時31分

 ロシアがウクライナに侵攻してから2ヶ月以上が経過した。ロシア軍による激しい攻撃が続く一方、ウクライナは米国などの軍事支援を受けて徹底抗戦の構えを崩さず、紛争の長期化が確実な情勢となっている。

 西側諸国がロシアに対して苛烈な経済制裁を科していることもかんがみれば、「ロシアの国力は時間が経てば経つほど衰えていく」との見方に説得力が増している。

「ロシアを弱体化させる」ことを戦略目標に掲げるバイデン米政権にとっては望むところだろうが、「ロシアが窮すれば、経済の対中依存をさらに深め、ロシアは中国に従属する国家に陥っていくのではないか」との懸念も生じている。

 ロシアはたしかに軍事大国だが、GDPは中国の10分の1に過ぎない。輸出入ともに中国に大きく依存しており、この傾向はさらに強まることが予想されている。

中国の「金欠」状態

 米中対立を早期から予言してきたシカゴ大学政治学部のジョン・ミアシャイマー教授は文藝春秋(2022年6月号)のインタビューで「この戦争の最大の勝者は中国だ」と警鐘を鳴らしている。その理由として(1)米国が東アジアに「軸足移動」ができなくなったこと(2)ロシアを中国側に追いやってしまったことを挙げている。

「ウクライナ危機が長引くほど中国が有利となり、尖閣諸島や台湾問題などで対立する日本にとって由々しき事態になる」との論調が高まっているが、はたしてそうだろうか。

 日本ではあまり語られることはないが、プーチン大統領の盟友関係が仇となり、中国経済は深刻な「金欠」状態になりつつある。

 習近平国家主席は2月4日に北京冬季五輪の開催に合わせてプーチン大統領と対面で会談し、直後の共同声明に「両国の友情に限界はなく、協力する上で禁じられた分野はない」との文言が入ったことから、「プーチン大統領は中国の後ろ盾を得てウクライナ侵攻に踏み切った」ことが定説となっている。

 中国は「要請に応じてどこまでもロシアを支援する」わけだから、米国は中国の動きを警戒し、「対ロ支援をすれば中国に制裁を実施する」との強硬姿勢を鮮明にしている。

 世界の投資家たちも中国の資産を巡る地政学リスクに敏感になっている。西側諸国の経済制裁でロシアの資産が無価値となり、大きな痛手を被ったからだ。

「ロシアを支援する可能性がある中国に投資すれば、米国から2次制裁(制裁対象と取引を行った者を制裁すること)を科されるリスクがある」との心配から、対中証券投資の引き揚げが急速に拡大している。

 国際金融協会(IIF)によれば、ロシアのウクライナ侵攻以来、中国からの投資マネーの流出が前例のない規模になっており、5月6日に発表したレポートでは「中国は今年約3000億ドルの純資本流出が見込まれる」との見解を示した。1290億ドルだった昨年の純流出額の2倍以上だ。

 IIFは「新型コロナの変異株対応で延々と続く都市封鎖(ロックダウン)やエネルギー価格の高騰が中国経済の成長の重しになる」と分析した上で「世界の投資家はロシアのウクライナ侵攻に伴う地政学リスクも懸念している」と指摘している。

ロシア事業に及び腰の中国企業

 海外への資金流出の加速化は、昨年後半から不調に陥っている中国の不動産市場に甚大な影響を与えることになる。

 中国の民間調査会社によれば、4月30日から5日間の労働節連休中の新築住宅販売は面積ベースで前年に比べて33%減少し、不動産企業上位100社の1~4月の販売実績は半減したという。

 中国政府はてこ入れ策を講じているが、その効果はあらわれておらず、不動産企業の資金繰りは悪化するばかりだ。中でも深刻なのは海外で発行したドル建て債券の償還だ。「海外の債権者は不利な扱いを受けている」との不満が高まっている中、ロシア関連の地政学リスクが意識されれば、中国の不動産企業のデフォルトが相次ぎ、不動産バブル崩壊はますます現実味を帯びてくるのではないだろうか。

「欧米企業が撤退したロシア市場を中国企業が席巻する」との見立てもあったが、実際には逆の動きとなっている。

 割安となったロシア産原油を「爆買い」しているインドとは対照的に、中国の石油企業はロシア産原油の調達に慎重だ。欧米企業が相次いで手放したロシアの原油や天然ガスの権益の獲得にも積極的ではない。中国のテクノロジー企業もひそかにロシア事業から撤退している(5月6日付ウォール・ストリート・ジャーナル)。

 中国企業がロシア事業に及び腰になっているのは米国の制裁が怖いからだ。米国が構築した国際金融システムの恩恵を最も享受してきた中国企業は、今や米国を始めとする海外マネー抜きには経営が成り立たなくなっている。

「ロシア寄り」とみなされることのデメリットが顕在化したことで、中国政府のスタンスは徐々に変わりつつある。政権中枢で異論が続出していることを反映してか、政府系のメデイアは5月に入り「ウクライナ寄り」の記事を配信し始めている。

 楽観的過ぎるかもしれないが、筆者は「ロシア軍のウクライナでの苦戦を目の当たりにした中国軍は肝を冷やし、今後軍事活動に慎重になるのではないか」と考えている。

 繰り返し主張してきたことだが、ウクライナ危機の本質は冷戦終結以降の国際秩序が崩壊してしまうことにある。「誰が勝者になるか」というレベルの問題ではない。一刻も早い停戦が何より求められている。


プーチン追放クーデター進行か...                                                                                               ウクライナ軍が目指すロシア軍"8.24完全撤退"の可能性

5/17(火) 9:06配信

 ロシア軍のウクライナ侵攻が、近く重大局面を迎えそうだ。英国防省は15日、「ウクライナ東部ドンバス地方でロシア軍が勢いを失っている」との分析結果を公表。ドンバス地方からロシア軍が撤退を始めたという情報もある。一方、ロシア国内ではプーチン大統領を追放するクーデターも進行しているとされる。国内政変と戦況悪化で、プーチン・ロシアは"完全撤退"を強いられる可能性がある。

 プーチン大統領へのクーデターについて「すでに始まっている」と明言したのは、ウクライナ国防省の情報総局を率いるキリロ・ブダノフ准将(36)だ。英スカイ・ニュースのインタビューで語っている。  クーデターの詳細や戦況の展望については明かさなかったが、「最終的には指導者交代につながるだろう」「止めることは不可能だ」と断言。その上で、「8月後半に重大局面が訪れる」「今年中に戦闘の大部分が終了する」と話した。

「8月後半」といえば、8月24日はウクライナの「独立記念日」だ。1991年に旧ソ連から独立を果たした日で、昨年はちょうど30周年。首都キーウで軍事パレードが開催され、ゼレンスキー大統領がスピーチしていた。ウクライナ国民が「8.24」を重視していてもおかしくない。  ちなみに、ブダノフ准将は今年初めの時点でロシアの侵攻時期を正確に予測した人物だ。スカイ・ニュースのインタビューでは感情を表に出さず、淡々と話していたが、ただ一度だけ笑みを浮かべ「私は楽観的です」と自信ありげに語っている。

 実際、ロシア軍は苦戦続きだ。これまで幾度となくウクライナ軍に撃破されている。英国防省は13日、ルガンスク州の主要都市西方の川を渡ろうとしたロシア軍部隊をウクライナ軍が撃破したと公表。ロシア側は少なくとも、1個大隊戦術グループ(800~1000人規模)を失ったという。3カ月後の「8.24」にロシア軍は"完全撤退"に追い込まれる可能性があるのではないか。

キーウで取材し続けるジャーナリストの田中龍作氏はこう言う。 「ロシア軍はキーウ近郊のブチャやイルピン後方の村に『弾薬基地』を設置していたのですが、3月下旬にウクライナ軍の砲撃によって文字通り壊滅されてしまった。『弾薬基地』は森に囲まれ、ちょっとやそっとで見つかる環境ではありませんでした。ところが、ウクライナ軍は正確に位置を把握していたそうです。大量の弾薬に"引火"し、約6時間にわたって大爆発が起きたといいます。ウクライナ軍は陸、空から相手の位置を正確に把握し、少ない武器弾薬でロシア軍を効率的に攻撃している。ブダノフ氏の言葉通り、8月に重大局面を迎え、年内に大部分の戦闘が収まる可能性は十分考えられます」  追い詰められたプーチン大統領が"暴発"しなければいいが。


2022年5月17日

国民を「ハエ」とののしるプーチン ロシア去る若者たち

佐藤俊介 (経済ジャーナリスト)

 ウクライナに侵攻したロシアからの頭脳流出が止まらない。侵攻から約1カ月間でIT分野を中心に約30万人の若い有能な人材が海外脱出し、侵攻の懸念が高まっていた年初からでは数百万人が脱出した可能性も指摘されている。プーチン大統領は侵攻を支持しない人々の排除で「国が浄化される」と言い放ち、彼らに「裏切者」「ハエ」などと侮蔑の言葉を投げつけるが、そのような狂気は若者らの国外脱出をさらに加速させ、ロシアの国力を低下させるのは必至だ。

ロシアから出ていく若者らに対し、プーチン大統領は「裏切者」「ハエ」と罵る(AP/アフロ)

「〝侵略国家の国民〟として生きてほしくない」

 「人間らしく生きていきたかったから、ロシアを去った。プロパガンダはロシア国民、そして私の隣人からも理性を奪ってしまった」

 「ロシアは今後20年間は、普通の世界の仲間入りはできないだろう。僕は若い。20年間も無駄に生きたくはない」

 「私の子供たちには、開かれた世界で成長してほしかった。〝侵略国家の国民〟として生きてほしくなかった」

 ウクライナ侵攻後に、ロシアを脱出した若者らを対象に実施された調査で集められた声には、祖国ロシアに対する絶望的な思いが込められていた。

 ウクライナ侵攻後、どれくらいの人々がロシアを去ったのか。

 オンラインメディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」は5月初旬、今年1月から3カ月間でロシアから国外に出た国民の数が388万人にのぼったとの統計を報じた。これは、ビジネスや観光などすべての国民を含む数字で、そのまま国外脱出者数とみなすことはできないが、それでもウクライナ侵攻への懸念が急激に高まっていた時期と重なっており、そのうちの多数がロシアを離れた可能性がある。

 期間は限られているが、より詳細な調査も実施されている。「OK Russians」と名乗る民間団体は3月中旬、侵攻を受けて国を離れたロシア人約2000人を対象にオンラインで調査を実施。その結果、当該期間に少なくとも約30万人のロシア人が国外に脱出したとの推計を発表した。

 各国メディアに衝撃を与えたのは、調査で浮かび上がった脱出者の特性だ。OK Russiansによれば、脱出者の実に86%が44歳以下の若者だった。職種では、全体の3分の1がIT関連の人材で、それ以外も企業のマネージャーや法律家、心療学者、デザイナー、コンサルタント、ジャーナリストといった、いわゆる頭脳労働者らに集中していた。

 さらに今後、ロシアに「帰国しない」との回答は27%で、「長期間離れる」との答えも41%あった。出国が「一時的なもの」とする回答は12%に過ぎず、成長産業を担う多くの若い人材が、ロシアを完全に捨て去る決意を固めたことになる。

産業の成長への影響も必至

 このような状況が今後、ロシア経済に深刻な影響を与えていくのは必至だ。

 もともと共産主義体制下で立ち遅れていたソ連の産業は、ソ連崩壊とともに国際社会の競争にさらされたが、宇宙開発や軍事、また膨大な埋蔵量を持つエネルギーや非鉄金属などの資源産業をのぞき、ほぼ競争力を持たなかった。プーチン大統領は就任以降、ロシアの産業の多角化を繰り返し訴えてきたが、実際には自身に近いオリガルヒや政権関係者が有力なエネルギーや宇宙産業などの要職につき、サービス分野などの新たな産業の成長は極めて乏しかったのが実情だ。

 そのような中で、IT分野はロシアでも先進的なサービスが一定程度開発され、若年層の関心も高かったことから、国際社会でも存在感を示しつつあった。しかし今回の人材流出で、そのような発展の芽もつまれるのは必至だ。

 脱出者の中心が若年層という点も深刻だ。ロシアではソ連崩壊後、社会、経済の激しい混乱に見舞われ、1990年代は出生率が激減し、約20年にわたり人口減少が続いた。若い人材の流出加速は、そのようなロシア社会にとり大きな痛手となる。

 ただ、多くのロシア人の若者らにとって、国外に脱出することは決して容易な決断ではなかったに違いない。

 ウクライナ侵攻後、欧米諸国の厳しい経済制裁により、ロシアからの国際便は激減した。侵攻前は、1日あたり210の国際便が運航していたが、3月上旬時点で90に減少していたとされる。

 そのうえ、航空券の価格は数倍に高騰し、そのうえ飛行の突然のキャンセルが相次いだ。私財を投げうってようやく航空券を手にして脱出できた人もいれば、航空券を入手したにもかかわらず、飛行キャンセルでお金を失ったうえに、国を出られなかったケースも多数あるという。

 脱出した人々に、高所得者や子供などを持たない若者らが多いのは、このような状況をクリアしやすい環境にあったためだ。中には、子供が将来的にロシア国内で徴兵される事態を懸念し、子供だけを海外に脱出させたケースも報告されている。

 ただ、脱出した後の生活も、決して保障されてはいない。プログラマーなどの職種では海外でも既存の業務を続けられたり、新たな仕事を得ることが比較的容易と思われるが、脱出者の約半数は、現在以上の条件で仕事を見つけることは困難だと感じている。3カ月間生活するのに十分な資金を持ち出せた割合も、脱出者の5割に満たなかった。

 脱出先の国々も限定的となった。主な出国先は旧ソ連のジョージア、アルメニア、そしてトルコだ。金銭的に余裕がある場合は、アラブ首長国連邦(UAE)やメキシコなどの渡航先も指摘されている。イスラエル、セルビア、ウズベキスタンなどに渡航しているケースもある。

 これらの国が選ばれたのは、主にロシア人がビザの取得が不要で、比較的渡航が容易だったためだ。決してこれらの土地を知っていたからではなく、「とにかく脱出できるルート」を探した結果、そのようになったというのが現実だ。多くのロシア人はそこからさらに第三国に出国することを目指しているとみられるが、ビザの取得や資金の確保などで、さらなるハードルを乗り越えなくてはならない。

ーチンの口から出る冷酷な言葉の数々

 このような若者の脱出に対し、プーチン大統領の反応は極めて冷酷だ。プーチン氏は3月中旬、反政権派の出国をめぐり「社会の浄化に必要であり、ただ国家を強固にするだけだ」などと発言した。さらに「われわれは本物の愛国者と裏切り者を見分けることができる。そのような連中は、誤って口の中に飛び込んできた〝小バエ〟のように、路上に吐き捨ててしまえばいい」などと述べたという。

 自国民を「小バエ」と呼ぶプーチン氏の思考の異常さは、ウクライナ侵攻に賛同できない多くのロシア人に絶望的な思いを与えたに違いない。プーチン氏は、ウクライナ南部マリウポリでロシア軍と対峙するウクライナの民兵組織に対しても「ハエ」との表現を使っており、このような言葉遣いが何を意味しているのかを、ロシア人が敏感に察知したことは想像にかたくない。

 ロシア国民がより良い生活を求め、国外脱出する流れはこれまでも一定程度あった。政権は、反体制派や不支持層の国外脱出を黙認することで、自国を統治しやすくする狙いがあったとみられる。それでもロシア経済は潤沢な資源輸出に支えられ、海外からの人材流入もあり、目立った問題は起きていなかった。

 ただ、主要市場の欧州がロシア産エネルギーを遮断する動きを強める中、ロシア政府は従来のようなシナリオを描くことはできない。さすがにまずいと気が付いたのか、ロシア政府は3月末、IT技術者に関しては一定の条件で兵役の「延期」を認める方針を打ち出したが、その程度の施策で事態の収拾が図れるとは考え難い。

 ロシアを離れたくても、金銭面や生活上の問題で離れられない〝予備軍〟の若者も相当数いるのは確実だ。プーチン氏が「ハエ」とののしる人々の怒りに、ロシア政府は苦しめられることになる。


2022.05.16

駐米ロシア大使、クレムリンが戦争継続派と終結派に分裂していると漏らす

ロシアのアントノフ駐米大使はクレムリン内部にウクライナとの戦いを終わらせたい勢力の存在を示唆、自身は絶対に降伏しないと宣言して注目を集めている。

ウクライナ政府はプーチン大統領に対して「新しい現実へようこそ」と皮肉たっぷりの言葉を送っている

ロシアのアントノフ駐米大使は国営メディアに出演した中で「米国はロシアに戦いを停止させる条件として特別軍事作戦に基づく戦闘行為の停止、2月24日以前の状態に部隊を後退、ロシアが行った全ての行為を悔い改めることを密かに提示しており、クレムリン内部の一部の有力者が条件に応じたいと考えている」と明かし、自身は絶対に降伏しないと宣言して注目を集めている。

アントノフ駐米大使は「少なくともロシアの外交官達は決して屈服しない。我々は最高司令官が設定した全てのタスクが完璧に完了することを固く確信している。その確信がなければ仕事を行うのが困難だっただろう。我々は決して降伏も後退もしない」と強調しているが、大使の発言によってクレムリン内部が戦争継続派と戦争終結派の2つに分裂していることが浮き彫りなってしまった。

さらに元NATO司令官も「大使が降伏しないと語ったということはクレムリンが『降伏』を検討したという意味だ」と指摘しており、そもそもロシア国内では「特別軍事作戦は順調に進行していてウクライナ軍は大損害が被っている」ことになっているので「降伏」という言葉を口にする時点でロシアの苦境を認めているようなものだ。

露国営メディアも最近は「特別軍事作戦に疑問を抱く人々はロシアが何と戦っているのか理解する必要がある」などと国民の団結を訴える記事が目立ち、ウクライナとの戦いはNATOとの戦いにすり替わっている。

ウクライナのNATO加盟が容認できない=ウクライナをロシアの影響下に力ずくで引き戻すと力強く宣言して始めたプーチンの戦争は、逆に中立を維持してきたフィンランドとスウェーデンがNATOに加盟する事態を招いており、ウクライナ政府はプーチン大統領に対して「新しい現実へようこそ」と皮肉たっぷりの言葉を送っているのが面白い。

キーウ周辺に続きハルキウ周辺からのロシア軍撤退も始まっており、東部戦線には西側諸国が供給する重装備が届いて本格的な反攻が始まっている可能性が高く、動員した人々への訓練が着々と進むウクライナは「約100万人の兵士を動員する豪語しているので「戦勝記念日に戦争への移行=総動員に不可欠」を発表できなかったロシアに勝ち目は残っていないだろう。

ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ准将は「この戦争が8月中旬にターニングポイントを迎えて年内に終結するだろう」と明かしていたが、もしかするともっと早くに戦いが終わるかもしれない。


英国防省「ロシア軍の勢い喪失」

東部2州、先月戦果なし

2022/5/15 20:42 (JST)5/15 22:29 (JST)updated

 【キーウ共同】英国防省は15日、ロシア軍が制圧を目指す東部ドンバス地域(ドネツク州とルガンスク州)で攻撃の勢いを失い、作戦が予定よりも「大幅に遅れている」との分析結果を公表した。2月の侵攻開始以降、地上戦力の3分の1を失ったと指摘。先月中は実質的な領土の獲得ができず、今後30日の間、大きな前進は「見込めない」との見方を示した。

 ドンバスと隣接する東部ハリコフ州の知事は14日、同州イジュムでウクライナ軍が反撃を開始したと明らかにした。ロシア軍は同州の州都でウクライナ第2の都市ハリコフ周辺から撤退を開始したとの見方があり、東部での一層の苦戦が際立っている。


プーチン最側近「プーチンは血液癌」「一人の狂人が世界を台無しにした」

  • 2022年5月14日

プーチン大統領の最側近と目されているロシアのオリガリヒ(新興財閥総帥)がプーチン大統領を「クレイジー」と呼び、病気による死亡やクーデターなどでプーチン大統領が除去されることを願っていると述べる録音ファイルが公開された。彼はプーチン大統領が血液ガンであるとも述べている。米国のオンラインメディア「ニューラインズマガジン」は、欧米諸国のあるベンチャー投資家がプーチン大統領の最側近の1人であるオリガルヒと交わした対話を録音したファイルを入手し、その詳細を13日(現地時間)に報じた。

身辺の安全上、「ユーリ」という仮名で同録音ファイルに登場するこのオリガルヒは「プーチン大統領がロシア・ウクライナ・世界経済を完全に台無しにした」とし「問題は彼(プーチン)の頭の中にある。一人のクレイジーXが世界をひっくり返した」と語っている。
(人気記事:宇軍が露T-90M(6億円)をカール・グスタフ砲1発(280万円)で破壊...「スウェーデン王に感謝」)

ユーリはロシアフォーブスが選定したロシア200大資産家にも名を連ねる大物であると同紙は伝えた。現在ロシア外に滞在中とのこと。
(人気記事:秘密渡河作戦中の露軍がほぼ全滅か...兵力1500人死亡 宇軍「待ち伏せで一斉射撃」)

ユーリは他にも、プーチン大統領が腰の問題で手術を受けたことがあり、これは血液癌に関連しているとも語った。彼は「プーチン大統領がウクライナ戦争をわずか数ヶ月控えた昨年10月、腰の手術を受けた」と話した。
(人気記事:韓国紙「進撃する日本のロボット産業、世界の45%を掌握」「韓国でも絶対的存在に...日本産は代替不可能」)

専門家はまた、血液癌の治療に使用されるステロイドが広範な骨格系関連疾患を引き起こす可能性があり、脊椎や背中に悪影響を及ぼす可能性があると説明している。ユーリの説明を裏付ける部分だ。

先立って米ニューヨークポスト(26日)は、プーチンがステロイドを過剰服用したことで《ロイドレイジ》を患っている可能性がある」と伝えている。ロイドレイジはステロイド薬を長期間服用した場合に現れる副作用で、怒りの調節障害など脳疾患を伴うことが知られている。

ニューラインズマガジンは「ユーリは自分の会話が録音されるのか分からずこのような話をした」とし「録音ファイルを提供した西側ベンチャー投資家はウクライナ戦争に対する嫌悪感のため、ユーリの信頼を裏切って提出するしかなかった」とし、その報道経緯を伝えている。


2022.05.14

米メディア、ロシア軍はキーウと同様にハルキウからの撤退を開始か?

米ニューヨーク・タイムズ(NYT)は13日、ロシアはキーウ方面からの撤退と同じように「ハルキウ周辺からも部隊を撤退さようとしている」と報じて注目を集めている。

3月末にロシア軍は首都キーウを含むウクライナ北部戦線を放棄して撤退、第二段階作戦と称したウクライナ東部戦線(主にドンバス地域)に戦力を集中させているが、ウクライナ第二の都市ハルキウ周辺の占領地域は維持して州都への砲撃を続けきた。

しかし4月中旬頃からウクライナ軍はハルキウ周辺で反撃を開始、徐々にロシア軍に占領されていた街や拠点を奪還して州都の北側に布陣していた敵を国境近くまで後退させ、東側に布陣していた敵はドネツ川の対岸まで追い払うことに成功しており、ハルキウ周辺に残ったロシア軍の支配地域は残りわずかだ。

ウクライナ軍参謀本部は「Kozacha Lopan方面の敵は塹壕を掘るなど防御を固めている=ウクライナ軍を引き付けるため粘るという意味」と指摘していたが、ウクライナや西側当局者はニューヨーク・タイムズ(NYT)に対して「ロシアはキーウ方面からの撤退と同じようにハルキウ周辺からも部隊を撤退さようとしている、恐らく撤退させた部隊をイジューム方面に振り向ける可能性が高い」と明かしたらしい。

つまりハルキウ周辺でウクライナ軍が急激に失地を回復しているのは「意図的な撤退への動き」と噛み合った成果であり、ロシア軍もドネツ川を防御ラインにして「ハルキウ州東部」だけでも死守したいと考えているという意味だ。

ただ米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は「ハルキウ周辺で見られるウクライナ軍の反撃はキーウ方面で見られた反撃に似てきているが、ここでもロシア軍が同様の決断(撤退)を下したかどうかを判断にするには時期尚早だ」と指摘しており、果たしてハルキウ周辺のロシア軍はどのような動きを見せるだろうか?

余裕があるならハルキウ周辺に留まり続け「ドンバス地域への敵戦力集中」を阻止した方が得策と思われるが、余裕がないなら優先度が低く見込みのない戦線を整理した方が得策で、ロシア軍の置かれた状況は恐らく後者だと管理人は思っている。

追記:ウクライナ参謀本部は13日、Slobozhanske(ハルキウ州)方面におけるロシア軍の主な取り組みは「ハルキウからの確実な撤退」と「ウクライナ軍部隊がイジューム方面の背後に到達するのを阻止」することで当該地域のウクライナ軍へ砲撃を行っていると発表した。


秘密渡河作戦中の露軍がほぼ全滅か...兵力1500人死亡

 宇軍「待ち伏せで一斉射撃」

  • 2022年5月13日

ウクライナ東部戦線でロシア軍が渡河作戦中にウクライナ軍の攻撃を受け大隊級兵力をほぼ全滅させられる致命的打撃を受けたとの見方が出ている。12日(現地時間)、英タイムズによると、ロシア軍は8日、ドネツ川を渡ろうとするなか、73台の戦車と装甲車、1000~1500人の兵力を失ったと推定されている。

ウクライナ軍は航空写真などをもとにこのように推算し、砲撃で燃えた車両50台余りの残骸が映った写真とドローン映像を公開した。映像には破壊された浮き橋の姿も確認された。

ロシア南部とウクライナ東部を結ぶこの川は装甲部隊の進撃を遅らせる「天然の要塞」となっている。
(人気記事:英紙「露の戦術大隊、4分の1以上が戦闘不能」「精鋭部隊の再投入には数年かかる」)

砲撃と空襲を動員したこの攻撃は今回の戦争で最も激しい戦闘の一つとなり、ドンバスで意味のある戦果を収めようとしたロシア軍にとっては深刻な打撃になったとタイムズは伝えた。

このようなウクライナ軍の戦果はロシア軍の動きをあらかじめ予見した結果だという。
(人気記事:1機20億円の露軍「空飛ぶ戦車」をわずか1万3千円の旧ソ連砲で撃墜...宇軍発表)

ウクライナ軍総参謀部はロシア軍がこの川を渡ってドンバス地域のリシチャンシクとセベロドネツクを包囲するとともに西のリーマンを攻撃しようとした事実を予め把握していた。

ウクライナの戦車旅団はロシア側の川辺にロシア軍の兵力が集結して渡河を試みようとしていることを察知した後、爆発物処理班が攻撃1日前の7日に該当地域を偵察し、浮き橋が設置されているエリアを発見した。
(人気記事:韓国紙「進撃する日本のロボット産業、世界の45%を掌握」「韓国でも絶対的存在に...日本産は代替不可能」)

翌日移動を始めたロシア軍は周辺の野原と森を燃やして生じる煙幕によって動きをカモフラージュしたが、警戒態勢を整えていたウクライナ軍は曲射砲と空軍力を動員した一斉射撃を浴びせた。


ロシア国内のプロパガンダに異変...苦し紛れの"国家総動員"で露呈したロ軍のキュウキュウぶり

2022年5月13日 9時26分

 ロシア国内のプロパガンダに異変が生じている。プーチン大統領がウクライナ戦争の長期化に向け準備しているとささやかれる中、ロシア軍の苦境は拭い難いようだ。

 ウクライナ国防省情報総局は10日、ロシア国内のプロパガンダについて〈ロシア軍が"無敵である"という社会の認識を変え、敗戦の可能性に備えるために、ロシアの国営メディアは、対ウクライナ戦争がEUやNATO加盟国との全面対決であると伝えるよう指示された〉と説明。〈最強の敵(ウクライナ)への敗北という汚辱をそそぐ〉ためとの見解を示した。

 ウクライナ側の一方的な主張ではあるが、実際、ロシアの国営テレビ番組では、プーチン政権に都合の良い情報を流すはずのコメンテーターが"ロシア不利"を認めているという。

 ロシアの国営メディアを監視する「ロシアン・メディア・モニター」の創設者で米ニュースサイト「デイリー・ビースト」のコラムニストであるジュリア・デイビス氏は9日、〈プーチンの操り人形がロシア軍の惨敗を認めた〉と題した記事で、次のように指摘した。

〈ロシア国営テレビの金曜日の放送で、軍事アナリストのコンスタンティン・シブコフ氏は「ロシアの今の経済システムは軍や国全体のニーズに合っていない」と主張。代わりに、土地や工場などを含めあらゆる戦略資源を政府の直轄に置く"軍事社会主義"を提唱した〉

ホンネは「NATOの最新兵器に太刀打ちできない」

 劣勢を認識したロシアが「国家総動員」を呼び掛けているだけではない。西側諸国とまともに戦えないとのホンネも透ける。

 デイビス氏によれば、ロシア退役軍人の元大佐が国営番組の生放送中に〈ロシア軍の兵器ではNATOの最新兵器に太刀打ちできず、時代遅れの武器で戦う人員を(戦線に)送っても逆効果である〉と認め、こう続けたという。

「もし今夜、新たな軍艦を建造せよとの命令が下ったら、いつ最初の一艦が完成するか? 2年後だ! 動員とはそういうものである。新たな戦車部隊を編成するという目標を立てた場合、いつ準備が整うか? 少なくとも90日はかかる。さらに言えば、その部隊に近代化された武器など装備できないだろう。予備などないからだ」

 国家総動員を呼び掛けて国民にハッパをかける一方、戦闘長期化への余裕のなさがアリアリだ。いよいよロシア国内も「プーチンの戦争」に嫌気が差し始めたか。


「ロシア、冷蔵庫や食器洗浄機から部品を取り外し軍需物資を調達中」

登録:2022-05-13 03:40 修正:2022-05-13 07:29

米商務省「ロシアに対する技術製品の輸出は70%まで低下」

 ロシアは、ウクライナ侵攻後に大幅に強化された国際社会の経済制裁のため、冷蔵庫や食器洗浄機の部品まで取り外し軍需物資を調達している状況にあると、米国商務省が明らかにした。

 米国のジーナ・レモンド商務長官は11日、ワシントンで開かれた上院聴聞会で、最近ウクライナ首相に会った事実に言及し、「『地面に落ちているロシアの軍需物資を調べると、内部は食器洗浄機や冷蔵庫から取り外した半導体だらけだった』という話を、ウクライナ側から聞いた」と述べた。レモンド長官はこの日の上院で、ロシアの戦車製造企業2社が部品不足で稼動できないでいるという最近の報道にも言及した。

 商務省は、ロシアに対する経済制裁を管理・監督する省庁だ。商務省は、2月24日のロシアのウクライナ侵攻直後に、ロシアに対する全面的な輸出制限政策も発表した。商務省は、その後に米国のロシアに対する技術製品輸出がほぼ70%まで低下したと明らかにした。半導体、通信設備、レーザー、航空機用電子機器、海洋技術などの場合は、2021年同時期と比較すると輸出が85%減少したと明らかにした。

 この日の上院聴聞会で、ロシアの輸出規制の効果についてのある議員の質問に対し、レモンド長官は「我々のアプローチは、ロシアが軍事作戦を続けられる能力を弱めることだ。それがいま私たちが行っていることだ」と述べた。

 半導体は、家電製品から戦闘機までほとんどの機械で使われる重要な部品だ。ロシアの製造企業は、これまで概して半導体を西側とアジアの企業から調達してきた。しかし、米国によるロシアへの追加の経済制裁が本格化した2月以降、世界最大の半導体ファウンドリ(委託生産)企業である台湾のTSMCなど主要な半導体企業が、ロシアに製品を供給することを中断した。米国主導の経済制裁に参加した数十カ国の協調によって、ロシアとロシアの同盟国ベラルーシに主要な物資の輸出禁止が適用されている。バイデン政権はこのような制裁を通じてロシアの先端技術と経済の発展を阻害し、ロシア軍の能力を弱めることができると期待していると、ワシントン・ポスト紙が報じた


ロシアの知事5人が異例の同日辞任!「プーチン降ろし」地方から伝播、ソ連崩壊と酷似してきた

2022年5月12日 14時30分

 地方から"プーチン降ろし"が広がるのか──。ロシアのニュース専門放送局「RT」(旧称ロシア・トゥデイ)は10日、ロシア国内の5人の知事が一斉に辞任したと報じた。9日の対独戦勝記念日にプーチン大統領がウクライナ侵攻の正当性を熱弁した翌日のことだ。地方で何が起きているのか。

   ロシアでは今年9月11日に地方選挙が予定されている。RTによると、トムスク州のセルゲイ・ジバチキン知事とサラトフ州のバラレイ・ラダエフ知事は2期目。2021年の法改正で3期目も可能となったが、次の選挙への不出馬を表明した。キーロフ州のイゴール・バシェリエフ知事は連邦政府で働くため、知事職を退く。退任するリャザン州のニコライ・リュビモフ知事とマリ・エル共和国のアレクサンドル・エフスティフェフ知事は辞任理由を公表していない。

 RTは6つの言語でニュースやドキュメンタリーを提供する国際放送局。ロシア連邦政府の予算に依存する実質的な国営放送だ。ウクライナ侵攻後も、政権のプロパガンダの片棒を担いできた。知事の一斉辞任がロシアメディアの関心を呼んだとしつつ、こう報じている。

〈ロシアの政治技術センターの副所長は「目新しいことではない。支持率が低下した場合、知事が選挙前に辞任することはこれまでもあった。1人の知事が辞任しても、(人々は)注目してこなかったではないか」とインタファクス通信に語った〉

ソ連は地方から独立運動が広がり崩壊につながった

 筑波学院大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)がこう言う。

「同じ日に知事が5人も辞任するのは異例です。平静を装おうとするRTの報道も政権側の動揺を示しています。戦費が膨らみ、連邦政府は地方にお金を回せなくなっています。また、対ロ経済制裁が強化され、地方の財政がますます苦しくなるのは目に見えている。辞任の理由はいろいろつけられますが、この先、知事として務めるのは難しいと判断したのでしょう。間接的ですが、ウクライナ侵攻への抗議の辞任という意味も持っています」 戦争が長引き、地方は疲弊。停戦が全く見えない中、知事を務めるのは、火中の栗を拾うようなものだ。この先、地方の不満が爆発すれば、プーチン政権の崩壊につながる可能性がある。

「さらに2人の知事も辞任する意向でプーチン政権は必死で思いとどまるよう説得しています。ソ連崩壊時と酷似してきました。ソ連は地方から独立運動が広がり、崩壊につながりました。地方の首長の中で反プーチンの動きが盛り上がり、モスクワ市長が反旗を翻す事態になればプーチン政権は持たないと思われます」(中村逸郎氏)

 ソ連崩壊の再現はあるのか。


3min2022.5.11

プーチン大統領は「痛々しい偏執症の独裁者」

ロシアのプロパガンダメディアが戦勝記念日に「反戦記事」を1面に掲載した理由

「私たちにできる唯一の正しいこと」
ソ連がナチス・ドイツに勝利したことを称える「戦勝記念日」を迎えた9日、ロシアの大手ニュースサイト「レンタ・ル」は、ウクライナ侵攻に異議を唱える異例の記事を1面に複数掲載した。これらの記事では、プーチン大統領を「痛々しい偏執症の独裁者」と呼び、「21世紀で最も残虐な戦争」を始めたと糾弾している。記事を書いた2人のジャーナリストのうちの1人、30歳のイゴール・ポリアコフは、英紙「ガーディアン」にこう語った。「今日という日に、この記事を掲載しなければならなかった。私たちは皆に、我々の先祖が本当は何のために戦ったのか、平和のために戦ったのだということを、この素晴らしい戦勝記念日に思い出して欲しかったのだ」

9日の午前に行われた演説で、プーチン大統領はウクライナ侵攻を正当化するため、現在の戦争を第二次世界大戦におけるソ連の勝利と結びつけて語った。これについて、レンタ・ルのビジネス記者であるポリアコフは、「これは戦勝記念日に関する話ではない」と話す。「ウクライナでは、一般の人々が亡くなり、戦闘に参加していない女性や子供たちが亡くなっている。これまでのプーチンの言葉を考えると、この状況が止むことははないだろう。私たちはこれ以上、この状況を受け入れることができなかった。これが私たちにできる唯一の正しいことだった」9日に公開されたポリアコフらの記事には、「ウラジーミル・プーチンはウクライナにおけるロシアの計画について嘘をついた」、「ロシア軍は泥棒と略奪者の軍隊であることが明らかになった」、「ロシアはウクライナで死んだロシア兵の遺体を放置している」といった内容が含まれている。

レンタ・ルは月間2億人以上が訪問する国内最大級のウェブサイトであり、ウクライナ侵攻を正当化するプロパガンダを量産するのに用いられているメディアのひとつでもある。

同メディアは、2020年にロシア最大の銀行であるロシア貯蓄銀行(ズベルバンク)に買収されたメディアグループ、ランブレルが所有しており、国営の同銀行は米国と英国の制裁対象となっている。ポリアコフとミロシキナはまた、レンタ・ル上に個人的な声明を発表し、読者にこう訴えた。「恐れないで! 沈黙しないで! あなたは1人じゃない、仲間はたくさんいる! 未来は私たちのものだ!」彼らの行動は、3月中旬にロシア国営テレビ「チャンネル1」のスタッフ、マリーナ・オフシャンニコワがニュース番組のセットに突入して反戦を訴えて以来、ロシアの国営メディアで見られた大きな抗議行動としては初めてのものだ。ポリアコフらの記事には、「編集責任者の合意を得ていない」と書かれていた。ロシアでは3月、政権に不都合な言論を弾圧する法律が成立している。ポリアコフはこの法律に言及しながら、自身の安全について「もちろん、怖い。そう認めるのは恥ずかしいことではない。だが、私は自分が何をしているのか、その結果何が起こるのかをわかってやったのだ」と話した。


脱ロシア3カ月388万人"頭脳流出"も深刻 プーチン大統領が食らう「名物起業家つぶし」の代償

5/9(月) 13:35配信

 ロシア軍が2月24日にウクライナに侵攻してから2カ月半。9日、ロシアの対独戦勝記念日を迎えるが、戦争の出口は見えてこない。戦争の長期化に伴い、深刻なのがロシアからの頭脳流出だ。優秀な人材がシビレを切らして、プーチン大統領に愛想を尽かしている。 すでに7人が消された...プーチン大統領を支える「オリガルヒ」続々"怪死"の真相  ◇  ◇  ◇

 ロシア情報機関「FSB(連邦保安局)」の統計によると、今年1~3月に約388万人がロシアから出国した。ロシア系独立メディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」が6日、報じた。ウクライナ侵攻以降、富裕層を中心にロシアを離れる事態が生じていたが、想像以上の数字である。388万人には観光や出張目的も含まれるが、プーチン政権への不満や経済制裁などが大きく影響しているとみられる。  

ロシアの名物起業家もロシア離れを決断した。英BBCオンライン(ロシア語版)は〈オレグ・ティンコフ氏がロシアとティンコフ銀行に別れを告げた〉との見出しで、〈隣国と戦争し、民間人や子供を殺している国で私はお金を稼ぐことはできない〉など、本人のコメントを掲載している。  ティンコフ氏は2006年、ロシア初の無店舗型のネット銀行「ティンコフ銀行」を創設。国内のクレジットカードシェア2位を占める巨大企業に成長させた。権力者を後ろ盾とせず、商才でのし上がった"オリガルヒ"として知られている。

「反戦投稿」に目くじら、保有株をカツアゲ

 ティンコフ氏は20年に同行の会長を退き、現在はロシア国外を拠点にしているが、同行の株35%を保有していた。ところが、4月28日、全保有株がプーチン氏に近いとされる富豪が率いる会社によって買われる事態が起きてしまった。  

経緯はこうだ。ティンコフ氏は4月19日のインスタグラムで反戦メッセージを展開。ロシア語で〈ロシア人の9割はウクライナ戦争に反対。どこの国でもバカは1割だ〉〈このバカげた戦争には受益者は1人もいない!罪のない人々や兵士が死んでいる〉とズバリ。さらに、英語で〈親愛なる西側の皆さん、プーチン氏の面目を保ちつつ、虐殺を止められるような出口を与えてほしい〉と「正論」を訴えた。これがプーチン氏の逆鱗に触れたとみられる。  

ティンコフ氏は5月1日付の米ニューヨーク・タイムズのインタビューに登場。4月19日の投稿翌日にクレムリンの当局者が銀行の幹部に「貴行の株主の発言はよろしくない。株の所有者が代わらなければ銀行を国有化する」と"恫喝"。評価額をはるかに下回る額での売却を強いられたと明らかにした。口が災いとなり、プーチン氏に事実上、保有株をカツアゲされた格好だ。

「名物起業家への圧力がロシア経済界に与える影響は大きいと思います。資源大国とはいえ、ティンコフ氏のようなベンチャー起業家がロシア経済を支えてきた面があります。戦争に異議を唱えたティンコフ氏に対するひどい仕打ちを知り、ベンチャー起業家のロシア離れは加速するでしょう。ベンチャー企業が育たなければ、経済成長は期待できない。当面は抑え込めても、ベンチャー起業家への圧力でプーチン大統領が失ったものは大きい」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)  ティンコフ氏は「ロシアに将来があると信じることができない」と嘆いている。

プーチン氏は名物起業家の正論に耳を傾けた方が自国のためにもなる。


2022年5月9日

【寄稿】 「プーチン氏の前にはもはや種々の敗北しかない」  英の国防専門教授

ロシアでは毎年5月9日を、第2次世界大戦の対独戦勝を記念する「戦勝記念日」として祝う。モスクワで予定される毎年恒例の軍事パレードなど、各種の祝賀行事でロシア政府が何を主張するにしても、現状はウクライナに対する勝利とは程遠い状態にあると、イギリスの国防研究者、マイケル・クラーク教授は指摘する(文中敬称略)。

もはやこの戦争に、ロシアが有意義な形で勝つことはできない。

プーチンが2008年以降、世界各地で実現した軍事的成功はどれも、小規模の精鋭部隊と雇い兵と地元の民兵集団、そしてロシアの空軍力を組み合わせて実現したものだった。

ジョージア、ナゴルノ・カラバフ、シリア、リビア、マリ、そして2014年にウクライナで2度、ロシア政府は低コストで介入し、相当に有利な立場に立った(2014年にウクライナで2度というのは、まずクリミアを違法に併合したのち、ロシアに従属するルガンスクとドネツクの自称共和国を作ったことを指す)。

どの場所でもロシアは素早く、容赦なく動き、西側世界は段階的な制裁でしか対抗できなかった。西側の制裁に現実を変える力はなかった。プーチンは「現場で新しい事実を作り出す」のが得意だった。

今年2月に彼は、同じことをウクライナで、最大級の規模でやろうとした。人口4500万人の国、領土面積でいうと欧州で2番目に大きい国の、政治的実権を約72時間のうちに奪取しようとしたのだ。驚くほど無謀なギャンブルで、最も大事な第1週で、その賭けは完全に失敗した。

プーチンにはもはや、戦争を拡大して突き進む以外、あまり選択肢は残されていない。戦争を拡大とはこの場合、ウクライナ国内で拡大するか、ウクライナ以外で拡大するかだ。エスカレーションは現状に組み込まれている。そして欧州は近年の歴史で例を見ないほど、危険な時点にさしかかった。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の軍隊や、外の世界が反応できる前に、首都キーウ(ロシア語でキエフ)の政府を支配下におくという「プランA」の実現に失敗した後、ロシア政府は「プランB」に移った。これは「プランA」よりも「作戦展開」を重視する軍事的な計画で、まずキーウを包囲してから、チェルニヒウ、スーミ、ハルキウ、ドネツク、マリウポリ、ミコライウといった他の主要都市を攻略しようというものだった。降伏か全滅かと首都キーウを脅かす間に、ウクライナの武力抵抗をあっさり消滅させようというのが狙いだった。

しかし、これもまた失敗した。陥落してロシアの支配下に入った主要都市は南部へルソンのみで、ここでも住民はロシアの統治に抵抗し続けている。結局のところ、ウクライナほど巨大な国を圧倒的に支配するには、ロシアの軍勢は小さすぎた。そしてロシア軍の戦いぶりは実にお粗末だった。その理由はいくつかある。指揮系統の質が低く、キーウからミコライウまで4つの前線に部隊は分散され、全体を束ねる総司令官がいなかった。

加えて、ロシア軍を待ち迎えていたのは、不退転の決意で立ちはだかるウクライナ軍だった。しっかり訓練されてきたウクライナ軍は、「動的防衛力」を古典的なまでに発揮し、戦線を維持するのではなく、敵軍が特に弱い急所を次々とたたくことで、ロシア軍を膠着(こうちゃく)状態に陥らせた。

戦況の停滞にいらだつロシア政府は、今度は「プランC」に移行した。これはキーウと北部の制圧を諦め、その代わり、東部ドンバス地域からおそらく南西部オデーサに至る南部全域に大攻勢をかけるため、戦力を集結させるというものだ。主要な港湾都市オデーサを含む南岸一帯をロシアが掌握すれば、ウクライナは事実上、内陸国になってしまう。

そして現在、南東部のイジューム、ポパズナ、クルルカ、ブラジキウカなどで展開しているのが、この作戦だ。

ロシア軍はウクライナ軍の統合作戦部隊(JFO)を包囲しようとしている。JFOはウクライナ陸軍の約4割にあたる部隊で、2014年以来、分離派が実効支配するルハンスクとドネスクの自称「共和国」に対峙(たいじ)している。この地域でロシア軍にとって鍵となる目標は、スロヴィヤンスクとその南のクラマトルスクを掌握することだ。両都市ともドンバス地方全域を支配するための要衝となる。

そしてこの戦争は、軍事的にこれまでとは異なる段階に入った。今までより広い土地で、今までより良い天候の中、戦闘が繰り広げられる。戦車と機械化歩兵、そして何よりも敵の装甲車がなだれ込んでくる前に相手の防衛を殲滅(せんめつ)するよう設計された大砲を駆使して。

しかし、これはそれほど単純なプロセスではない。

ロシアの攻勢は出遅れ、ウクライナのJFOはロシアの進軍を食い止めている。おかげで、今頃はここまで到達しているはずとロシア側が想定していたほどの前進は、まだ実現できていない。これによってウクライナ側は貴重な時間を稼いだ。戦闘が本格化する前に、それぞれが重火器を前線に投入しようと、今は「ヘビーメタル(重火器)の競争」が進行中だ。これは今後数週間でさらに状況が進むだろう。

しかし、ドンバスで何が起きても、さまざまな種類の敗北からどれを選ぶかの機会を、プーチンに与えるだけだ。

戦闘が秋になって膠着状態に陥った場合、それまであまりに多くの損害と苦しみを重ねたロシアに、プーチンはほとんど何も成果として示すことができないはずだ。戦況の勢いが変わり、ロシア軍が後退させられる事態になれば、なおさらだ。そして、たとえロシア軍がドンバス全域と南部全域の制圧に成功したとしても、ロシア軍を追い出したい数百万人のウクライナ人を前にして、いつまでも両地域を押さえ続けなくてはならない。

もしもロシアが軍事的な大成功を収めた場合はおそらく、ロシアが制圧する全地域で、大規模な反ロシア運動が際限なく続くだろう。プーチンは2月に「プランA」に全てをかけて臨んだ。それが失敗したせいで、続く「プランB」だろうが「プランC」だろうが、他のどのような計画だろうが、ロシアは全力であたり、広大な国の一部もしくは全土を押さえ込まなくてはならないのだ。

いずれにしても、ロシアはウクライナで戦い続けなくてはならない。住民と敵対しながら、あるいはウクライナ軍と敵対しながら。その両方と同時に敵対しながら、という可能性もある。そして、ロシア軍が撤退しなければ譲歩の検討などあり得ないという現在の姿勢をウクライナ政府が取り続けるならば、プーチンはかたくなに突き進むしか、ほかにできることはあまりない。

西側諸国は今後も、ウクライナ政府に武器と資金を提供し続けるし、強力な対ロ制裁をそうそうすぐに解除することもない。ロシア産エネルギーへの欧州の依存度がいずれ大幅に下がれば、欧州が本当に欲しいものをロシアはほとんど持っていない。そしてアメリカも欧州も、自国経済への打撃は小さく抑えたまま、ロシアを苦しめる厳しい制裁はそのまま残すことができる。

ウラジーミル・プーチン大統領個人は、もう後戻りできないし、戦争犯罪人として起訴される可能性さえある。彼に残された唯一の政治的な戦略は、ウクライナでの戦争を実際とは異なる何か別の物に作り替えることだ。たとえば、「ナチス」に対して、そして喜々としてロシアを敗北させたい西側諸国の「帝国主義者」に対して、ロシアは存亡そのものをかけて戦っているのだとする、そういう文脈に。

だからこそ、ロシアはその他の欧州全体を相手にした「大祖国戦争2.0」を前にしているのだという、危険な発想を、プーチンはもてあそんでいる。そうすることが、彼にとって好都合だからだ。5月9日の「戦勝記念日」にはおそらく、これについてさらに発言を聞くことになる。プーチン大統領は自分のかじ取りで国もろとも突入した、実に長く暗いトンネルの先に、光が見えると言うのだろう。

(マイケル・クラーク氏は英キングス・コレッジ・ロンドンの防衛研究客員教授)


残酷なロシア軍...村の唯一の民間避難所を爆撃、60人が埋もれて死亡

2022.05.09 08:200

ロシアの攻撃で破壊されたハリコフの学校

ロシア軍がウクライナの民間人90人が避難していた学校の建物を爆撃して2人が死亡し、数十人ががれきに埋もれた。7日(現地時間)、CNNとBBCなどによると、ルハンスク州のハイダイ知事はこの日、ロシア軍爆撃機が戦線から11キロ離れたベロゴロフカ地域の学校に爆弾を投下したと主張した。

また、「まだドンバス地域から脱出できなかったほとんどの村の住民がここに隠れていた」とし「村の会館が破壊された後、学校の地下室が唯一の避難所だったが、ロシア軍がこの機会を逃がさなかった」と話した。

ハイダイ知事によると、爆撃はこの日午後4時30分発生した。知事は「爆撃で建物に火災が発生して建物が崩壊し、消防署員が火災を鎮圧するのに3時間程度が必要とされた」と明らかにした。残骸の中で30人が救助されたが、この中で2人を死亡したし7人がケガした。haイダイ州知事は「建物のがれきの下に残された60人全員が死亡した可能性が大きい」と伝えた。救助作業はまだ進行中だ。

国連によると、2月24日開戦以降ウクライナで少なくとも民間人2345人が亡くなり、2919人が負傷したことが分かった。難民数は1200万人に達する。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はこの日、テレビ演説を通じてロシアの侵攻以降約2カ月半分ぶりにほぼ200カ所に達するウクライナ文化遺産が破壊されたり損傷を受けたりしたと主張した。

前日午後にはハルキウにあるウクライナの詩人であり哲学者のフルィホーリイ・スコヴォロダ博物館がロシア軍からミサイル攻撃を受けた。

ゼレンスキー大統領は9日、ロシアの全勝記念日に関連して「ロシアはこの日(第2次世界大戦の時)ナチを相手に勝利したことを記念するが、(今日)ロシアの行動を見ながら『悪を完全にはね除けるのは不可能だ』ということを想起させる」と話した。


ロシア携帯通信網は破綻の恐れ ノキアなど撤退で「死にゆく技術の博物館」に

5/6(金) 15:55配信

──ネットワーク機器メーカー4社のうち、3社がロシア事業からの撤退を表明。モバイル通信網の維持に疑念が生じている

ロシアのモスクワ・タイムズ紙が、国内の民間向けモバイル回線の維持に懸念を示している。ウクライナ侵攻を受け、ノキア、エリクソン、ファーウェイなど外資系通信企業大手が同地での事業から続々と撤退、あるいは撤退を表明しているためだ。

 プーチン病気説の決定打?どう見ても怪しい動画 記事は専門家の見解として、ロシアの通信事業が「ほぼ完全に外国企業に依存している」と述べたうえで、ウクライナ侵攻後に主要通信機器メーカーがロシアを去っている事態を指摘。このことから国のモバイル通信網の維持に「重大な問題を生じる可能性がある」との見解を示した。

 通信事業自体はロシア各社が運営しているが、そのサービス提供に必要なネットワーク機器の大半は、海外企業からの納入に依存している。このうちおよそ半数をノキアとエリクソンが担っていた。 残りはいずれも中国企業であるファーウェイ(華為)とZTEが占めるが、うちファーウェイも他社に追随し、現地での事業停止を表明した。残るはシェア4位であり技術水準が比較的低いとされるZTEのみだ。 通信業界に詳しい米リコン・アナリティクス社のロジャー・エントナー氏は、モスクワ・タイムズ紙に対し、「ロシアがこうしたシステムを自前で維持できなければ、これら(モバイル通信網の)すべてが機能停止することもあり得ます。予想しなかったショックが突如として押し寄せることでしょう」と述べ、将来的に大規模な通信障害を招く可能性を示唆している。

 ■ 死にゆく技術の博物館に 次世代通信規格の5Gについても、ロシアでは雲行きが怪しくなりはじめた。ノキアの撤退に伴い、同社がロシアのデータ記憶装置製造企業であるヤドロ社と共同で進めていた合弁事業が廃止されたと報じられている。この合弁会社はロシアにおける4Gおよび5G基地局の建設を担っていた。 エントナー氏は合弁解消により、ロシアにおいて次世代5G通信の普及が遅れる可能性があると指摘している。「2022年にロシア以外の世界が前進してゆくのに対し、ロシアは凍結されることになります。

(ロシアは)死にゆく技術の博物館となるかもしれません。」 米CNNも同様の見方をしている。すでにノキアがロシアから撤退を表明し、スウェーデンの大手通信機器メーカー・エリクソンもロシア事業を無期限で停止したことで、「同国(ロシア)の超高速5Gネットワークの構築能力に疑問の目が向けられている」と報じる。 単純に5Gへの移行が遅れる以外にも、現在主流となっている4G通信網の維持に支障が出る可能性がある。大手機器メーカーの撤退により、機器の故障の際に更新を行えないリスクが現実のものとなってきた。

 ■ 米による制裁避けたいファーウェイ ノキアの撤退とエリクソンの無期限停止につづき、4月に入ってからファーウェイもロシア事業の一時停止を表明した。報道によると一部従業員を1ヶ月間の休職としている。同社には、欧米が主導する制裁の抜け穴とみなされることを避けるねらいがある。 ファーウェイ製品の多くはアメリカ製のチップや製造設備などを用いており、制裁対象であるロシアへの輸出にあたっては、アメリカ政府の承認を必要とする。これに違反した場合、同社がアメリカで展開するビジネスが制裁を受けるリスクがある。

 ロシアにとって、相次ぐ離脱は痛手だ。モスクワ・タイムズ紙は、北欧2社の離脱で「ロシア通信システムの供給と保守が宙吊りの状態」となっていたところ、ファーウェイの事業停止表明が「さらなる追い討ち」をかけたとみる。 これら3社からの機器の納入が途絶えたことで、既存4Gの通信エリアの改善も難しくなるだろう。モスクワ・タイムズ紙は欧州国際政治経済センターのホソク・リー=マキヤマ氏の見解をもとに、「ファーウェイ、ノキア、エリクソンなしでの拡張はほぼ不可能であり、既存のネット通信地域を広げる計画もこう着状態に陥ったとみられる」と報じている。

■ 中国企業がシェア躍進 競合3社がすべて離脱したいま、制裁に同調していない中国ZTE社が急激にシェアを伸ばす可能性があるだろう。事実ファーウェイも、ノキアとエリクソンの離脱後に一時、シェアを急増させていた。 事業者向け機器ではなく個人向け携帯端末に関する販売データではあるが、3月初頭の2週間でファーウェイは売り上げを300%増加させている。技術解説誌のアーズ・テクニクカは、侵略によりウクライナもロシアも国として損失を被るなか、「ファーウェイはウクライナ戦争における初期の勝者であった」と述べている。 そのファーウェイも事業停止の意向を示したいま、ロシアでのシェア4位に甘んじてきたZTEにとっては、単独で巻き返しを図るチャンスだ。しかし、不健全な独り勝ちは市場のバランスを大きく損なうおそれがあり、長期的には国民に不利益をもたらす展開が予想される。

 また、すべての機器をZTE製に置き換えることは費用面から現実的ではなく、同社への切り替えは難航しそうだ。ノキアとエリクソンは過去30年にわたり、クリミア半島を除くロシア全土に両社製の基地局を普及させてきた。 こうした事態を受け、ノキアは人道的見地からの支援が必要だとして、制裁下でもネットワーク機器の提要を続けられるよう正式な認可の申請に向けて動いている。 ただし、ノキアの本拠であるフィンランドもエリクソンが位置するスウェーデンも、対ロシアでの集団防衛を念頭に、北大西洋条約機構(NATO)への加盟に意欲をみせている。人道的救済措置とのあいだで、両社は難しい采配を迫られそうだ。


死亡者のうちモスクワ出身はいない...ロシア軍戦死者の悲しい真実(1)

2022.05.05 09:33

ロシア軍人がウクライナで略奪した物品をベラルーシのある宅配会社からロシアの自宅に送る手配をしている。[ウクライナ国防省 ソーシャルメディア キャプチャー]

ウクライナを侵攻したロシア軍隊を支えているのはモスクワから数千キロメートル離れた極東・シベリア地域から来た所得が低いいわゆる「土の箸とスプーン」出身だった。

◆ロシア、主に極東・シベリア地域から兵士募集英紙タイムズはウクライナで戦っている多くのロシア兵士が首都モスクワから遠く離れた地方に基盤を置いていると3日(現地時間)、伝えた。寒く土地がやせているシベリア・極東地域や少数民族別に区分された一部の共和国など、ロシア内の非主流地域から来た兵士たちが多かった。ウクライナ戦争が70日以上続いていて、この地域出身の兵士はさらに増えている。ウクライナのシンクタンク、国防戦略センターによると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はモスクワは除いて主に極東とシベリア地域から毎週200人ずつ入隊するよう要求している。

ブチャで戦争犯罪を犯したと言われている第64分離車両化小銃旅団もモスクワの東6000キロメートル以上離れた極東地域ハバロフスクの小さな村に基地を置いている。ハバロフスクは中国と国境を接していて、モスクワとは7時間の時差がある。戦争初期はロシア兵士がウクライナ占領地で略奪したテレビ・洗濯機・貴金属・化粧品などをベラルーシの国境都市マジルの宅配会社からシベリアの人里離れた地方などに送る防犯カメラの映像が公開された。ロシアの家族に送ったものと推定される。

◆WP「ロシア死亡兵士のほとんどは貧しい共和国出身」入隊者が多いため死亡者も多かった。ロシア独立メディア「メディアゾナ」は先月末、ロシア兵士死亡の内容が出てきた1700本余りの記事を研究した結果、少なくとも1774人が死亡(西側は1万5000余人死亡推定)したと推定した。このうちロシア南部の北カフカースのダゲスタン共和国、東部シベリアのブリヤート共和国などだけで200人余り以上が戦死した。

メディアゾナは「モスクワとサンクトペテルブルク地域の戦死者はいなかった」とした。ワシントン・ポスト(WP)は「ダゲスタン・ブリヤート共和国は貧しい地域」と伝えた。ダゲスタン共和国の昨年の平均給与は3万2000ルーブル(約6万円)、ブリヤート共和国の平均給与は4万4000ルーブルだ。モスクワの平均給与は11万ルーブルだ。ロシア独立メディア「メドゥーサ」によると、ダゲスタン共和国は3月からウクライナ戦争に参戦する兵士たちを募集している。一般兵士の月給は17万7000ルーブルだった。ロシアの今年の最低生活費は1人あたり月1万3000ルーブル程度だ。ウクライナの1カ月派兵で年間生活費を得られる場合があるため貧しい地域からは若者が軍隊に志願入隊する場合が多かった。

死亡者のうちモスクワ出身はいない...ロシア軍戦死者の悲しい真実(2)

2022.05.05 09:34

ロシア行政区を示した地図。首都モスクワの東にある極東とシベリア地域は所得水準が低いほうだ。高い給与がもらえる軍入隊を通じて出世を夢見る若者が多い。ウクライナ戦争にもこの2地域から多く志願入隊したが、戦死者が多かった。[写真 韓国外交部]

◆貧しい家のために入隊したが...死体となって帰宅メドゥーサは「ダゲスタン共和国の多くの若者たちが貧しい家を立て直し、出世のために軍隊に行こうとする。過去、各地で徴兵人員を制限すると徴集委員会に賄賂を送りさえした」と伝えた。今回の戦争でも多くの人々が入隊した。

ロシア国営メディア「リアノボスティ通信」は3月、「ダゲスタン共和国では1週間で300人以上が兵役契約を締結した」と伝えた。しかし100人以上が戦死し、そのうち少数が死体で帰宅した。20代の若い青年たちが多かった。プーチン大統領の「特別軍事作戦」を擁護していた人々も死んで帰ってきた息子、親戚などを見て「誰のために、何のために戦争に行かなければならないのか」「愚かな虐殺の結果」として憤った。ガーディアンは3月、シベリア地域ケメロボのロシア中年女性が「私たちの息子が大砲材料として送られた。

なぜウクライナに派遣したのか」と言って州知事に抗議する様子を報じた。高麗(コリョ)大学ロシア語ロシア文学科のチェ・ジョンヒョン教授は「極東とシベリア地域などは所得が低く生活水準が劣悪だ。他の職業よりも給与がよい軍入隊でお金と名誉を得ようとする者が多い。世論統制もうまくいっていて、ウクライナ戦争の真実について知らずに志願した若い青年たちが多かった」と背景を説明した。続いて「反面、モスクワなど大都市で徴兵しないのはロシア内部で逆風が吹く恐れがあるためだ。モスクワで徴兵するようになれば西側で『ロシアは本当の危機に直面している』と考える可能性もある」と付け加えた。

◆ロシア、9日戦勝記念日にモスクワでも徴兵?外信報道によると、ロシアは今月9日の戦勝記念日(第2次世界大戦勝利記念日)にウクライナ全面戦争を公式に宣言して大規模な徴兵に出る見通しだ。仏紙ル・フィガロはロシアがウクライナに配置された18万~20万人の他に予備軍200万人、1年間義務的に服務する徴兵兵士25万人を動員して約250万人を集めることができると見通した。しかし、これらが数週間以内に戦場に出ることになれば訓練を十分に受けることができず戦闘力が落ちるだろうと予想した。

ロシアは装備と弾薬はもちろん食糧も不足した状況だ。ロシア・東欧の専門家は「総動員令が下されれば多くの若者たちがロシアを離れるだろう。しかしすでにモスクワなどで一部の若者エリートが離れて法がさらに厳しくなった。強制的に徴兵される可能性がある」と伝えた。


「戦勝記念日」前夜、プーチンは敗北を認めざるを得ないだろう― ウクライナ元参謀本部将校が分析

5/3(火) 18:00配信

 ロシアのプーチン大統領が5月9日の「対独戦勝記念日」でどのような演説をするのかが、大きな注目を集めている。  ウクライナの元参謀本部将校オレグ・ジダーノフ氏は、ウクライナ東部の戦況、プーチン政権内部の変動等について、ウクライナの独立系インターネットテレビ「ポリティカ・オンライン」(4月30日)でインタビューに答えた。  

その中でジダーノフ氏は、「『対独戦勝記念日』である5月9日を前に、プーチン大統領は敗北を認めざるを得ないだろう」と分析している。  ジダーノフ氏は、旧ソ連軍時代の同僚がロシア国内の各地にいることから、ロシア軍の情報にも詳しい。  

以下はインタビューの概要を筆者(ANN元モスクワ支局長 武隈喜一)がまとめたものだ。  なおこのインタビューはYouTubeで5月2日現在、119万ビューを超えている。

5月9日の「対独戦勝記念日」にプーチン大統領が総動員令を出すのではないか、と伝えられているが

 たしかに、ロシアが動員令を発することなしに戦況を変えることは不可能になっているが、総動員令はプーチンにとって、自分の頭を撃ちぬくようなものだ。  総動員令を出すためには、「戦争宣言」をおこなわなければならない。現在は「戦争」ではなく「特別軍事作戦」だ。だが一般のロシア国民は、伝説的な「不敗のロシア軍」に期待をかけている。それなのに、プーチンが「ロシア人よ、銃を取って前線へ出ろ。軍がうまくいっていない。成果を出せていない」と言ったら、プーチンにとって最悪の結果を招くだろう。

 5月9日には国境付近のいくつかの州レベルでロシアが動員令を出すことはありうるだろう。ロシアは「偽旗作戦」を使って、これまでにも州内での爆発、火災などを「ウクライナによるテロ行為だ」と言って、人びとを動員すべく準備を進めてきたからだ。  5月9日にはプーチンは何らかの「勝利」を宣言しなければならないが、それは「新たな戦争」宣言ではないはずだ。それはロシア国民の失望につながるだけだ。ロシア全土での総動員令はありえない。  

ロシアの田舎では、ウクライナでの「特別軍事行動」は遠い出来事だと受け止められてきた。  しかし地方ではいま別の問題が起きている。シベリアのブリヤートには大きなスポーツ施設があるのだが、そこが葬儀所になっていて、供花が撤去される間もなく、兵士の棺桶が次から次に運ばれてきている。兵士の遺体がようやく家族の元に届けられるようになってきているのだ。

 私の得た情報によれば、ポーランドとの国境付近の飛び地、カリーニングラードに、昨日(4月29日)11体の遺体と34人の傷病兵が着いた。負傷兵のほとんどが手足を失っている。  負傷兵たちも徐々に戦場での本当の出来事を語り始めるだろう。

安全保障会議のパトルシェフ書記が、ロシア南部の行政機関に、防空壕や避難所のチェックをするよう通達をだして、地元住民の不安が高まっている

 ロシアはウクライナ人を「狂暴な民族主義者、ファシスト、テロリスト」と呼んでいる。だから、自作自演の火事や爆発を引き金に地域限定的な「戒厳令」を出すことは時間の問題だろう。  だがこれも逆効果になりうる。ロシア国内に相当数の難民が発生する可能性があるからだ。これは深刻な国内問題になる。  

プーチンは最近ますます安全保障会議書記パトルシェフに信頼を寄せ、全権を任せるようになってきている。パトルシェフはクレムリンの権力闘争で勝ち残っていくようだ。  もしプーチンが手術などで大統領職を一時的に離脱する場合、核のボタンはパトルシェフに移譲されることになっている。つまり、FSB(KGBの後身の連邦保安局)は初期の失敗の責任を、うまく国防省に押し付けたようだ。  

元FSB長官だったパトルシェフが、プーチンの信頼を利用して、軍幹部が懲罰対象となるように仕向けたのだろう。  現在、ロシア国内でもっとも力をもっているのは、FSBと国家親衛隊だ。国家親衛隊も戦闘には加わったが、常備軍ほどの数ではない。  国防省は「シロビキ」(力の組織)の中では最も立場の弱いグループになった。

前線はどうなっているのか。ロシア軍は最大の攻撃をかけてくる、といわれていたが

 現状ではロシア軍はウクライナ軍に対して最大限の圧力をかけている。  未確認情報だが、ゲラシモフ参謀総長がイジュームに来たようだ(米国防総省も訪問を確認)。現地部隊にハッパをかけ、5月9日までにどこでもいいから突破口を開かせたいのだ。だが、前線は膠着状態で5月9日までには無理だろう。

 ウクライナ参謀本部によれば、ロシア軍は国境地域に残っていたおよそ2万の兵員補充をおこなって、部隊を国境からウクライナ領へ進軍させた。  参謀総長が来て、計画いっぱいの補充をおこない、軍を転戦させたわけだから、総攻撃を仕掛けてくるだろう。

参謀総長が現場に来るというのはどういう意味があるのか

 これはプーチンの命令ではなく、ゲラシモフ自身の判断だろう。自分のキャリアを守る最後のチャンスだ。  もしドボルニコフ将軍が作戦の指揮を任されているとすれば、二人は競い合うことになる。ドボルニコフ将軍が作戦司令官を任されたというのは西側のメディアが報じているだけで、ロシア国内には確実な情報がない。

 いずれにしても、二人は同じ釜のメシを食い、同じ戦場で戦ってきたライバルだ。ゲラシモフ参謀総長は今回「電撃戦」に失敗した。一方ドボルニコフ将軍は、ゲラシモフの地位を狙える立場だ。ゲラシモフが来たのはプーチンの命令ではない。  われわれはこの二人がどう競いあい、それぞれがどの軍を指揮するのか、注意深く見守っている。

 ショイグ国防相は、すでにプーチンの信頼を失っている。パトルシェフとドボルニコフがショイグ国防相の追い落としを図ったのだろう。ショイグはプーチンの不興を買ったため、政治生命は完全に断たれた、という者もいる。当分姿を現すことはないだろう。  

戦況は、シーソーゲームだ。敵が攻めてくればわれわれは引き、敵が引けばわれわれが攻める。  いずれにせよ、ウクライナ軍が有利だ。防御戦だからだ。損耗はロシア軍の方が大きく、兵力もギリギリだ。  我々は防御しながら敵に陽動作戦を仕掛けている。我々は多少でも戦闘能力の向上を図ることが可能だが、ロシア側は、この攻撃のためにかき集めた戦力も底をつきつつある。あと7日から10日はまだ戦闘可能だが、その後は再度補充が必要となる。

得てして軍人ではなく政治家が戦争を指導するとロクな結果にならない。  現状を見る限り、命令はすべてプーチンが下している。戦場の論理と思想によってではなく、プーチンの政治的判断だ。つまり、どんな犠牲を払おうとも5月9日をめざせ、ということだ。  だからこそウクライナ軍には有利な情勢なのだ。

 プーチンは赤の広場でロシア国民に演説をしなければならない。すでに言ったように総動員令を発することは身の破滅となる。プーチンはこの特別軍事作戦が失敗したことを認めざるをえないだろう。

 いく人かの将軍は、プーチンに第二段階の作戦は中止し、戦闘能力をもつ部隊を残すべきだと進言する報告書を作成したようだ。この報告はゲラシモフ参謀総長やショイグ国防相を経ず、パトルシェフ安全保障会議書記が直接プーチン大統領に届けた。  プーチンは「勝つはずだ」という妄想にとらわれているから、もし敗北を認めるしか残されていないとすれば、その絶望と精神的な圧迫はとんでもなく大きいだろう。

プーチンはいつ敗北を認めざるをえなくなるのか

 5月9日の前夜だ。  5月7日か8日、軍の指導部が来て、「われわれは課題を遂行できなかった」という報告を受ける時だ。その後、プーチンがどうするのか、わたしにはわからない。  これはロシアの内政の決定的な転換点となるだろう。軍事パレードを中止するのかどうか。今回ロシアのいくつかの町ではウクライナで戦死した兵士の遺影を、その家族が胸に抱いて行進することになっている。

ベラルーシのルカシェンコ大統領もパレードには行かないようだが

 ルカシェンコは先日、ポーランドとの国境に軍を配備した。5月1日から始まるポーランドの演習に備えるためだというが、これによって、ルカシェンコはウクライナと戦う意思はないことを示したのだ。  

ルカシェンコは、身の安全さえ保証されれば、西側との協力も惜しまない姿勢だ。  ロシアというタイタニックは沈没しかけている。ベラルーシは中国との関係が深いので、西側よりも、中国を頼りにする可能性はある。軍事部門を含めた共同計画も多い。

モルドバのトランスニストリア(沿ドニエストル)地方はどうなるのか?

 トランスニストリア(沿ドニエストル)はすでに使い古されたカードだ。  ウクライナのオデーサに向けた第二戦線を開こうという試みは成功しないだろう。我々はオデーサの軍配置を変えるつもりはない。  トランスニストリアはNATOから厳しい警告を受けた。米軍の戦術部隊がいざという時に備えてルーマニア・モルドバ国境に投入された。もちろんNATOはこの戦争とは距離を置く姿勢を変えていないが。

現状ではトランスニストリア地方のロシア軍は全モルドバ軍よりも強力だ。だが、大事なことは、ついにモルドバがロシアに対する制裁に加わったことだ。ルーマニアもモルドバへの財政支援を決めた。

米議会がようやくレントリース法(武器貸与法)を可決し、ドイツもようやく重火器の提供を決めたが

 まず重火器類はすぐにウクライナに届くわけではない。そして迫撃砲と違って2,3時間の教習で習得できるものでもない。スペシャリストが西側のシステムを習得する必要があるが、何とかなる。西側での教練も進んでいる。

 ドイツのラムシュタイン米空軍基地には武器を積んだ輸送機が次々にやってきている。民間の飛行場より忙しいくらいだ。4月26日のラムシュタインでの40カ国国防相会議の後、空軍基地は24時間体制で動いている。  あとはウクライナ国内への輸送とスペシャリストの教習だけだ。

 戦争というものは、軍改革には最高の時間で、この戦争によってウクライナ軍は旧ソ連の軍事体系から離れて、全面的に西側の軍備とシステムに移行することができる。  この8年、われわれはNATO標準への移行を議論してきたが、ようやく実戦で移行できるようになった。この戦争によってウクライナ軍はまったく別の、西側的な軍隊に生まれ変わった。

 これまではロシア領内に届く長距離砲がなかったが、西側の援助で手に入れば、われわれもロシア領内の武器庫や輸送線を叩くことができるようになる。これは大きな利点だ。  ロシア側にも空襲警報が鳴り響くことになる。戦争がどういうものかを実感するだろう。

2022.05.3

プーチン、アングロサクソンとの戦争を主張して大規模動員を発表?

ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ准将は2日、プーチンは大規模動員を国民に受け入れさせるためウクライナとの戦争を「アングロサクソンとの戦争」にパラダイムシフトさせる可能性があると指摘している。

ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ准将の話はどこまでが真実なのかは不明だが中々か興味深い

ロシア軍による「占領下政策」や「ドンバス地域での作戦」が成果を上げていない理由についてウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ准将は公にできる範囲で説明しており、どこまでが真実なのかは不明だが中々か興味深いものがある。

ロシアの占領政策について
ロシア軍は占領下のヘルソンでウクライナからの分離・独立を問う(疑似)国民投票を4月27日に行う予定だったが、何も実施されないまま現在に至るのは宛にしていた「潜在的な協力者」が裏切ったためで、占領地行政を円滑に行うための人材が強烈に不足しており、農機具や穀物を盗むことで人工的に飢餓状態を作り出しロシアが救いの手を差し伸べる=人道的な食料援助を行い地域住民からの人気を獲得しようと考えている。

つまり最も費用のかからない方法で人々にパン屑を与えようとしているのだ。

さらに住民をロシアに連れ去っているのは社会的・人口的構造をロシア人に置き換えるという目的と、知的水準の高いウクライナ人を辺境地に送り込み低賃金で奴隷のように働かせるという目的があり、ロシアは旧ソ連が実行してきた恥ずべき習慣を踏襲しているのだろう。

ウクライナ南部についてプーチンは帝政ロシア時代に短期間存在したタヴリダ県(州)の復活か、オデーサ、ムィコラーイウ、ヘルソン、ドニプロペトロウシク、ドネツィクの一部で構成された馴染みの薄いНебесный город=天空都市構想の実現かで悩んでおり、ドンバスの疑似共和国についてもロシア連邦に編入するのか、親ロシア政権が運営する国家として存続させるのかまだ決定していない。

スルコフ大統領補佐官を解任してキリエンコ第1副長官にドンバス問題の担当を変更しているので同問題をクレムリンが直接管理していることだけは確かだが、ドンバスについて決断を下すにはドネツィク州とルハーンシク州の全域(行政区分の全て)を支配する必要がある。

ロシア軍で最も問題になっている課題は?
短期間で片がつくと考えていたウクライナでの戦いがいつ終わるのか分からなくなった点と、約2ヶ月間の戦いで被った人的被害が大きすぎる点で、すでにロシアは極秘裏に動員準備を整えつつあるが、問題はこれを国民にどのように受け入れさせるかだろう。

プーチンは国民に「ウクライナ軍はロシア軍の敵ではなく特別軍事作戦も計画どおり順調に進んでいる」と説明しているので、なぜ大規模な動員が必要になるのかを説明しなければならない。

絶対にプーチンは「ウクライナに負けている」とは認められないので「ウクライナ以外の要素が戦いを難しくさせている」と主張する必要があり、最も可能性の高いのは「ウクライナでの特別軍事作戦」を「アングロサクソンとロシアの戦争」にパラダイムシフトさせて大規模な動員を国民に受け入れさせる方法だ。

どちらしても5月9日に何らかの口実を作って大規模な動員を発表するだろう。

ロシアはトランスニストリアをどのように利用するつもりなのか?
トランスニストリアを軍事的に活用するには重大な欠点がある。いくら叫んでもトランスニストリアはウクライナとモルドバに挟まれているので物理的にアクセスする方法がなく、駐留する1,300人程度の戦力では何もできないだろう。ただウクライナ、モルドバ、ルーマニアを含む地域を幾らか不安定にさせることは可能だ。

ロシアが戦術核兵器を使用する可能性は?
戦術核兵器が使用される可能性は常につき纏うが、もし使用すればロシアは完全に終焉を迎えるはずで幾つかの国に分割されるか、新たな指導者が現在のロシアを維持するかのどちらかしか選べない。もし後者の選択しても新しい指導者は「旧ソ連時代からプーチンまでの行いは気が狂った独裁者の責任で新生ロシアとは無関係」と宣言するはずで、北方領土やカリーニングラードといった占領地を放棄することになる。

この結末はクレムリンも承知しており、表向きの強行姿勢とは別に西側諸国と水面下で接触して打開策を模索しているのだが、最も恐れているのは彼ら自身がプライベートな財産を失うことだ。

そうなれば自分達の人生が終了することをよく理解している。

戦争終結後にプーチンは生き延びることが出来るのか?
プーチンに逃げ道を残すのも一つの方法だが恐らく不可能だろう。彼は全世界から戦争犯罪者に指定されているのでプーチンは完全に終わりだ。彼は自身の運命を自身の手で袋小路に追いやってしまった。

なぜロシアが核兵器を使用した際の結末が「幾つかの国に分割される」「新たな指導者が現在のロシアを維持する」の2つしかないのかは謎だが、新しい指導者が全ての責任を旧ソ連時代からプーチンまで独裁者に押し付けて「新生ロシアとは無関係」と主張するという発想は中々斬新だ。

勿論この理屈が通用するかは謎だが、、、


プーチン大統領、がん手術で指揮権手放すのか...健康不安説

2022.05.02 15:21

ロシアのプーチン大統領ががんの手術を受けるため一時的に軍事作戦の指揮権を手放すという。英大衆紙デイリーメール、ザ・サン、ザ・ミラーの電子版は4月30日、「クレムリン内情に詳しい軍関係者」の話を根拠に「プーチン大統領は胃がんが進行し、医師団から手術を強く勧められ、当初4月後半に予定されていた手術が延期された」とし「今のところ5月9日の戦勝記念日が終わってからになるという」と伝えた。プーチン大統領がが手術を受ける場合、軍事作戦の指揮権を手放すしかない。プーチン大統領には以前から健康不安説が提起されてきた。露メディアは公開された政府文書を分析し、2016-20年にプーチン大統領がソチの官邸に滞在したり、数日間にわたり姿を見せなかった当時、大統領担当医師が官邸付近のホテルに宿泊していたことを確認したと明らかにした。医療スタッフはプーチン大統領が官邸に入る前日にホテルに到着し、2016年と19年には投宿する医師の数が多く、プーチン大統領が手術を受けた可能性があると主張した。4月21日にはプーチン大統領が会議中にやや体をななめにしながらテーブル強く握っている姿が確認され、健康異常説がまた浮上した。プーチン大統領はショイグ国防相と共にロシア軍事作戦を議論する場面がテレビでで中継されたが、片手でテーブルを握って足を少し動かしていた。このためプーチン大統領の健康状態が悪化したことではという疑惑がまた提起されたと、テレグラフなど海外メディアが報じた。特に一部ではロシアがウクライナを侵攻した2月24日以降、プーチン大統領の健康が急激に悪化しているという主張もあった。元英保守党下院議員は「以前にプーチン大統領がパーキンソン病だと書いたが、今回の映像では震える手を隠すためにテーブルを強く握る姿が確認できる」とし「足が動くのは止めることができなかったようだ」と話した。


ウクライナの人々が"プーチン戦争"に抵抗し続ける根本理由スターリンからプーチンまで...独裁者との生存をかけた闘い

2022/05/01 11:00

2月24日のロシアによるウクライナ侵攻開始以来、ウクライナの人々はその激しい抵抗ぶりと巧みな情報戦略で世界を驚かせている。池上彰さんは「大きな犠牲を払ってもまったく怯むことなく、団結してロシア軍に抵抗し続けるのは、旧ソ連時代に蹂躙され、筆舌に尽くしがたい悲劇を経験したからだ」という──。(第1回/全2回)

※本稿は、池上彰『池上彰の世界の見方 東欧・旧ソ連の国々』(小学館)の一部を再編集したものです。

を襲った悲劇

2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻し、現在、ウクライナの民間人にも大きな被害が出ています。

ウクライナは、北はベラルーシ、東はロシア、南は黒海に面し、肥沃(ひよく)な大地があって、農業が盛んです。「欧州の穀倉地帯」といわれ、面積は日本の約1.6倍。

ウクライナの国旗は、上半分が青、下半分が黄色なんです。上の青は青空、下半分の黄色は小麦畑を象徴しています。青空のもと、見渡すかぎり、小麦畑が続いている。これがウクライナの国旗なんですね。

なぜヨーロッパ有数の穀倉地帯なのかというと、その秘密はロシア語で「チェルノーゼム」と呼ばれる黒土にあります。枯草などの有機物を微生物が分解したあとに残る栄養豊富な腐植を多く含む肥えた土壌のことです。

ウクライナには、世界の黒土の約3分の1から4分の1が存在するといわれ、その恩恵によって非常に豊かな農業国になっているのです。

旧ソ連時代の2度の大飢饉

ところが、そのウクライナで、ソ連時代に大飢饉(ききん)が2度発生しました。

最初は1921~22年にかけてで、この時は深刻な干ばつが原因でした。ソ連政府は餓死者が出るほどの飢餓の状態を隠していましたが、結局、援助を世界に求めざるを得なくなり、それらの支援と翌年の豊作によって飢餓を脱しました。

2度めは1932~33年にかけてで、少なくとも400万人が餓死したといわれるほどの大飢饉でした。1000万人以上が餓死したんじゃないかという研究者もいます。この大飢饉は共産主義政権の悪政がつくり出したものだったのです。

当時、ソ連ではスターリン体制のもと、農業の集団化を進めていました。スターリンはなぜ集団農業という方法を考えて実行したのか?

資本主義においては、資本家が労働者から搾取(さくしゅ)している。だから、社会主義革命によって、労働者が資本家に打ち勝たなければならない、と考えたのです。

では、資本家と労働者は何が違うのか? それは「生産手段」を持っているかどうかということです。

資本家は生産手段を持っている。たとえば、工場や機械類ですね、これが生産手段。そして、生産手段を持つことで労働者を雇い、労働者から搾取するという構造になっている。それなら、社会主義革命によって、労働者が資本家から生産手段を取り上げて、自分たちのものにすればいいのだ──。

これがソ連、あるいは、スターリン流の社会主義の考え方です。

スターリンの農民収奪計画

資本家が生産手段を持っていて、労働者は生産手段を一切持っていない。自分たちは労働力しか持っていない。資本主義ではこういう構造になっていると考えた時に、問題は農家です。

農民たちはどうなのか? 農民たちは農地を持っているでしょう。あるいは、さまざまな農機具や家畜を持っていますよね。これは生産手段を持っていることになるわけです。スターリンの考える社会主義体制に農民たちを組み込むには、どうすればいいのか?

そこで、スターリンは、自分の土地を耕して自活していた農民たちから生産手段(農地、農機具、家畜)を取り上げて、集団農場に集めて働かせ、収穫した農産物を国家に納めさせるという方法をとることにしたのです。

そのあと、中国でも、あるいは、北朝鮮でも同じことが行われます。

「農業集団化」で低下し続ける生産性

集団農場入りを強制された農民たちは、自分の家畜を食べてしまうか売ってお金に換えました。この時期にウクライナから家畜の半分が消えたといいます。それは、農民たちのせめてもの抵抗だったのです。

また、比較的豊かな農民は「富農」、貧しい農民は「貧農」に無理やり分け、「富農」はブルジョワで人民の敵であるとされ、収容所に送られたり処刑されたりするなど徹底的に弾圧されました。「貧農」は集団農場の「労働者」にさせられました。農民を、都市の工場労働者と同じように、生産手段を一切持たず、労働力しか持っていない存在にしたのです。

農業は自然が相手です。雨が降ったらどうしようかとか、寒くて霜がおりたらどうしようかということを農民たちは常に考えて、自分の畑に手をかけています。

ところが、熱心に働いてたくさん収穫していた「富農」を絶滅させてしまったので、集団農場で熱心に働く人がいなくなってしまいました。「貧農」はもはや労働者ですから、朝9時から夕方5時まで働いて給料をもらえばいい、ということになり、労働意欲が低下しました。

この農業集団化によって農業生産性がどんどん落ちていきました。

生産者を痛めつける搾取

生産量が減っても、ウクライナは小麦の大産地ということで、収穫した穀物は農民たちの取り分がなくても、強制的に国に持っていかれました。

当時、ウクライナはソ連全体の穀物の27%を生産していましたが、政府調達ノルマは38%だったという報告もあります。

その結果、ウクライナではとてつもない飢饉が広がって、多数の餓死者が出る状態になったのです。食物を隠した者は、人民の財産の窃盗罪で死刑にする法律ができたというから驚きです。

ロシア革命後、ソ連は重工業を重視した政策を進めていました。無理やり先進国の仲間入りを果たして、社会主義がいかに素晴らしいかを世界に示そうとしたのです。

その結果、農村で収穫される穀物は、都市の労働者に与えることが優先され、また機械輸入に必要な外貨獲得のため輸出に回されたのです。ソ連は、ウクライナが飢餓状態だった時も、穀物を外国に輸出し続けていました。

ホロドモールの悲劇

当時のウクライナの写真が残っていますが、餓死者と見られる遺体が通りに置かれたままで、それが日常の風景になってしまったのか、人々がその横を平然と歩いているのです。

あるいは、食べるものがなくなって追い詰められ、人肉食が始まりました。飢え死にした人の肉がマーケットで売られて、それを買って食べる人がいるという、それはそれは悲惨な事態がウクライナで起きたのです。

集団農業政策の失敗のせいで、豊かな穀倉地帯だったところがそんな状態になったわけです。

人為的に引き起こされたこの大飢餓は、ウクライナ語で「ホロドモール」と呼ばれていて、ナチス・ドイツがユダヤ人に対して行ったホロコーストと並ぶ20世紀の悲劇とされています。

ウクライナが内戦状態になった

ウクライナの人たちには、スターリンのもとでひどい目にあったという、歴史的な記憶があるわけだよね。だから、ソ連が崩壊して切り離されたら「とにかくロシアは嫌だ、西側のEU諸国と一緒になりたい」という思いを抱く人が多いわけです。

ただし、ウクライナの東部には昔からロシア系住民が住んでいましたし、ソ連時代に移ってきたロシア人も多いのです。ウクライナが独立をし、西側と一緒になりたいとなると、ウクライナの東部にいるロシア系の住民が「ロシアから離れるなんてけしからん」と、こういう対立の構図ができてしまいました。

ウクライナの西側はEUと一緒になりたい親EU派、東側はロシアと一緒になりたいという親ロシア派に分かれて、ここで内戦状態のようなことになったのです。

きっかけは2014年に起きたロシアのクリミア併合でした。

ロシア人と「クリミア半島」の複雑な関係

ウクライナの南部で黒海に面したクリミア半島は、特にロシアにとって保養地として素晴らしいところなのです。温暖で、ロシア人は冬にクリミアへ遊びに行くのがとても楽しみなのです。

クリミア半島は、もともとロシアに属していました。それをスターリンが亡くなったあと、政権のトップに就いたフルシチョフ第一書記が、ロシア領だったクリミアをウクライナにプレゼントしたのです。

スターリンが進めた集団農業で、ウクライナはひどい被害にあったでしょう。ウクライナの人々には反ロシア感情が植えつけられました。フルシチョフはウクライナを懐柔(かいじゅう)するためにクリミア半島をウクライナに編入したのです。

歴史的にも戦略的にも手放したくない土地

それでも、ソ連時代は、ロシアもウクライナもソ連を構成する共和国でした。クリミア半島がどちらに属していても、同じソ連国内の話です。ところが、ソ連が崩壊して各共和国が独立したので、クリミア半島はウクライナのものになります。

これがロシアには面白くありません。歴史的に見ても、クリミア半島は長い間ロシアに属していました。ヤルタの西に、黒海に面した不凍港のセバストポリがあります。ここはロシアの南下政策の拠点で、要塞(ようさい)が築かれていました。

かつてクリミア戦争(1853~56年)の際に、ロシア軍5万がセバストポリ要塞を連合軍から守るため、激戦を繰り広げました。ロシアにとって、セバストポリは歴史的にも戦略的にも、手放したくないところなのです。

クリミア危機とは何か

ウクライナには、ウクライナ人もいればロシア系の人もいるでしょう。だから、大統領選挙をすると、ロシアとの関係を改善したいという親ロシア派の大統領になったり、ロシアから離れたい親EU派の大統領になったりするわけです。

2013~14年にかけて、当時のヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領は親ロシア派でした。ロシアとの関係を維持したい大統領に対して、民主化運動が起きて、それが反政府運動に発展。ヤヌコビッチ大統領が逃げ出して、ロシアに亡命するという出来事がありました。

この大統領は、国の金を使って自分の家をまるで宮殿のようにしていたことが、逃げ出したあと暴露されました。それによって、ウクライナの特に西側では、反ロシア感情が一挙に盛り上がります。

クリミア半島を占領した正体不明の武装勢力

すると、プーチン大統領が突然、クリミア半島はロシアのものだと言い出したのです。ウクライナが独立したら、クリミア半島がウクライナのものになったでしょう。プーチン大統領は、クリミア半島がウクライナのものになってしまったことを、苦々しく思っていたのでしょう。

ウクライナの大統領が逃げ出して国内が混乱している。そのすきをついて、突然、このクリミア半島はもともとロシアのものなんだと言い始めたわけです。そして、正体不明の武装勢力がクリミア半島を占領します。組織立った大勢の兵隊が出動したのですが、軍の国籍を示す印もつけていませんでした。

一方、クリミア自治共和国では、クリミアがウクライナから独立をし、ロシアに帰属するかどうかを問う「共和国政府」による「住民投票」を実施しました。その結果、ロシア編入に賛成という票が圧倒的多数を占めたと発表され、ロシアは、クリミア自治共和国の選挙結果を承認するというかたちで、クリミアを「併合」しました。

ウクライナ政府は、これをロシアの武力による違法占拠として承認していません。

プーチンの「うそ」

ウクライナではロシアに亡命したヤヌコビッチ大統領のあと、親EU派のポロシェンコ大統領を経て、2019年からヴォロディミル・ゼレンスキー大統領になりました。

プーチン大統領は、我々はロシア軍をクリミア半島には一切送っていない、とずっと言い張っていました。国際社会は、ロシアが軍事力を使って、クリミア半島をウクライナから奪い取ったと考え、ロシアに対する経済制裁を始めます。EUやアメリカが、たとえばロシア製品を買わない、あるいは、ロシアにいろんなものを輸出しないという制裁をとるようになりました。

プーチン大統領は一切ロシア軍を出していないと言っていましたが、クリミア半島にロシアが入ってから1年経った記念式典で、「我々ロシア軍によってクリミア半島を奪い返すことができた」と言いました。

つまり、前の年、ロシア軍は一切出していないと言っていたのは全部うそだったのですね。そして、この時プーチン大統領は、クリミア半島併合に対して、ヨーロッパやアメリカが反発することに備えて、核兵器の使用を準備していたとまで言ったのです。

2014年は相手にならなかったウクライナ軍

ところで、ロシア軍がクリミア半島を占領した際、ウクライナ軍の兵数はわずか5万人くらいで、ロシア軍の相手になりませんでした。

さらに、ウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力にも対抗できず、武装勢力はドンバス地方のドネツク州とルガンスク州に、それぞれ「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」という自称国家を設立しました。

その後、ウクライナは徴兵制を施行して20万人の兵員を確保、軍務経験のある予備役の兵士が90万人に上るまでに軍を強化しました。

2022年1月からは、ウクライナが侵略を受けたら、すべての国民が国土防衛にあたる義務があるという法律が施行されました。

8年続いた内戦から、ついにロシアの侵攻へ...

ウクライナでは、クリミア併合からずっと、親ロシア派の武装勢力とウクライナ政府軍との内戦状態が続いています。この親ロシア派の武装勢力はみんなロシア製の武器を持っています。

でも、プーチン大統領は、「ウクライナにはロシア軍の兵士はひとりもいない、彼らはロシア軍をやめて、自主的にウクライナに行っているんだ」という言い方をしていました。これはどういうことなのでしょう?

実際に何が起きていたかというと、ロシア軍がウクライナの親ロシア派の住民を支援するために国境まで行きます。すると、そこでロシア軍の将校がロシア兵に向かって、「お前たち、たった今をもって、ロシア軍をやめろ。今から我々はウクライナに行く」と言うのだそうです。つまり、ウクライナ領内では元ロシア兵になる。

ロシアに戻ればロシア軍に復帰しますが、万一捕虜になったり、あるいは、死んでしまったりしたら、元ロシア兵ということにしていたのですね。実際には、ウクライナの親ロシア派をロシア軍兵士が支援をしてきました。

そうして、ついに今回、ロシア軍がウクライナに侵攻したのです。


プーチン体制、ついに「終了」か...とうとう米国が「ロシア打倒」に本気を出した!

4/29(金) 7:02配信

 米国がウクライナ戦争の戦略を大転換した。戦争の目的を「ウクライナ防衛」から、事実上の「ロシア打倒」に切り替えたのだ。これに対して、ロシアはこれまで以上に「核の使用」をちらつかせて、威嚇している。米国は核戦争に陥る危険を、どう評価しているのか。 【写真】プーチンが核ミサイルで狙いうる「日本の都市」の名前  私は4月15日公開コラムで「米国は本気でロシアと対決する覚悟を固めている」と書いた。そう考えた理由は、ジョー・バイデン大統領が「プーチンを権力の座から追い落とせ」などと、強硬発言を繰り返していたからだった。  そんな見方は、最近のロイド・オースチン米国防長官の発言によっても、あらためて裏付けられた。オースチン長官は4月25日、アントニー・ブリンケン米国務長官とともにウクライナの首都キーウを訪問した後、ポーランドで開いた記者会見で、次のように語った。 ---------- 〈我々は、ロシアがウクライナ侵攻でやったようなことを(再び)できないようにするまで、弱体化させたい(We want to see Russia weakened)。我々は、彼らが自分の力を極めて迅速に再生産できるような能力を持っていてもらいたくはない〉 ----------  この発言について、記者から真意を問われたホワイトハウスのジェン・サキ報道官は25日の会見で、こう答えた。 ---------- 〈プーチン大統領は2カ月前、演説でウクライナを飲み込み、彼らの主権と領土を奪取したい、という野望を語っていた。彼らはそれに失敗したが、いまや、その先に行こうとしている。国防長官が言ったのは、そんな事態が起きないようにするのが我々の目的、ということだ。たしかに、戦争はウクライナで起きている。だが、我々はロシアが力を尽くし、プーチン大統領がいま以上に目標を拡大するのを阻止しようとしている〉 ----------  すると、記者から「ホワイトハウスには、長官発言がロシア国内で『西側は我々をやっつけようとしている。封じ込めようとしている』と受け止められ、それが『プーチンの権力を強める結果になる』という懸念はなかったのか」と質問が飛んだ。  報道官はこう答えた。 ---------- 〈いいえ。長官の発言は「プーチン大統領を追い返すために、できることはなんでもやる」という我々とバイデン大統領、そして長官自身の見方と一致している。プーチンはウクライナを征服し、領土と主権を奪いたいのだ。そして、2カ月前に彼が抱いていた野望はいま、その先に進もうとしている(go beyond that)〉 ----------  以上で明らかなように、国防長官の発言は失言ではない。そうではなく、これはバイデン政権で共有された見方なのだ。そして、一連のバイデン発言とも整合的である。振り返れば、バイデン大統領が3月1日の一般教書演説で「彼を捕まえろ」と絶叫したあたりから、政権はウラジーミル・プーチン体制の転覆を視野に入れていた、とみていい。  長官発言を額面通りに受け止めれば「米国はロシア軍が2度と他国を侵略できなくなるまで、徹底的に壊滅する」という話になる。私は、太平洋戦争で敗北した日本の軍部が、米国との戦いとその後の占領政策によって、完全に壊滅させられた例を思い出す。

加速するウクライナへの軍事支援

 米国の決意は、言葉だけでもなかった。  オースチン国防長官は26日、ドイツのラムシュタイン空軍基地に40カ国以上の同盟国、友好国の軍トップや政府代表を集めて、ウクライナ支援の調整会議を開いた。そこで、ドイツはゲパルト対空戦車50両をウクライナに提供する方針を表明した。  ドイツは当初、ウクライナにヘルメットを提供するだけで、軍事支援に腰が引けていた。その後、防御用兵器の提供に踏み切ったが、今回は完全な攻撃用兵器である。こちらも方針の大転換だ。背景には「ここで米国と足並みをそろえておかなければ、戦後体制の構築で発言権を失う」という判断もあったに違いない。  米国は太平洋戦争で、ドイツや日本が降伏するはるか前から、英国、ソ連とカイロ(1943年11月)、テヘラン(同)、ヤルタ(45年2月)、ポツダム(45年7月)で会談を重ね、戦後処理と戦後体制構築を議論した。今回もドイツの空軍基地に集まった約40カ国を中心に、新たな世界秩序を議論していくだろう。  そう考えれば、ドイツも米国に協力する以外に道はない。日本もまったく同じである。ただ、岸田文雄政権の不甲斐なさを指摘するのは、別の機会に譲ろう。  米国は、どこまでやるつもりなのか。  ブリンケン国務長官は26日、米上院外交委員会で「もしも、ウクライナが国の主権と民主主義、独立を守るのが(戦いの)目的であると考えるなら、我々はそれを支持する」と語った。ニューヨーク・タイムズによれば「ウクライナがロシア軍の東部からの追い出しを目指すなら、米国はそれを支援する」という意味だ。これも国防長官発言と整合する。  なぜなら「ロシア軍を壊滅する」と言っても、核戦争の危険を考えれば、米軍が直接ウクライナで、あるいはロシア領土に踏み込んで戦うわけにはいかない。戦場は、あくまでウクライナ領土だ。したがって、ロシア軍殲滅にはウクライナ東部の戦いが鍵になる。つまり「東部から追い出すまで戦う」必要があるのだ。

ロシアの核兵器にどう対峙するのか?

 米国の対決姿勢に、ロシアはどう反応したか。  真っ先に声を上げたのは、セルゲイ・ラブロフ外相である。彼は国営通信のインタビューで「危険を過小評価すべきではない。第3次世界大戦の危険はリアルだ」と語った。これだけでは不十分、と考えたのだろう。27日には、プーチン大統領自身が議会で演説し「核の使用」をちらつかせた。 ---------- 〈もしも、だれかが外部から介入し、ロシアの戦略的立場を脅かすようなら、彼らは「稲妻のようなスピード(with lightning speed)」の反撃が起きることを知っておくべきだ〉 ----------  ロシアはこれまでも核で脅してきたが、東部から追い出されそうになったら、本当に核のボタンに手を伸ばす可能性は否定できない。バイデン政権は危険をどう評価しているのか。国防総省のジョン・カービー報道官は27日の会見で、こう語った。 ---------- 〈ロシアの指導者、最近ではラブロフ外相が核対決の亡霊に言及したが、まったく無責任だ。そんなことは誰も望んでいない。この戦いが核戦争にエスカレートするのは誰も見たくはないし、そうなる理由もない。プーチン氏が、そんなことに興味があるようにも見えない。なぜなら、彼はドンバス地域と南部で、いまも戦っているからだ。我々は核の脅威を毎日、監視している。今日もだ〉 ----------  重要なのは、最後の部分である。  米国は、ロシア軍の動静を日々、詳細に把握している。26日付のワシントン・ポストは「ロシア軍が戦闘でどう動いているか、彼らの戦術と手順について、米国は宝のような情報を入手している」と報じた。次のようだ。 ---------- 〈我々(米軍関係者)は、それを「フリーチキン(ただのチキン)」と呼んでいる。情報機関はこれまで「相手が何をしているのか」を探るのに、何年も費やしてきた。ところが、いま我々はそれを毎日、タダで手にしている。それは今後、何年も相手の行動プロファイルをつくるのに役立つはずだ〉 ----------  米軍の情報入手について、実態が報じられることはめったにないが、このコメントは一端を垣間見せている。通信傍受、スパイからの情報など、ありとあらゆる手段を使って情報収集している様子をうかがわせる。報道官発言と合わせてみれば、米国は核兵器の運用についても「詳細な情報をリアルタイムで入手している」とみていいのではないか。  国防長官の大胆な発言は、そうした機密情報の分析を基に「ロシアに本格的な対決姿勢を示しても、深刻な危機は当面ない」と判断したように見える。  ウクライナの戦争は、ロシアが敗北した首都キーウの攻防戦から東部、南部をめぐる攻防に主戦場を移した。米国はさらに一歩踏み込んで、ロシア軍とプーチン体制の打倒を目標に掲げた。それを正確に認識しているのは、ほかならぬロシアである。  ラブロフ外相は、先のインタビューで「西側はウクライナを守ると言いながら、我々と『代理戦争(a proxy war)』を戦っている。それは世界的な核戦争にエスカレートする可能性がある」と語っている。当事者が「真の敵は米国」と認識しているのだ。  ウクライナの隣国、モルドバではロシアの「偽旗作戦」とみられる爆発事件も起きた。戦争は拡大する気配が濃厚になってきた。

長谷川 幸洋(ジャーナリスト)


ロシアの最先端ドローンに世界仰天、カメラもエンジンも日本製

経済制裁で在庫限り、米軍の攻撃用無人機と比較してみると・・・

2022.4.25(月) 伊東 乾 フォロー

 1980年代、ソ連末期から国家体制のリセット、プーチンが権力を掌握する2000年頃までロシアは経済の混迷を極め、とてもではないが新型兵器開発の余裕はなかった。

 プーチンが大統領を射止める2000年選挙ではチェチェン攻撃が劇場型戦争のごとく人気取りに利用されました。

 圧倒的多数の支持で当選するさまは1933年ドイツ、アドルフ・ヒトラーの権力奪取を彷彿させるものがあります。

「チェチェン侵攻」は250%純然たる「旧ソ連型」の軍事制圧で、カディロフ傀儡政権の特殊部隊も極めてソ連的な残忍さ、とりわけ「弱い者いじめ」の民間人圧殺で知られます。

 やはり旧ソ連型の武装集団として知られるロシアの「民間軍事会社」ワグナー・グループに至っては、ここに詳述するのも憚られる「首狩り」や「遺体への放尿」など、悪逆非道が動画でも流出。

 実はこうした蛮行は湾岸戦争などで米軍もしでかしており、戦争という異常状態は人を野獣に変えてしまう。それ自体を全否定するのが人間性の第一歩です。

 ちなみにこのロシア「ワグナー」グループ、社名の由来はアドルフ・ヒトラーが愛したドイツの作曲家リヒャルト・ヴァーグナー(私にとってもバイロイト祝祭劇場とのライフワークで深い縁のある人ですが)から取られたものだそうです。

 プーチンを筆頭に旧ソ連の暴力は徹頭徹尾、ナチスドイツを手本にしたがる。スターリングラードの強敵ナチス。いかにも強そうで、好きなのでしょう。

 そんな具合で露軍は原則「旧ソ連型」。特徴を端的に言えば「重厚長大」「力任せ」「マッチョ志向」といったところでしょうか。

 ところが巨大戦艦「モスクワ」はその正反対、ラジコンのように小さく軽やかなトルコ製ドローンに翻弄され、自爆沈没してしまいました

 では「古い暴力」に固執するロシアには「ドローン」は全く存在しないのか。いや、ロシアにも実は「ドローン」的な軍事技術が少しだけ存在します。

 つまり攻撃機能を持たず、もっぱら戦場や敵陣を「偵察」に特化した飛行兵器ですが、実はこれ、ほとんど日本製品の流用で成立している情けなさ、というのが今回のお話です。

激安のロシア製「覗き見」ドローン

 このオルラン10、いきなりお値段の話で恐縮ですが、1機8万7000~12万ドル、昨今の円ドルレート(1ドル128円)で計算すれば1110万~1536万円程度。

 庶民がちょっと、という価格ではありませんが、一般の日本人でもお金をためれば買える可能性のある値段に見えます。実際買っても、何に使うかの問題は別ですが・・・。

 これに対し米国の攻撃用ドローン「MQ-9(リーバー)」は1機1700万ドル、主力の「MQ-1(プレデター)」はもう少し安価で450万ドル。 各々日本円にして21億円、5億7600万円。

 庶民が一生掛かっても購入できるような値段ではありません。仮に購入できても、即座に逮捕されそうですが。

 なぜ「ロシアのドローン」はこんなに安いのか?

 理由は「何もしないから」。ただ飛んでるだけ、「オバケのQ太郎」みたいなもので、正確には「覗き見担当」攻撃機能皆無の「偵察機」だからにほかなりません。

 これに対して米軍のドローンは大変に高価です。そしてその理由は「人間に代わって攻撃できる」機能を具備させているから。

 もっと言えば「軍人を戦地に送らず、白兵戦を卒業する」ため、米国は攻撃用ドローン開発に予算と技術を投入しています。軍側にそういうニーズがあったのです。

 背景の一端は、古くは第1次世界大戦~ベトナム戦争、21世紀に入ってからでは「第2次湾岸戦争」と呼ばれた中東での戦闘で、帰還兵が背負い込んできた「PTSD」「廃人化」などにあります。

 詳述すると紙幅を取りますので、これについては機会を改めます。

 要は、米国のドローンは生身の兵士が白兵戦を経験せずに済むよう、人間の代わりに攻撃を「代行」してくれる、超精密兵器として開発されている。

 バラク・オバマ民主党政権期、第2次AIブームに沸き立つ米国で5億とか20億といった値段になったのは、兵隊の命(死後の家族年金、恩給なども含め)や乱射事件などのリスクから考えても、収支が十分ペイする単価設定で商品化されたわけです。

 ところが実戦配備してみると、絶対安全な基地で遠隔操縦しながら、ジョイスティックで敵を爆殺、飛び散る人体などを目視してしまい、定時になると退勤、普通の生活というギャップから、重度の精神障害を病む「バーチャル・パイロット」が続出。

 そこで「その瞬間」を見ずに済む「自爆型ドローン爆弾」への「人道的軍事イノベーション」が進む・・・といった悪循環が進み、7年来、とりわけ欧州で「自動運転・AI倫理」の主要論点の一つですので、追ってご紹介できればと思います。

 このように米軍事情とロシアの「無人偵察機」開発は、動機が全く異なっていたのでした。

「当てずっぽう」のバズレ確認担当

 ロシアでの「無人偵察機」開発の動機は、米国とはおよそ異なっていた。

「着弾位置の確認」。どういうことでしょうか?

 ミサイルのような誘導のない「砲弾」は、一度打ったはいいけれど、当たるか外れるかは時の運という、本質的に「風まかせ」「運まかせ」の側面がある兵器です。

 仮に絨毯爆撃的にエリアに投下すれば「確率的」に被害を出せる。「空爆」という攻撃の動機です。

 しかし大砲は元来地上設置で開発され「砲兵」は長らく「着弾位置」の確認が重要な任務でした。

 19世紀のクリミア戦争から100年前の「日露戦争」、さらには独ソ戦時代も含め、前世紀までの「砲弾」は基本「打ったら打ったなり」。

 風まかせで試しをぶっ放した後、その「着弾位置」を確認、本隊に連絡して射出角度などを修正して打ち直すという、原始的な戦争を続けていたわけです。旧日本軍もソ連軍も。

 ここで「着弾位置確認」は大変重要かつ危険な任務ですが、着弾つまり狙う場所は敵地なわけです。

 単身飛行機で乗り込んで偵察するとしたら、当然地対空砲で狙われますから、まさに決死です。

 このリスクを低め「ラジコン飛行機」に代替させようというのが、ロシア側の「無人偵察機」開発の一大動機でした。

 つまり旧式「無誘導砲弾の軌道修正」という、極めてアナログなミッションからソ連~ロシアは「無人偵察機」を検討し始めた。

 2015年以降は北方領土にも配備されているという「無人偵察機」オルラン10(https://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2021/html/n120504000.html)は2010年に完成・配備、2014年のドンバス戦争で用いられました。

 つまりロシア軍の攻撃は2010年代に至っても旧ソ連の「当たるも八卦、当たらぬも八卦」式。

 現在のウクライナ戦争も狙いの杜撰なアナログ兵器でハルキウやマリウポリの一般市民を砲撃、殺害している。

 この「着弾確認機」オルラン10、時速は150キロ、飛行高度は5000メートルまで可能で航続距離も130~150キロ程度。

 なかなか高精度なオルラン10と見えますが、実のところエンジンは「日本製」なのです。

 それも模型飛行機、ラジコンのモデル用、日本でエンターテインメント用に開発されたエンジンにロシア「軍」が頼っている事実が、既に国内でも報道(https://www.dailyshincho.jp/article/2022/04190601/?all=1)され始めています。

 ロシア唯一の「ドローン」が頼みにする、この「日本製エンジン」を作っているのは、東京都内と江戸川を挟んで対岸の千葉県市川市にある株式会社斎藤製作所(https://www.saito-mfg.com/)。

 トップシェアを誇り、世界に冠たる「SAITOの4サイクル模型飛行機エンジン」です。

モデラーの魂を震わすSAITOエンジン

 斎藤製作所のホームページによると、戦時中「中島飛行機」でエンジン製作に携わっていた初代社長が1949年に創業。

 1973年以降、模型飛行機用のスチームエンジン開発に着手、79年世界初の単気筒4サイクルエンジン「FA30」開発に成功!

 これが世界でヒットした。「心地よい4サイクルならではの排気音」SAITOサウンドと「求めやすい価格」で米国のディストリビューターから全世界に広がります。

 同社ホームページによれば資本金300万円、総従業員24人の「世界に冠たる技術企業」。実にカッコイイですね。斎藤製作所のような存在は、まさに日本の誇りです。

 その「求めやすい価格」を同社ホームページ(https://www.saito-mfg.com/productstop/products-4st/)から確認してみると・・・。

 デザイン性にも優れた5気筒のラジアルエンジンは新品で26万5000円。

 大半のラインナップは10万円台、単気筒の一番小さな「FA-40a」 は、何と税込み3万4870円。全世界の模型飛行機ファンの財布に優しく、技術の力と薄利多売で世界市場を制する、日本の誇るべき「斎藤製作所」の価格設定です。

 しかし、これはまた慢性金欠にあえぐ「ロシア軍」の財布にも優しかった。

 斎藤製作所は2006年、模型飛行機界では絶無であった「ガソリン」を燃料とする4ストローク・エンジンの開発に成功していました(先ほどのラインナップはその価格です)。

 そしてこれに目を付けたのが、予算もなければ技術力もない、旧ソ連末期から壊滅状態にあった「ロシア無人偵察機」オルラン10の開発チームだった

カメラはキャノンの一眼レフ

 オルラン10は2010年から配備されたとのことで、2006年にSAITOのガソリンエンジンが発表されると、それをしっかりFBSのスパイがチェック・・・したのだとしたら、かなり情けない諜報部員です。

 何にせよオルラン10はエンジンは日本製、多くのパーツは米国製(https://informnapalm.org/en/russian-drone-orlan-10-consists-of-parts-produced-in-the-usa-and-other-countries-photo-evidence/)、基幹開発力ほぼゼロ。

「無人偵察機」キットを組み上げるだけの「開発」なのに、3~4年を要したことになります。スローペースですね。競争がないから、急いでやる気もでないのでしょう。

 中でも極めつきは「カメラ」です。

 テレビ朝日なども報道(https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000252340.html)しているように「ロシアの軍事技術力を結集」して作られたという触れ込みのオルラン10でしたが・・・。

 実際にウクライナで撃ち落とされ、中身が分解されてみると、何と偵察機能の心臓部というべきカメラが日本の市販品。

「CANON」の一眼レフがまるのまま、テープで貼りつけてあったのがバレた。これは相当恥ずかしい。

 ちなみに、エンジンはたかだか20数万円、一眼レフも10万円台のリーズナブルな価格で調達可能で、その他も大したものでなく、「オルラン10」はまずもって100万円以下で製造・販売が可能な「趣味のラジコン」です。

 これに1500万円の価格設定は、どれだけ人件費積んでるのか知りませんが、さすがに盛りすぎでしょう。

「オリガルヒ」が隠してきた濡れ手に粟の商法、馬脚の一端が垣間見えたというところでしょうか。

 なるほど、土建屋市議出身の元上院議長などロシアの政治屋が「日本の経済制裁」に感情的な反応を示す背景には「世界のSAITO」エンジンなど日本製品が入ってこなくなったら、ロシアのドローンは「終了」してしまうというコアコンピタンス皆無、悲しい台所事情があったわけです。

 技術戦争で敗退し「竹槍」などもって「進め一億火の玉だ」などとオダを挙げる軍隊や国の末路はどうなるか・・・。

 当然ながら2022年の日本は、並行輸出も含め、世界のSAITOエンジンが露軍の手に渡らないようにチェックしなければなりません。禁輸の指摘が必要です。

 ちなみに私が物理学科で学んでいた冷戦末期には東芝ココム違反事件などが発生、対共産圏向けに武器となりうる先端機器の輸出は厳しく制限されていました。

 それにしても、CANONの一眼レフが「軍事用偵察機」の「眼」として転用とは、さすがのメーカーも思っていなかったかもしれません。何であれ、類似製品も含め禁輸措置を講じるべきでしょう。

 まるごと流用の「モジュール」から根絶やしにして、自前技術のないロシアのパチもんドローン「オルラン10」は「生産終了」に追い込むのが適切です。

若い世代の創造力が日本を守り育てる

 およそ右派ではなく、長年一貫してハト派の私ですが、「和平戦略」という一見すると語義矛盾のようなストラテジーは常に考えています。「平和構築」には「戦略」が必須不可欠。

 その観点から、お粗末なオルラン10の舞台裏を見るとき、「基幹競争力」コア・コンピタンスの重要性を感じざる得ません。

 ウクライナ戦争の源流は古代、中世から近世近代まで「東西の衝突」にも求められますが、直接的には、ロシアのグローバル戦略にとって貴重な「不凍港の軍港都市」セヴァストポリ奪還の主要な動機は「クリミア併合」(2014)の強行にあります。

 クリミアを押さえ、またドンバスを略取すれば、やはり貴重な凍ることのない海「アゾフ海」も、ロシアの内海として抱え込める。

 こうした古典的な領土野心むき出しで、旧ソ連武力で奪い取ろうとしたのが直近の大間違いだったと言えるでしょう。 

 対する米国・西側は「第1次経済制裁」。

 これによりロシアは2012年第2次AIブーム以降の先端軍事技術開発と完全に切り離されてしまいます。すでに米ソ宇宙冷戦期の科学力、技術力はプーチンのロシアに残っていなかった。

 2010年段階で「SAITOエンジン、CANON一眼レフ」パクリのロシアですから、これ以上の軍事技術の時代遅れはレジームの死命に関わります。

 プーチン政権は全力で「ロシアンゲート」工作、陰謀はKGB出身のシロヴィキが最も得意とするところで、実際、軍事作戦よりも成功した。

 2016年、米国史上でも最も恥ずかしい「トランプーチン」共和党政権が成立。数々の醜聞は今更記すまでもないでしょう。

 でもロシアのお寒い技術事情は改善しなかった。この間ウクライナでは親・米民主党・親NATO(北大西洋条約機構)のポロシェンコ~ゼレンスキー政権が成立。

 ウクライナでは「AI以降」の先端情報兵器が配備され、「トランプーチン」退場後の米バイデン政権下でNATOは東漸していき、ドンバスあたりには目に見えない「技術の絶壁」がそそり立っていた。

 片や2010年代「自動運転」の錦の御旗で高度化精緻化した「機械学習・高度自律システム」あえていえば「第2次AI化・西側軍装備」。

 他方1970年代以降実質的にイノベーションが進まず、2014年からは部品調達にも事欠くようになった「旧ソ連兵器」。

 4月18日以降、ネットも見ない携帯も持たない、頭脳はすでに退潮期に入っているおそれもあるプーチンは「過去の成功経験」に頼る典型的な失敗パターンで「ドンバス総攻撃」を大号令。

 実体のない「5月9日」戦勝記念日妄想の体面を保つだけのデマゴギーに奉仕する「プーチンの戦争」です。

 しかし、その軍備はといえば、相も変わらず旧式のブレジネフ兵器。

 これで攻撃できるのは丸腰の文民だけですから、できるのは市民虐殺が精々。我々が目にするのは焼け焦げた無残なソ連戦車の残骸と、破壊されたショッピングセンターや団地、工場や劇場などウクライナの民間施設ばかり、となる。必然的です。

 さらに実態がバレると「ブチャの英雄的行動」は模範的などとロシア兵を表彰して見せるプーチン・・・。4月下旬段階で、完全に末期症状です。

 太平洋戦争でいえば、ガダルカナル敗戦後の日本に近いかもしれません。それでもプーチンは「ロシア軍優勢」を吹聴する・・・大本営そのままです。

 そこからの推移を見守っている私たちは、もし、防衛を含め、日本の未来を大切に考えるなら、目の前でロシアが晒すような、無残で恥ずかしい「基幹競争力の喪失」は避けねばなりません。

 分かりやすく言えば、いまキヤノンや斎藤製作所が持っているコアコンピタンスこそが、日本の宝なのです。

 ロシアの寄せ集め開発者が見せるような「頭脳溶解」も避けなければなりません。

 21世紀、全世界的に並行して、子供の考える力の弱体化が報告され、その傾向はコロナ禍以降、激化が報告されています。

 大学で基礎教育に携わる観点から、「人づくり」こそ未来を築く唯一の道と強調しておきます。

 仮にロシアが本州上陸してきても、注意深い司令官なら千葉県市川市は空爆しないでしょう。斎藤製作所は安全に接収、何としても貴重な高性能エンジンの生産システムを横取りしたい・・・まあ、そんな本土上陸など決して許されることではありませんが。

 地下資源だけたくさん囲い込んだつもりで虚勢を張っていた「ロシア帝国」は、張り子のトラぶりが「キヤノン一眼レフのテープ貼りつけ」にまで堕落、弱体化の極にある真の馬脚を見せてしまった。

 こうなってしまっては、もうどうしようもありません。ロシアの軍事技術には独自の未来開拓の力は、もう、ない。それが正確に反映する戦線の推移となるでしょう。

「人は石垣、人は城」ではありませんが、日本は戦後の高度成長・技術立国を支えたのは「他国にマネのできない創造性」斎藤製作所のエンジンはそれを現在も実証し続けている。

 日本は若い世代のクリエイティビティを伸ばし、未来を開拓し続ける必要があります。

バイデン政権 「オリガルヒ」資産没収でロシアへの圧力強化へ

2022年4月28日 21時52分

メリカのバイデン政権は、ロシア軍の侵攻を受けているウクライナへの軍事支援などを強化するため、議会に追加の予算を求める方針で、これに合わせて、すでに制裁を科している「オリガルヒ」と呼ばれる富豪の資産を没収できる新たな権限を認める法案を提出することにしていて、ロシアへの圧力をさらに強めていく考えです。

アメリカのバイデン大統領は28日、ロシア軍の侵攻を受けているウクライナへの軍事支援などを強化するため、議会に追加の予算を認めるよう求める方針です。これに合わせて、バイデン政権は、すでに制裁を科している「オリガルヒ」と呼ばれる富豪の資産について、アメリカ政府が没収できる新たな権限を認める法案を提出することにしています。具体的には、アメリカ国内にある「オリガルヒ」の資産を没収するための新たな行政手続きの仕組みを設けることや、ロシアがウクライナに与えた損害を没収した資産で穴埋めできるよう権限を強化するなどとしています。アメリカは、ことし2月にロシアが軍事侵攻を開始して以降、ウクライナに対し、およそ37億ドル(日本円で4700億円以上)の軍事支援を行っていて、バイデン政権としては追加の軍事支援に加えて、プーチン大統領に近い「オリガルヒ」の資産の没収などの権限を強化することで、ロシアへの圧力をさらに強めていく考えです。


クライナ戦争、ロシア領内に拡大?...軍事施設で相次ぐ火災

登録:2022-04-28 10:14 修正:2022-04-28 11:15

 27日(現地時間)、英BBCなど主要外国メディアによると、同日午前にロシアのウクライナ国境地域であるベルゴロド州のスタラヤ・ネリドフカの武器倉庫で火災が発生した。25日にもブリャンスクの石油貯蔵施設で火災が発生した。これに先立ち、今月1日にはベルゴロドの石油倉庫で爆発が起きた。同州のロシア高官は、この爆発がウクライナのヘリの攻撃によるものだと主張した。

 モスクワ当局はこのような一連の火災と爆発について公式には言及していない。ロシア領土に対するウクライナの攻撃は、クレムリン当局者にとっては当惑する事態だからだと、BBCは伝えた。

 ウクライナもまた、この事態の背後に自国が関わっているかについては曖昧に答えている。ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は27日、ロシアの「因果」のような「様々な理由」によって発生したとツイッターで述べた。さらに、燃料と兵器が貯蔵されたロシアの地域が「非武装化」について学んでいるのは当然だと述べ、一連の火災がロシアのウクライナ侵攻に対する対価であることを示唆した。「非武装化」は、ロシアがウクライナに侵攻する際に掲げた理由だ。ポドリャク顧問は「あなたたちの他国への大規模攻撃、その国のすべての人々に対する大規模殺戮、戦車による平和な住民の暮らしの破壊など、それらの殺人をあなたたちの地域にある倉庫を利用して犯すのなら、そのような借金はすぐ返さなければならない」と述べた。

 ウクライナと国境を接するモルドバの親ロシア分離地域でも、戦争行為が続いている。モルドバの親ロシア分離地域であるトランスニストリアの内務省は27日、ウクライナ側から発砲があったと明らかにした。

 内務省は、ウクライナ領土側からロシアの大型軍需補給施設のある村に銃弾が前日夜発砲されたと発表した。内務省はまた、この村でドローンが観測されたとし、これもウクライナから発進したものだと主張した。これに先立ち、トランスニストリア当局は数カ所の地域で爆発があり、これはテロ行為だと糾弾する声明を発表している。

 ロシア外交部は27日、このような爆発について憂慮するとし、トランスニストリアが戦争に巻き込まれていることを排除できないと論評した。トランスニストリアにはロシア軍が駐留している。

 同日、ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は、ロシアがトランスニストリアを攻撃発進基地として使おうと準備していると非難した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領も、ロシア特殊部隊がこの地域を不安定にさせるために働いていると主張した。しかし、米国はトランスニストリアで起きた爆発などの事態がロシアの仕業だとするこの主張をまだ支持していない。


2022.04.28

6年前から準備していたポーランド、ロシアがガス供給を止めても問題なし

ロシアはルーブル決済に応じなかったポーランドへの天然ガス供給を中止すると通告、しかしポーランドは「こうなることを予想して6年前から準備していたので全く問題がない。二度とロシアから天然ガスを購入しない」と明かし注目を集めている。

ロシアによるウクライナ侵攻を予見していた訳では無いと思うが、ポーランドの事前準備は結果的に大当たりだと言えるだろう

年間90億立方メートル(年間消費量の約半分)もの天然ガスをロシアから購入していたポーランドは代金のルーブル決済を拒否、そのためロシアはポーランド向けの天然ガス供給を中止すると通告したが、ナイムスキー代表(戦略エネルギーインフラ担当)は「この事態に対する備えは出来ているので私は落ち着いていられる」と出演した番組内で明かした。

ロシアがエネルギー資源を武器にすることを予見していたため6年前から代替エネルギーの輸送用パイプラインに投資を開始、ノルウェーとポーランドの間のパイプラインは今年10月に稼働予定で、バルト海に面したグダニスクに建設中のガスターミナルも「2025年までには完成させる=液化天然ガスへの対応」と明かしており、予測不可能な天変地異でも発生しない限り「ポーランド国民がガス不足に陥ることはない」とナイムスキー代表は述べている。

但しウクライナでの戦争の影響でエネルギー価格は上昇しており「他の国と同じように平均的な市場価格(ロシア産よりも割高)で天然ガスを購入しなければならない」とナイムスキー代表は付け加えているが、上記に上げた以外の事前準備も効果を発揮してポーランドの天然ガスタンクの76%が満杯(昨年の同時期は36%/最後までロシアからのエネルギー供給を諦められなかったドイツは33%)らしい。

因みにポーランドはロシアの脅威に対抗するため昨年10月、共産主義時代の1967年に制定された国防法(防衛義務法)を廃止して新しい国防法(祖国の防衛に関する新法)の導入を発表、ポーランド軍を14万人→30万人へと大増強する新国防法が議会での審議や採決などを経て今月23日に発効しており、対ロシア対策でポーランドは他の欧州諸国よりも先んじている格好だ。

まぁロシアによるウクライナ侵攻を予見していた訳では無いと思うが、ポーランドの事前準備は結果的に大当たりだと言えるだろう。


「プーチンの終末、何があっても来る...その後は無秩序な暴力的ロシアになる」

2022.04.28 09:20

「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(69)の統治が終われば、ロシアは非常に無秩序で暴力的な過渡期を迎えることになるだろう」『プーチン主義の解読』の著者であるシラキュース大学ロシア政治学科のブライアン・テイラー教授は26日(現地時間)、米国外交専門隔月刊誌「フォーリン・アフェアーズ」への寄稿文『プーチン後の権力継承』でこのように主張した。テイラー氏は「いかなる形であってもプーチンの終末は来ており、ロシアの未来はさらに不確実性が増している」とした。

◆繰り返される健康不安説...「プーチンの終末」への備えをテイラー氏は「プーチンが差し迫った暗殺の危険やクーデター、大衆革命の危機に直面しているわけではない」としつつも「繰り返し提起されるプーチンの健康不安説、先月ジョー・バイデン米国大統領による『プーチンは絶対権力の座に留まってはいけない人』という言及などは、プーチンの失脚に対する分析と備えが必要な時点であることを気づかせてくれる」とした。ロシアの調査報道メディア「プロエクト(Proekt)」はプーチン大統領が甲状腺がんを患っている可能性が高いと主張した。このメディアによると、プーチン大統領は2016年から2020年まで甲状腺がん専門医から35回の診療を受け、耳鼻咽喉科専門医とは59回会った。イスラエルの医師Michael Fremderman氏は「一般的にがんを含む甲状腺疾患は耳鼻咽喉科専門医が先に診断した後、腫瘍専門医と外科医が治療に参加する」として甲状腺がんの可能性を疑っている。

プーチン大統領が死亡や免職などの理由で統治を終える場合、ロシアは深刻な内紛が起きるだろうとテイラー氏は見通した。過去20年間ロシアを統治したプーチン大統領は憲法に2回手を入れ、議会と憲法裁判所の機能を縮小した。また、野党の要人を弾圧して投獄・殺害した。プーチン大統領は憲法を改正して2036年までの長期政権の枠組みを用意する過程で「秩序正しい権力委譲装置」を除去した。そのためプーチンの失脚は米国や中国の指導者の失脚よりもはるかに大きな混乱をもたらすほかないと専門家は主張した。

◆ミハイル・ミシュスティン首相、法的「プーチン後任」ロシア憲法によると、「プーチン後の権力継承」は簡明だ。大統領が任務を遂行できなくなった場合、首相が大統領権限代行に任命されて、ロシア上院は2週以内に大統領選挙日を決める。手続き通りにいけばミハイル・ミシュスティン首相(56)が大統領権限代行になる。1999年、ボリス・エリツィン大統領が健康問題で辞任した当時、プーチン首相が大統領権限代行を務めて、その後大統領に選出された。モスクワ出身のミシュスティン氏はロシア連邦税務庁長を経て2020年に首相に抜擢され、2008年ドイツ銀行のパートナーだったロシア投資会社UFGの社長を歴任した。プーチン大統領とは「ホッケーの熱烈ファン」という共通点がある。外信によると、ミシュスティン氏は政治家というよりは「官僚的」人物に近く、プーチンの最側近として知られている旧KGB(ソ連国家保安委員会)出身やサンクトペテルブルク生まれでもない。権力基盤が弱く、苦戦するだろうと西側の外交界は観測している。ボルチモア大学のデビッド・リンゲルバッハ教授は政治メディア「The Hill」の寄稿文で「プーチンの代案に挙げられる他のどの人物よりミシュスティンに与えられた任期は短いだろう」とした。

◆ショイグ・メドベージェフ・ヴォロージンなど権力争奪戦予想結局、ロシアの新指導者は順法よりもエリート間の権力争奪戦を通じて選出されるだろうという見方が優勢だ。候補群はセルゲイ・ショイグ国防長官、ドミトリー・メドベージェフ安全保障理事会副議長、ヴャチェスラフ・ヴォロージン国家院議長、セルゲイ・ソビャーニン・モスクワ市長らだ。ただし、彼らはクーデターよりは「合従連衡」を選択するものとみられる。特権を確かに保障してくれる「後継者」を探した後、彼をミシュスティン首相の対抗馬として前面に出して安定した権力委譲を選ぶだろうという見通しだ。しかし、後継者が見つからない場合、ロシアは派閥主義競争に陥る。テイラー氏は「プーチンのインナーサークルから大統領候補を排出する場合、世界は『選挙結果があらかじめ決定していないロシア大統領選挙』という非常に珍しい光景を目撃することになるだろう」と述べた。ロシアの権力委譲の歴史を見ると、派閥主義に陥る可能性もある。過去ウラジーミル・レーニン(1870~1924)の死後、ヨシフ・スターリン(1879~1953)は激しい権力闘争を経て指導者の地位に就き、スターリンの死後はニキータ・フルシチョフ(1894~1971)が軍隊を動員してライバルを除去した。

◆「プーチン政権」崩壊、武力衝突の可能性もプーチン失脚後、「プーチン政権」が崩壊する可能性も高い。政治学者のアンドレア・ケンドール=テイラーとエリカ・フランツの調査によると、独裁政権は意外に長い持続性を持つが、プーチン政権のような「一人独裁」は政権交代に非常に脆弱だ。君主制・一党体制・軍部独裁などは指導者の死後5年まで76%が維持されたが、一人独裁政権は同じ期間44%維持されるにとどまった。例外的にシリアのハーフィズ・アル=アサド(1930~2000)と北朝鮮の金日成(キム・イルソン)(1912~94)は権力を家族に直接委譲して政権を継続したが、プーチンは娘たちに統治のための教育をしていないという。テイラー氏はプーチン政権の崩壊とロシアエリートの権力闘争が武力衝突につながる可能性も警告した。テイラー氏は「権力闘争で敗れたほうは屈服ではなく反撃を望む」とし「時にはタンクや銃を使うこともある」と話した。続いて「ウクライナと残酷な戦争を行っている核強大国ロシアでプーチン失脚とプーチン政権の崩壊の可能性は世界的な懸念をもたらしている」と付け加えた。


ウクライナに投入した傭兵が4割戦死の衝撃...プーチン大統領「5.9勝利宣言」は絶望的

4/28(木) 9:06配信

 プーチン大統領は5月9日の対独戦勝記念日での「勝利宣言」を目指し、攻勢を強めようとしているが、絶望的になってきたのではないか。ロシア兵の戦死者数が膨れ上がっている可能性があるからだ。ウクライナに投入した傭兵の4割近くが戦死したとの報道もあり、衝撃が走っている。 プーチン大統領は大誤算...侵攻2カ月でロシア軍戦力25%減、同盟国も軍事支援拒否でジリ貧  ◇  ◇  ◇  ウクライナ戦争のファクトチェックを続けている英調査報道機関「ベリングキャット」の常務取締役、クリスト・グロゼフ氏は19日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」がウクライナに派遣した傭兵8000人のうち、37.5%にあたる3000人が戦死したと考えられると語った。21日付の英デーリー・メールが報じた。  ワグネルはプーチン大統領の料理人と呼ばれるプリゴジン氏が資金提供している。ロシア西部に訓練場があり、これまでにシリアやリビアなど28カ国で活動。民間人殺害や拷問などの疑惑が持たれている。ロシアによるウクライナ侵攻直後から、シリアなどで傭兵を募集。ブチャなどの住民虐殺にも関与したとされている。軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう言う。 「外国人が中心の傭兵の戦死はロシア軍に責任は生じず、国内世論の批判も起きにくい。このため傭兵は最も危険な最前線に投入されることが多く、戦死する確率も高い。それにしても、2カ月間で投入の4割近くの傭兵が亡くなるというのは、かなりの確率です。ロシア側が相当苦戦しているということです」

死者激増で士気の低下が深刻に

 ウクライナ国防省は23日、ロシア軍が、占領したウクライナ東部や南部の地元住民を徴兵していると非難した。 「住民の徴兵はロシア兵の不足が深刻なことを示しています。兵士の戦死数について、報道統制などによりロシア国民には覆い隠せても、兵士は仲間の死を目のあたりにしています。ロシア兵の死者数が膨れ上がれば、兵士数が減るだけでなく、士気の低下も避けられない。ロシア軍が戦争を続け、戦果を上げるのは苦しくなっていくと思われます」(世良光弘氏)  英国のウォレス国防相は25日の下院で「約1万5000人のロシア兵が死亡していると見積もっている」との分析を披露。10年間で1万4000人超の旧ソ連兵が亡くなったアフガニスタン侵攻をわずか2カ月で上回っている。英国防省は25日付の戦況分析でロシア軍地上部隊の進撃は「小規模」にとどまっていると報告している。補給や戦闘面で支援が行き届いていないという。  軍の弱体化に追い詰められたプーチン大統領はどんな手に出るのか。


2022年4月27日

「私が知っていたロシアはもうない」 変わるモスクワをBBCロシア編集長が紹介

BBC News

モスクワでは爆弾の爆発はない。街の周りを外国の軍隊が取り囲んでいるわけでもない。モスクワ市民がいま経験していることは、ウクライナで起きている悲惨な事態とは比べ物にならない。

一見するとこの街の日常は普通にさえ見える。サドーヴォエ環状道路(ガーデン・リング)は相変わらず渋滞しているし、私の目の前にある地下鉄駅からは大勢が次々と表に出てくる。

しかし実際には、普通で相変わらずと言えることはあまりない。普通の日常は2月24日、ウラジーミル・プーチン大統領が「特別軍事作戦」のためウクライナ侵攻を軍に命じた時点で終わった。

私はソヴィエト連邦時代のこの国を経験している。ソ連崩壊後のロシアでずっと暮らした。そして世界最大の国は今また、姿を変えた。

「特別軍事作戦のロシア」をご案内しよう。

スーパーへ向かうために車に乗り込む。いつもの習慣でラジオをつける。周波数はFM91.2メガヘルツ(MHz)に合わさっている。かつてこれは、ラジオ局「モスクワのこだま」の周波数だった。「モスクワのこだま」は、ロシアのラジオ局の中で私の一番のお気に入りだった。信頼できるニュースと情報を発信する媒体だった。

しかしこの数週間で、この国の独立系メディアはすべて活動停止か廃止に追い込まれた。FM91.2MHzで現在放送しているのは、国営のラジオ・スプートニクだ。ここはウクライナへの軍事侵攻を支持している。

ガーデン・リングを運転していると、劇場の前を通る。この劇場は建物の表に、巨大な「Z」の文字を立てている。ラテン文字の「Z」はロシアの軍事作戦のシンボルだ。ほかにも、ロシア鉄道の本部前にも「Z」がある。運転しながらトラックを追い越すと、車の側面に「Z」のシールが貼ってあった。この数週間というもの、クレムリン(ロシア政府)を批判する人たちの玄関にも、この「Z」が次々と落書きされている。

ショッピングモールはにぎやかとは言いがたい。外国ブランドの店舗は軒並み閉じている。ウクライナ侵攻が始まってからというもの、数百の外国企業がロシアでの事業を中止した。

医師の給料では足りない

スーパーに入ると、棚には商品がそろっている。パニック買いで3月に起きた砂糖不足は、解消されたようだ。しかし、商品の種類は前に比べると少ないように思う。そしてこの2カ月で、物の値段は一気に上がった。

ショッピングセンターの外で、ナデズダさんという医者と雑談を始めた。

「値段があまりに高くて、今では自分の給料だけでは生活できない」と、ナデズダさんは話した。

「でも一番つらいのは、ウクライナで起きていることの真相を知りたがらない社会に暮らしていることだ。みんなローンの支払いや借金の支払いを心配するのに、忙しすぎる。自分の周りで何が起きているのかには興味がないんだ。でもウクライナで起きているのはひどいことだと思う。自分がロシア人なのが恥ずかしい」

私は、自分が30年前に英語を教えていた市内の工科大学へ向かった。

共産党政権が崩壊した後の1990年代初頭、私が教えていた学生たちは、ロシアと西側がしっかりした友情と協力関係を築き、それはいつまでも続くという希望にあふれていた。自分たちには平和で豊かな未来が待っていると。

そうはいかなかった。

「誰だって大変な思いをして、それを乗り越えてきた。日が沈んだ後には必ず夜明けが来る」と、学生のデニスさんが表で私に話した。

「でも自分は軍を支持する。この国の兵士たちなので。何がどうなろうと、自分の国を支持しないとならない」

オーウェル的ゆがみ

私が最後に向かったのは、第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利したソ連の戦いをたたえる巨大な戦争博物館だ。甚大な人命の損失を伴う大勝利だった。ソ連は「大祖国戦争」と呼ぶ対独戦で、戦闘員・民間人を計2700万人以上失った。

この戦争博物館では早くも、現在の「特別軍事作戦」の称賛が始まっている。それが私には気がかりだ。

博物館の公式サイトでは、「博物館」のつづりを変えてラテン文字「Z」の文字を取り込んでいる。博物館の売店では、「Z」印のマグカップを売っている。「私の大統領はプーチン」と書かれたピンバッジでは、「Президент(大統領)」という単語のキリル文字の「з」をラテン文字の「Z」に置き換えている。

この博物館は現在、ウクライナにおけるナチスに関する展示をしている。ロシア軍はいま「ウクライナをナチスから解放している」のだという、ロシア政府による虚偽の主張を、固めるのに役立つ。

私がいるここは「特別軍事作戦のロシア」。オーウェル的な平行宇宙だ。侵略は解放で、軍事侵攻は自衛で、批判者は裏切り者なのだ。

私がこの30年間かかわってきたロシアは、もうなくなってしまった。そんな感じがする。


2022.04.27

露メディアがモルドバに警告、欧米を支持すればウクライナと同じ目に遭う

国営メディアは26日、トランスニストリアを戦いに引きずり込もうとしているのはウクライナや西側諸国で「第二戦線を作り上げることを望んでいる」と主張し始めた。

露国営メディアはトランスニストリア国家安全保障省の建物に複数発のRPGが打ち込まれた事件について「ウクライナ領から車でトランスニストリア領に侵入した正体不明の3人組が事件に関与しており、犯行後に同じルートでウクライナ領へ戻っていった。今回の爆破テロはウクライナ人による犯行だ」と報じていたが、さらに踏み込んで「この事件の黒幕は米国を始めとする西側諸国だ」と主張し始めた。

ロシア側の主張を要約すると以下の通りになる。

1.西側諸国は資源が尽きる
西側諸国はウクライナに武器を支援してロシアを泥沼の戦いに引きずり込もうとしたが、ロシア軍はドンバス地域で最も強力なウクライナ軍部隊(統合部隊/JFOのこと)を破壊しつつあり、ロシアが戦いで疲弊するよりも自分たちの資源が先に尽きることに気がついた。

2.西側諸国は武器不足に陥っている
西側諸国による制裁にもロシア経済は持ち堪えており、ウクライナ軍に対する強力な攻撃と武器を運ぶ補給線への攻撃によって「西側諸国は武器不足に陥る」という不快な問題に直面している。余りにも早く備蓄分の武器は使い果たされ、倉庫は空っぽになり、製造能力が消費に追いついていないことも判明した。

3.第二戦線を望んでいるのは西側諸国
そこで西側諸国はロシアをさらに疲弊させるため第二戦線を開くことを画策、もしモルドバとウクライナに挟まれたトランスニストリアが本格的な軍事侵攻に直面すればひとたまりもなく、ロシアの援助がなければ確実に絶望的な状況だ。

4.トランスニストリアの問題に必要なら干渉する
モスクワはトランスニストリアの問題に必要以上の干渉を行わないと表明しているが、これは「必要なら干渉する」という意味でモルドバの決断にかかっている。モルドバの親欧米政権は現在、西側諸国から軍事的な手段でトランスニストリアの問題を解決するよう圧力を受けているのは間違いない。

5.モルドバはウクライナを見てよく考えろ
もしモルドバが米国や欧州の軍事政策を支持すれば自分たちの国が戦場になるだろう。これは何年後かの話ではなく直ぐに起こりうる現実だと理解すべきでウクライナを見れば明らかだ。モルドバの政治的指導者はこの事実を認識した上で国の運命を左右する決断を行わなければならない。

以上がロシア側の主張で、第二戦線を開くことを切望する西側諸国がウクライナ軍の特殊部隊を使って爆破テロを実行、モルドバとトランスニストリアの対立をあおり本格的な軍事侵攻を行えとサンドゥ政権に圧力を加えており「これに応じればモルドバはウクライナと同じように戦場になるのは確実なので良く考えて決断しろ」と言っているのだが、当然これはロシアの政治的なレトリックに過ぎない。

つまりロシアは存在しない脅威を何らかの手段で煽り「モルドバがトランスニストリアへの侵攻を決断した」という偽の状況をでっち上げ、ロシア語を話しロシア連邦への編入を希望するトランスニストリアを見殺しにできないという大義名分のもと独立を承認、同国の安全を確保するためモルドバに侵攻する「いつものプラン」を思い描いているのだろう。

ただトランスニストリアとロシアは物理的に接続しておらず、現地に駐留するロシア軍は約1,500名しかいないため「直ぐに行動を起こす」のは不可能=オデーサ攻略後でないとモルドバへの軍事侵攻は難しいかもしれないが、ロシア軍は州都オデーサがある地域とモルドバに隣接した西オデーサ地域を繋ぐ唯一の連絡橋をミサイルで破壊(3発発射されたミサイルの内1発しか命中せず現在部分的に復旧している)しており、これを失うとモルドバ経由のルートでしか西オデーサ地域にアクセスできなくなる。

もしかするとロシアは西側が供給する対艦ミサイルが到着する前に「西オデーサ地域への上陸作戦」を考えているのかもしれないが、トランスニストリでの爆破テロと連絡橋への攻撃が連動しているようにも見えるので非常に不気味だ。

追記:トランスニストリアでは「ウクライナ軍が砲撃とロケット弾で攻撃してくる」という警告が出ているらしい


ロシア、崩壊の予感――すでに周辺諸国の離反が始まっている

4/27(水) 6:02配信

 ロシアという国は、まるでローマ帝国さながら、モスクワ大公国という小さな都市国家から出発して、17世紀にやっとウラル山脈を越え、1860年にウラジオストックとその周辺の沿海地方を清朝から取り上げて、現在の版図を作った存在。 【写真】「ウクライナ後の世界」―ロシアを除外した国際秩序をどう構想するか  その間、自由と民主主義、市場経済という近代文明が定着することはなかった。いつも力で社会を抑えつけては停滞を強め、その結果戦争で敗北したり、大衆、地方、あるいは周辺衛星諸国の離反を招いて自壊する。

 19世紀半ばのクリミア戦争では、産業革命で近代化した英国、フランス軍への劣勢を暴露して、1861年農奴解放令を発布するが、皇帝アレクサンドル2世は革命勢力に暗殺されてしまい、国は再び保守締め付けへと戻った。

 1905年2月、日露戦争がロシア劣勢で展開する中、生活悪化に不満を強めた大衆が首都サンクト・ペテルブルクで陳情行進をし、これに軍隊が発砲する「血の日曜日」事件が起こる。これは全国に飛び火し、皇帝ニコライ2世は結局、議会(お印だけの)の創設を認めるのである。

 1917年のロシア革命で権力を掌握したレーニンは、第1次世界大戦から足を洗って国内征圧に専念するべく、領土を大幅に譲ってドイツと講和し、極東では1920年から「極東共和国」を独立させて、シベリアに出兵した日本との緩衝国とする。

 そして近々では、1991年8月、モスクワでの保守派クーデター失敗を受けて、ソ連の一部に過ぎないロシア共和国の大統領エリツィンが台頭。ソ連の諸共和国には「主権を欲しいだけ取れ」とけしかけ、ロシア共和国の地方には税収を連邦の国庫には送らないようけしかけて、ソ連邦大統領のゴルバチョフ追い落としをはかったのである。

 その年の末になると、連邦諸省庁は職員への給与支払いにも事欠き、幹部は次々にロシア共和国の省庁へと移っていった。その年の12月、エリツィンは自分と同格、ソ連の一部のベラルーシ、ウクライナの首長とかたらって、「ソ連の消滅」を一方的に宣言。ソ連は解体して、今に至るのだ。  

つまりロシア人は、一度手に入れた領土は「1センチたりとも譲らない」と、よく凄むのだが、都合が悪くなってくると、領土を取引材料にして愧じない。領土くらいしか、取り引きの材料にできるものがないからでもあるが。  

その目で今のウクライナ情勢を見ると、そろそろロシアの方で――ウクライナでではなく――きな臭いにおい、あるいは分裂と崩壊の予感が漂い始めたかなと思う。西側の論壇でもそのことは指摘され始めており、やがて流行のテーマとなり、現実になるかもしれない。どういうことかと言うと――

収拾しようのないウクライナ戦争

 まずはっきり言って、ロシアのウクライナ作戦は先が見えない。2月24日攻撃開始時の作戦があまりにもまずかったせいで、ロシア軍は戦車を600両以上、将軍クラスの司令官を10人弱、失っている。ロシア陸軍が保有する戦車は全部で2400両、今回ウクライナに向けた将軍クラスの司令官は20名ほど。つまりウクライナ方面のロシア軍は、通常の作戦行動が不可能になるほどの打撃を受けている。そしてロシアの工業力では、迅速な補充は不可能だ。

 ウクライナ軍は守りに強い装備を持っている。米国などから提供されたスティンガーという「携帯ミサイル」(たった1人で持ち運び、発射ができる)で、ロシアのヘリコプターや軍用機を撃墜し、ジャヴェリンという同じく携帯ミサイルでロシア軍戦車を面白いように狙い撃ちできる。ウクライナ黒海沿岸に迫ったつもりのロシア揚陸艦は、ウクライナ軍に撃沈されたし、ロシア黒海艦隊の旗艦=司令艦「モスクワ」もウクライナ製ミサイルの餌食になって撃沈された。

 第1次世界大戦以来の戦車の時代は終焉を告げているのに、ロシア軍はそれに対応していないのだ。2010年代前半、5兆円相当も予算を上積みして装備を近代化したはずなのに、将軍たちのマインドは第2次世界大戦での成功体験から離れていなかったし、5兆円の相当部分を自分たちのポケットに入れてもいるのだろう。

 ロシア軍はキーウ周辺から引き揚げて、ウクライナ東部の完全制圧--これまでも一部を実効支配――に目標を転じた。戦車がもう効かないから、大砲で集中砲火を浴びせて、都市を「地表から消し去る」作戦に転ずるのだろう。しかし大砲を発射すると、その位置はウクライナ軍が米国からもらったレーダーで探知。ドローンも使ってその位置めがけて長距離砲、あるいはミサイルを発射して撃滅することができる。  

だからロシア軍はウクライナ東部を簡単に制圧できないし、悪くすると、これまで実効支配していた地域からさえ追い出されてしまうかもしれない。  仮にウクライナ東部を制圧して停戦に至ったとしても、よたよたの勝利ぶりでは、ウクライナを中立化、武装解除することはできまい。ウクライナ東部と本体の間には山脈も大河もないので、ウクライナ政府軍は東部ウクライナ奪回の動きを止めないだろう。そして西側のロシア制裁は恒久的なものとなる。

2倍のインフレ 致命的な対ロシア制裁

 バイデンがプーチンに警告していたように、ロシア制裁は「前例のない破壊的な」ものである。ロシアの海外資産差し押さえを含むこの制裁は、宣戦布告一歩手前のものだが、ロシアは自分が不法な戦争を始めた手前、西側をなじる論拠に欠ける。  

制裁で主なものはまず、通貨ルーブルの弱体化。つまり米国、日本、西側諸国は、自国の銀行にロシアが預けているそれぞれの通貨(ロシアの外貨準備を様々な通貨でその国の銀行に預けてある)を凍結した。それはロシアの外貨準備総額の半分に相当する約3000億ドル。これでロシアは、ルーブル下落を防止する介入のための資金を大きく失った。  

制裁発表直後、ルーブルはドルに対して70ルーブル台から120ルーブル超へと暴落する。それでもロシアは金を中心に3000億ドル強の外貨準備を使えるし、今でも続くEU等への石油・天然ガス輸出の収入(禁輸が行わなければ最大で年間3000億ドル強)も得ている。

 そして3月末にはルーブルに対して金の交換を保証(金1グラムは5000ルーブルと定められた)。これでルーブルは現在、1ドルあたり70ルーブル台と、ウクライナ戦争以前の水準に近づいた。

 しかし、いつまでこれを続けられるかはわからない。EUは年末までにはロシア原油の輸入を停止し、天然ガスも段階的に削減していく方針を公表しているからだ。抜け道は既にいくつか開発されているが、ロシア原油・天然ガスの輸出量の低下は不可避だろう。おなじく制裁を受けているイランの場合、抜け道を使用しても、原油輸出は制裁以前の半分に減少している。

 ルーブル下落が起きると、ロシア国内のインフレは高進する。ロシアは耐久消費財のほぼすべて、そして生産財の一部を輸入に依存しているからだ。ロシア紙によれば、開戦後、ロシアの輸入額は59%の減少を示している。インフレ率は3月で年率15%。年末には30%になっておかしくない。大衆の実感インフレ率は2倍以上になるだろう。

「無効化」されるロシア経済の命綱

 次に効いている制裁は、銀行間のグローバルな送金・決済を迅速にできる仕組みSWIFTからの放逐だ。SWIFTから放逐されても、貿易が全部止まるわけではない。しかし、輸出入の送金はそのつど相手の銀行に至る経路を自分で作らないといけなくなり、時間と費用がかかる。そして、ロシアで操業する外国資本は、ロシアで稼いだルーブルを海外へ送金しにくくなり、外国から入れる商品、部品の支払いも不安定になる。

 このために日本の企業も含めて、外国の企業は文字通りなだれを打って、ロシアでのビジネスを停止、あるいは終止。ロシアの議会では、これら企業の操業・雇用を維持するべく、接収と国営化、あるいは一時的な預託を検討している。しかし企業を経営できる人材はロシアで不足しており、機械・部品を西側から調達することができないので、どうしようもないだろう。

 最後のとどめは、ロシアの命綱である石油・ガスを無意味なものにしてしまおうという、西側の企てだ。石油と天然ガスは、それの採掘に対する課税、輸出に対する課税、輸出収入に対する課税などを総計すると、ロシア政府歳入の50%以上を占めてきた。この富から派生する商業等のサービスも含めて、ロシア経済はやっと韓国に伍する(人口は韓国の約3倍)程度のGDPを維持できている。

 EUは、年末までにはロシアの原油輸入を止めると宣言している。風評被害を恐れて、EUの企業はロシア原油の購入を既に控えている。ロシアは、EUに代わる大口の顧客を見つけることはできないし、買いたたかれることだろう。天然ガスはドイツが需要の半分近くをロシアに依存しているために、簡単には切れないが、湾岸、米国からのLNG輸入、そしてこれまでの方針を変えて原発、石炭発電を復活させることで、かなりの削減が可能になるだろう。

 そして長期的には、再生可能エネルギーが化石燃料にとって代わる。ロシアは化石燃料から「ブルー水素」やアンモニアを生産し、パイプラインなどで輸出を続けることはできるが、細々としたものになるだろう。

2024年、大統領選挙の暗雲

 現在、プーチン大統領の支持率はなんと90%に迫る。2014年クリミアを併合した直後と同じ。戦争の当初、国民は指導者の周りに結集するのだ。しかしクリミア併合の場合、ほぼ同時に原油価格が暴落、ルーブルも暴落してインフレが激化。2015年以降は、ロシア国民の実質可処分所得は右肩下がりとなる。支持率も同じで、ウクライナ戦争前には60%強にまで下がっていたのである。  

今回も同じことが起きるだろう。「石油依存経済」モデルが無効になりつつある今、ロシアが直面する危機は2014年の比ではない。  2024年には大統領選挙がある。この状況だから、緊急事態を宣言して大統領選を無期延期しろという声もある。まるでミャンマー。しかし、それは国民の反発、世界からの非難を招くだろう。さりとて選挙を決行すれば、プーチンはもう当選できないかもしれない。昨年9月の下院総選挙では、野党の共産党が生活不満票を集めて勢力を大きく伸ばしている。

 因みに、こういう議論をすると西側では必ず、「リベラルで自由・民主主義を標榜する勢力の台頭」に期待するのだが、ロシアではこうした連中は10%もいるかどうか。国民は、1990年代、自由・民主主義と市場経済を標榜したエリツィン政権が大混乱を起こし、結局1998年8月デフォルトで任期途中の退陣――これで現れたのがプーチン――に至ったことを覚えている。リベラル勢力はロシアの主流にはなれないのだ。  

そして、国民全体のことを考え、周囲や部下に民主的に接することのできるリベラル指導者などは皆無なのである。たとえ権力をとっても、利権獲得に熱中し、ガバナンスは崩壊するだけ。経済が回っていないロシアでは、エゴの強い人間たちを1つにまとめておくためには、むき出しの力を使うしかないのである。  

だから、これまでプーチンの力の基盤になってきたシロビキたち、つまり公安警察や軍の連中は、プーチンに替わる神輿を探すことだろう。

地方離反-ロシア分裂の可能性

 憲法上は、大統領が任期途中に退いた場合は、首相が代行に就任して3ヵ月以内に選挙を行う。  ミシュースチン首相は国税庁長官出身で、配下に税務署という全国ネットワークを持ち、要人の秘密情報も握っている。しかし彼は、税務に経験が偏り過ぎる。国内引き締めを差配できる人物とも思えない。

 すると、大統領選挙をめがけて、自薦他薦、様々の者たちがうごめくことになるだろう。一部では、これまで育ってきた「傭兵会社」や、チェチェンなどの暴力組織を使って、政敵を「物理的に除く」動きも出てくるだろう。

 国の中央の権力は、1991年末、エリツィン・ロシア共和国大統領とゴルバチョフ・ソ連邦大統領の間の争いで宙ぶらりんの状態になったが、こうした中央権力の弱化がまた露になるかもしれない。  そうなると、ロシア政治の重要な変数であるところの、「地方の動き」が問題になってくる。  具体的には1991年末と同じ、ロシアという植民地帝国に残る異民族の自治共和国たち、あるいは有力州が自己主張を強めて、国家主権に等しい権限を簒奪し、税収を中央に送らないという現象が起き得る。シベリア鉄道など重要な物流の線が、これらの存在によって阻害されると、ロシアは1つの国として機能しなくなる。

ロシアを怖れ、ロシアを見限る周辺諸国

 ソ連崩壊後、もともと西欧文明に属していたバルト3国はEU、NATOに入って、ロシアとは訣別したが(それでも国内のロシア系住民は大きな力を持っている)、その他の共和国は時にはロシアに盾突きながらも、貿易ではロシアへの依存関係を続けたし、一部の国にとってはロシア軍が頼りになる存在だった。  

ウクライナでさえ、最近までロシアが一番の貿易相手だったし、アルメニア、タジキスタンにはロシア軍師団が常駐して、同盟関係を維持してきた。キルギスにはロシア軍の空軍基地がある。「経済は中国でも、安全保障はロシアが切り札」というのが、中央アジアでは通り相場だった。  それがおかしくなっている。ウクライナ戦争で、「ロシアは武力で侵入してくる恐ろしい国」、あるいは「ロシア軍は弱くて頼りにならない」という意識が広がっていることだろう。  

例えば、コーカサスのアゼルバイジャンは、もともとロシア傘下の「ユーラシア経済連合」、「集団安全保障条約機構」にも入らず、それでもロシアとは友好関係の維持に努めていたのだが、2020年10月、領内にあるアルメニアの飛び地「ナゴルノ・カラバフ」を奪還する戦争は、トルコ軍の支援を仰いでいる。トルコのドローンがアゼルバイジャンの戦勝に大きく貢献したし、軍の指揮は実質的にトルコ軍の将軍が行ったことを小泉悠氏は指摘している。

 ナゴルノ・カラバフ戦争の停戦後、ロシア軍はPKOとして停戦ラインを固めているのだが、アゼルバイジャンはこれを邪魔者視している。一方、アルメニアの方も、戦争ではロシア軍が何もしてくれなかった、とむくれている。「戦争はアルメニア領で起きたものではないから、ロシアに同盟義務はない」というのがロシアの説明。だからアルメニアは今年1月、長年外交関係も結ばずにきたトルコと、外交関係設定の話し合いを開始している。

けてもらったはずのカザフも対ロ制裁の輪に

 そして中央アジアのカザフスタン。この中央アジア随一のGDPを持つ大国の足元がどうも定まらない。  ここでは1月に国内暴動が起きて、これをロシアなどからの平和維持軍の派遣を受けて収拾したのだが、カザフスタン政府はわずか1週間たらずでその平和維持軍を追い返す。カザフスタン北部は工業地帯で、ロシア人の住民が多いため、一度ロシア軍を入れると何をされるかわからないという機運が政府内に出たためだろうか。

 カザフスタンは以前から他の旧ソ連諸国と同様、ロシアのクリミア併合を認めていない。今年2月、ロシアはウクライナ東部のドネツ「人民共和国」とルガンスク「人民共和国」を国家承認したが、カザフスタンはこれも認めていない(このことは他の旧ソ連諸国も同様)。  

そして4月1日には大統領府次長のチムール・スレイメノフがEUに対して、「カザフスタンはロシア制裁の効果を突き崩すようなことはしない」と公言したのである。つまりEUがロシアへの輸出を禁じた物品が、カザフスタンをトンネルにしてロシアに行くようなことは認めないという意味で、カザフスタンは実質的にロシア制裁という踏み絵を踏んだのである。  

こうしてプーチンは、ソ連崩壊の力学をウクライナで止めようとして、かえってロシア崩壊のスイッチを押してしまったのかもしれない。中国、インドなどは当面、ロシアを守っているが、ロシアが沈んでいくにつれて、見放していくだろう。  多極化時代とか無極化時代とか言われるが、自由・民主主義、そして市場経済を基本とする近代文明に浴するOECD諸国は、世界のGDPの半分以上を占めている。そしてウクライナ戦争のおかげで、これら諸国は結束を強めている。  残りの諸国は中国、インド、ブラジル等々ばらばらで、それこそ無極状態にある。OECD諸国を中心に、自由・民主主義の維持、貿易・投資の自由化、集団安全保障体制の強化を進めていけばいいのだ。

河東 哲夫(外交評論家)


ポーランドへのガス供給、ロシアが27日停止予告-欧州との対立激化へ

2022年4月27日 3:41 JST

  • ロシアはルーブルでの支払い要求、応じなければ供給停止と脅し
  • 欧州ガス価格は一時17%上昇、ポーランドはガスの備蓄十分と説明

ロシアはポーランドへの天然ガス供給を27日に停止する。エネルギー供給とウクライナ侵攻を巡るロシアと欧州の対立は、大きくエスカレートした。

  プーチン大統領はロシア産ガスの支払いをルーブルで行うよう各国に要求し、拒否するなら供給を停止すると脅していた。ポーランドへの供給停止は、この脅しを実行に移す格好になる。欧州諸国はルーブルでの支払いが制裁違反に当たるほか、それによってロシアの支配力を強めることは容認しがたいとしてプーチン氏の要求を拒んでいた。ポーランドはウクライナ侵攻でロシア批判の急先鋒(せんぽう)に立っている。

  ポーランド国営ガス会社PGNiGは、27日から全てのガス供給が停止するとの通知を受けたと発表。この直前にロシア政府系ガス企業のガスプロムはポーランド側に対し、26日中に未払い分全額をルーブルで支払うよう要求していた。

  ポーランドのモラウィエツキ首相はベルリンで記者団に対し、「そのような脅しをガスプロムから受け取ったと確認できる。脅しは支払い手段などに関連している」と発言。「ポーランドはこれまでの契約内容を順守する」が、ロシアは恐らく供給停止で「ポーランドを懲罰しようとするだろう」と語った。

"多くのロシア国民 危機的状況を把握せず" 現地の経済専門家

2022年4月21日 19時21分

米などから厳しい経済制裁を科されているロシア国内の経済状況について、現地の経済専門家は、多くのロシア国民は政権の統制下にあるメディアの情報に影響され、危機的な状況を把握していないと警鐘を鳴らしました。

モスクワ大学の教授で、国内の社会経済学を専門にするナタリア・ズバレビッチ氏は、NHKのインタビューで、ロシア政府がことしの経済成長をマイナス10%程度、物価上昇率はおよそ20%に上るという見通しを示しているとして「かつてない危機だ」と述べました。そして、厳しい制裁や外資系企業の活動停止によって、自動車や鉄道輸送、天然資源開発の設備の製造や資源の採掘、それに建設など、多くの産業で深刻な影響が出てくる可能性があると指摘しました。とくに「ロシアでは小売りやホテル、飲食店などのサービス業が雇用全体の20%を占める」と述べて、失業者が増えることへの懸念を示しました。これに関連して、モスクワのソビャーニン市長は18日、外資系企業の活動停止で20万人が職を失うおそれがあるという見方を示しています。一方でズバレビッチ氏は「ロシア人はとても忍耐強い」という認識を示しながら「多くの人たちは、この危機の規模やリスクを全く理解していない。『すべてうまくいく』というプーチン政権のことばを信じることに慣れてしまっている」と述べ、多くのロシア国民は、政権の統制下にあるメディアの情報に影響され、危機的な状況を把握していないと警鐘を鳴らしました。また、ロシアに経済制裁を科していない国も多く、国際社会から完全に孤立しているわけではないと強調しながらも「今後、経済的な辺境に追いやられることになる」と述べ、強い危機感を表しました。そして、ズバレビッチ氏は「旧ソビエト圏で影響力を取り戻そうと、軍事作戦に乗り出したことの代償だ」と述べて、ウクライナへの軍事侵攻を暗に批判したうえで「軍事作戦が続くほど経済状況は悪化する。作戦の終了は早いほどいい」と述べました。


ロシアの苦戦、習氏に台湾侵攻を急がせる教訓に-ブランズ

コラムニスト:Henry Brands "Hal"

2022年4月23日 5:57 JST

ウクライナでの戦争を巡る大きな疑問に、地球の裏側での緊張に関係する問いがある。中国はロシアの侵攻からどのような教訓を得るのだろうかという問題だ。

  西側の専門家らは、ウクライナ侵攻でつまずいているプーチン大統領の姿を見れば、中国の習近平国家主席も台湾への侵攻を思いとどまると期待している。しかしロシアが陥ったような泥沼化を避けるべく、より厳しく圧倒的な武力行使を中国が焦る可能性も十分にある。

  他国の戦争から学ぶのは昔からよく行われていた。中国は現在、ウクライナの戦場で起きている出来事とプーチン氏の蛮行に対する国際社会の反応を注視しているに違いない。彼らが何を学びつつあるかについては、2つの相反するシナリオが考えられる。

  1つ目は、米国防総省の高官やその他のアナリストらが指摘するように、ウクライナでの戦争は中国にとって訓戒的というものだ。このシナリオで中国当局者の目に映っているのは、国家存亡をかけて戦う国を征服することの難しさだ。過去40年余り本格的な紛争を経験していない中国人民解放軍は、今どきの戦争で遂行しなくてはならない複雑な任務でロシア軍がいかにつまずいているかを見て、身の引き締まる思いがしていることだろう。

  習氏はまた、ロシア軍事侵攻の可能性を事前に警告し「奇襲」を許さなかった米国の情報活動にも驚いたに違いない。民主主義陣営がロシアに科している経済制裁、ロシアの一方的な攻撃に対する西側の結束、そしてこの戦争が北大西洋条約機構(NATO)の拡大や再活性化につながっているという現実にも習氏は気づいているだろう。

  こうした観点からすれば、欧州で起きている血みどろの戦争はアジアの平和維持に寄与するかもしれない。実際の戦時下で人民解放軍がどれほど機能するか、戦争が中国政府にどんな結末をもたらし得るかについて、習政権はさまざまな前提条件を見直す必要に迫られるかもしれない。

  これこそ、西側当局者が習氏に得てほしいと願う教訓だ。しかし、習氏が全く違う教訓を得ている可能性もある。

  米国など民主主義陣営がウクライナに武器や訓練、資金を提供しながらも戦闘への参加には消極的であることに、習氏も気づいているはずだ。ロシア産エネルギーの全面禁輸など、西側住民の痛みを伴う一段の措置に欧州が消極的であることを踏まえれば、対ロシア制裁を見て中国がひるむことはないかもしれない。ロシアに比べて大規模かつ進んだ経済を持っている中国は、自分たちを押さえつけるのは簡単ではないことを分かっている。 

  そして習氏の目には恐らく、プーチン氏の失敗はウクライナ侵攻の決断自体にあるのではなく、不手際続きで思い切りの悪い軍事行動によってウクライナによる反撃の機会を与え、西側の制裁発動を許してしまったことにあると映っているのではないか。

  こうした解釈は、習氏をより危険な方向へ向かわせることになるだろう。台湾で紛争になった場合に勝つ鍵は、圧倒的な力の行使だと確信させかねない。ミサイル攻撃やサイバー攻撃、暗殺、破壊工作に続けて大規模な侵攻を行い、米国などが介入する前に台湾の抵抗の余地を与えないというものだ。これは奇襲攻撃を重視してきた中国軍の伝統とも重なり合う。

  ここで挙げた2つのシナリオは必ずしも矛盾するものではない。プーチン氏のつまずきは習氏に台湾侵攻を見合わせるかもしれないが、同時に人民解放軍にもっと強力な攻撃を促す可能性もある。

  習氏が公にしている語調や人民解放軍の熱意ある備えが示唆する通り、同氏の台湾統一に向けた決意が固いのであれば、行動を「急ぐ」というのも「慌てず」と同じぐらい妥当な推論だろう。米国の専門家らは、相手も自分たちと同じ現実を見ていると思い込まないよう注意すべきだ。民主主義陣営はウクライナを支援することで、習氏に台湾を侵略しないよう説得しているつもりかもしれない。しかし実際には、より早くかつ抜かりなく台湾に侵攻するよう習氏に促しているだけかもしれないのだ。


ウクライナ、復興でロシア凍結資産の活用を模索

2022年4月22日 14時22分

[キーウ(キエフ) 21日 ロイター] - ウクライナのマリュスカ法相は21日、首都キーウ(キエフ)でロイターの取材に応じ、ロシア侵攻で破壊された国内インフラなどを復興させるため、対ロシア制裁で凍結した資金を活用する仕組みの構築に向け国際弁護士らと協議していると明らかにした。

当局推計によると、軍事侵攻でウクライナ国内のインフラは最大30%破壊されており、損失額は約5000億ドルに上る。

欧州連合(EU)は国際的な復興基金の創設を模索しており、ロシア中央銀行の資産など、欧米が対ロ制裁で凍結した資金を復興資金に充てるべきだとの声も上がっている。

マリュスカ氏は、復興資金としてロシアの中銀資産と福祉基金に言及。資産保有者であるロシア連邦は明らかに犯罪を犯していると述べた。

ロシア中銀データに基づき分析すると、凍結資金は約5000億ドルに上る。マリュスカ氏は「われわれはそれをどこで探すべきかを知っている」と述べ、一部は米国内、残りは英国とEU内で保有されていると説明した。

この件を調査している法務チームは、凍結資産をウクライナが活用できるようにする最短の方法は各国が特別法を可決することだと考えているという。この解決策には「各国からのある程度の勇気と政治的意思が必要になる」と述べた。

ウクライナはまた、欧米主要国が補償メカニズム構築で協力するための国際協定に署名することを提案しているという。それにより、個別の国ではなく、欧米主要国全体のコンセンサスとしての決定が可能になると説明した。


プーチン戦争の代償、核兵器使用も懸念-ロシアのエリート層に危機感

Bloomberg News

2022年4月21日 11:07 JST

  • ウクライナ侵攻はロシアを何年も後戻りさせる破滅的過ちだと認識
  • 核兵器の限定的使用の不安をロシア当局者もますます共有している

ロシア軍がプーチン大統領の命令でウクライナに侵攻して約8週間が経過した。軍の犠牲は増え、ロシアはかつてない国際的孤立に直面し、大統領の開戦の決定に疑問を感じる政府と国営企業の幹部も少数ではあるが、数を増しつつある。

  権力の頂点では引き続き限定的だが、職位の高い幹部の間で、批判的な層が横断的に広がっている。直接状況を知る10人が公の発言への報復を恐れ、匿名で語ったところでは、ウクライナ侵攻がロシアを何年も後戻りさせる破滅的過ちだと幹部らは考えている。

  プーチン大統領が方針を変える可能性や国内で大統領に異議が唱えられる見通しは全くないというのが、これらの人々のこれまでの認識だ。大統領は一段と狭まるサークル内の強硬派の意見だけをますます頼りにし、経済的・政治的な致命的コストを他の幹部が警告しようとしても、はねつけてきた。

  プーチン氏が歴史的使命と見なす軍事作戦に失敗すれば、核兵器の限定的使用に目を向ける恐れがあると米情報当局は懸念するが、一部の証言によると、ロシアの当局者らも次第にその不安を共有しつつある。

  確かにプーチン氏が開始した戦争への支持は、ロシアのエリート層の大部分になお深く浸透し、西側との衝突が不可避であり、米国と同盟国が科した包括的制裁に経済がやがて順応するというロシア政府が描くストーリーを公の場でも非公式の場でも多くが信奉している。

  それでもプーチン大統領の侵攻継続の決意が、経済機能をまひさせ、安全保障を危険にさらし、国際的影響力を損なう緊張のエスカレート、そして何年も続く孤立にロシアを追い込むとますます多くの幹部が考えるようになった。

  少数の大物実業家は、ロシア政府の戦略を疑問視する遠回しの意見表明を行ったが、多くの有力プレーヤーが反対意見に対する弾圧の広がりを恐れ、懸念を公にすることができないでいる。  

  2人の証言によれば、プーチン大統領が助言を求めるのは以前から強硬派の限られたグループだったが、ウクライナへの侵攻開始後の数週間で、大統領を取り巻く顧問らのサークルはさらに狭くなった。ウクライナ侵攻の決定は、大統領のほか、ショイグ国防相とゲラシモフ軍参謀総長、パトルシェフ安全保障会議書記を含むほんの一握りのタカ派側近らにより決定されたという。

  ペスコフ大統領報道官にこの記事に関するコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。ラブロフ外相は19日に公開されたインタビューで、ウクライナでの核兵器使用の可能性について繰り返し質問されたが、直接答えることを避けた。

  停戦に相当な譲歩が必要なことや損害を考えれば、プーチン大統領がウクライナ侵攻の早期停止を検討する用意がある兆しは、批判的な人々の目にまだ入っていない。大統領が政治システムを完全に支配している状況を踏まえれば、異なる見解の定着は非公式な形でしかあり得ない。

  政治コンサルタント会社Rポリティクのタチアナ・スタノワヤ氏は「プーチン氏は主に一般国民の支持を喚起することで体制を築き、それをエリート層支配の手段としてきた」と指摘。「異論や議論の余地はない。誰もが大統領の命令を実行するしかなく、プーチン氏が事態をコントロールしている限り、人々は彼に従う」と話した。

ロシア大物財界人、ウクライナでの「虐殺」非難

2022年4月20日 11:18 発信地:パリ/フランス

【4月20日 AFP】ロシアのオンライン銀行最大手、ティンコフ銀行(Tinkoff Bank)の創業者であるオレグ・ティンコフ(Oleg Tinkov)氏は19日、同国軍はウクライナで「虐殺」を行ったと非難するとともに、西側諸国に対し、「ばかげた戦争」を終わらせるよう支援を訴えた。

 ティンコフ氏は2006年にティンコフ銀行を創業。20年に会長職を退き、ここ数年はロシア国外を拠点にしている。同氏は西側諸国の制裁対象になっている。

 ティンコフ氏はインスタグラム(Instagram)に、「二日酔いのロシア軍の将官たちは目を覚ますと、最低の軍を指揮していることに気付いた」と投稿。「この国(ロシア)ではすべてが最低で、縁故主義やごますり、あゆ追従がまかり通っているというのに、軍だけが立派であるわけがない」と指摘した。

 さらに「このばかげた戦争で恩恵を受ける者など一人として知らない。罪のない市民と兵士が死んでいるだけだ」と怒りの声を上げた。

 ティンコフ氏は英語に切り替えると、「親愛なる『西側諸国』へ。どうか(ウラジーミル・)プーチン(Vladimir Putin)氏に面目を保てる出口を明示し、この虐殺をやめさせていただきたい。もっと理性的かつ人道的になってほしい」と呼び掛けた。

「ロシア人の90%はこの戦争に反対している」とも指摘。ウクライナ侵攻への支持を示す「Z」マークに言及し、「Zと書くばか者もいるが、どの国にも10%のばか者がいる」と述べた。

 これを受けてティンコフ銀行は声明を出し、ティンコフ氏の発言は「個人的な意見」であり、コメントしないとした。また、同氏はすでにティンコフグループの意思決定に関与していないとするとともに、「長期にわたってロシアを離れている。近年は健康上の問題を抱えている」と説明した。


ウクライナ侵攻、ロシア軍の苦戦原因は「中国製の安いタイヤ」だった?

  • 2022.4.17
  • 黒木昭弘(エネルギーコンサルタント)

ロシアは2月24日、ウクライナへの侵攻を全面的に行った。プーチン大統領の作戦は明らかに首都キーフ(キエフ)を数日で陥落させ、ゼレンスキー大統領たちを追放してウクライナをロシアの強い影響下にすることだったのだろう。

 しかしウクライナ軍の予想外の抵抗で、ロシア軍の前進はキーフの北方20~30kmで停止することになる。そのためロシア軍は、増援部隊と補給物資を出撃基地である隣国ベラルーシから前線に多数派遣した。しかしその部隊が長さ64kmにわたり、大渋滞を起こしてしまい、部隊の増強も物資の補給も停滞してしまった。

 人工衛星からの写真で長々と伸びたロシア軍の車両、戦闘部隊と運送部隊が混在しているのが分かった。ただその原因については、さまざまな説が論じられていた。

 そんななか、SNS上で拡散した多くの写真を見た世界の軍用タイヤのプロから、

「ロシア軍が使用したタイヤが中国製の格安ものだったので引き起こされたものでは」

との指摘が相次いだ。

 国防総省で軍用タイヤのスペシャリストだった人や、軍用タイヤの研究家で現在も国防省のアドバイスを行っている人物が複数のアメリカメディアに語っている。彼らはSNS上の写真だけでなく、アメリカ国防省からの写真も提供を受けているようだが、その詳細は不明だ。

ロシア軍が使用したタイヤが、中国製の格安のものだったと世界の専門家が指摘している。いわく「戦場で極めて評判の悪いタイヤ」であるという。

中国製の安いタイヤの性能不足

 専門家の3人の主張はほぼ同じなので、簡潔に取りまとめた。

 SNSで公開された中で有名なのは、短距離地対空ミサイル戦闘車両の「パーンツィリ-S1」で、機関砲とミサイルを「KamAZ-6560」という8輪トラックに装着したもの。写真では後輪が完全の泥にはまり、前輪のふたつが真横に曲がっているのが分かる。

 このトラック自体の重量は20tで、総重量は30tを超える。専門家は装備しているのが中国製の軍用タイヤ「Yellow Sea YS20 tires」(中国名:黄海 YS20)だと断定し、このタイヤが"戦場で極めて評判の悪いタイヤ"であると評している。

 このタイヤだが、実はフランスのミシュラン社の軍用タイヤ「Michelin XZL war tires」の劣化コピー版だとという。ふたつのタイヤを画像で比較すると確かにブロックパターンはそっくりだ。恐らく正式なライセンス無しでコピーしたのだろうが、ブロックパターンはコピーできても、コピーしきれなくて性能が正式版よりだいぶ劣るようである。

 軍用タイヤの専門家たちは、ソマリアやスーダンなどで中国やロシアから輸入されたり、持ち込まれたりした中国製軍用タイヤを調査した。そうしたところ、乾燥路ではそこその性能を発揮するようだが、泥沼状態だと性能が大きく落ちるという。

 それゆえ、ウクライナでの南部ではそれほど大きな問題を生じていないようだが、既に春を迎えて凍結土が溶け出して泥沼化したキーフ周辺の北部の道では、簡単に泥沼で沈下して動けなくなったようだ。

 アメリカの専門家によると、オリジナルのミシュランタイヤが出荷前に厳密に検査を受けた上でエックス線検査を受けているのに対して、この中国製タイヤはほとんど何の検査も受けていないとしている。

 このように重量車両が次々とぬかるんだ道路でスタックしたことで64kmもの渋滞が生まれたと指摘している。なおインターネットなどで価格を比較すると、中国製のコピー商品はオリジナルのミシェラン製の軍用タイヤの半分以下の価格で販売されている。

ロシア軍の深刻なタイヤ保管問題

 さらに軍用タイヤの専門家はそろってロシア軍の保管の問題も指摘した。

 軍用タイヤに関してはその支える重量が大きいことから、1か月も同じ状態、同じ箇所だけに大きな重量がかかり続ける状態を続けると劣化が促進されてバーストを起こしやすくなるとされている。

 さらにその場合、日光や湿気の問題も生じるようだ。

 複数の専門家がバーストしたタイヤの写真を点検し、目で確認できる表面の色や劣化の状態から、1か月どころか1年近く何の整備もされずに放置されていたに違いないとの結論に達したという。

 また重量のアンバランスの問題だけでなく、直射日光に一定部分が長時間晒せれる部分的にタイヤの強度が落ちてバーストが起きやすくなるとも指摘されている。


「西側制裁で失業」、ロシア労働者の新たな現実

2022年4月17日 8時4分

[ロンドン 13日 ロイター] - オレクサンドル・キリリウクさんに解雇を告げる電話がかかってきたのは、ロシア軍がウクライナに侵攻した数時間後のことだった。勤め先の英ビール会社サミュエル・スミスがロシア市場からの撤退を決めたのだ。

「2月24日、私たちは皆、新たな現実に目覚めた」。2018年から同社に勤務してきた33歳のキリリウクさんは語る。同社のビールはロシア、ウクライナ、その他近隣諸国で売り上げを伸ばしていた。

皮肉なことに、キリリウクさんはウクライナ人だ。職を求めて旧ソ連諸国からモスクワに移り住んでいたが、プーチン大統領の侵攻に不意打ちを食らった数百万人の1人になる。

西側のロシア制裁によって同国経済は急降下しており、インフレ率は2桁台、成長率はマイナス2桁台に陥る見通しだ。

戦略研究センター(モスクワ)は、ロシアの失業者数が年末までに最大200万人増えると予想している。最悪の場合、失業率は2月水準の2倍の8%に近づく恐れがあるという。

「ロシアは国際金融システムから強制的に追い出された。従って経済の構造全体が変わるだろう」と言うのは、オックスフォード・エコノミクスのタチアナ・オルロバ氏だ。

「外資系企業と銀行の撤退に伴い、ホワイトカラーの失業が増えていくだろう。だが低賃金労働者を雇っていた小売りなどのセクターからも企業は撤退している」という。

米エール大経営大学院の調べでは、侵攻以降にロシア撤退を発表した企業は600社を超える。もっとも多くの企業は、数カ月間は給与の支払いを続ける方針だ。

西側企業によるロシア国内の雇用者数は、米マクドナルドが6万人余り、仏自動車大手ルノーが4万5000人、スウェーデンの家具大手イケアが1万5000人に上っていた。オルロバ氏は、西側企業の撤退により100万人近くの雇用が直接失われると試算している。

西側がロシアからの輸入禁止に踏み込んだ場合、鉱業・石油企業は人員解雇を迫られるかもしれないとオルロバ氏は述べた。

オンラインの人材採用プラットフォーム、ヘッドハンターを見ると、10日までの1週間の求職者数は、2月24日までの1週間に比べて約1割増えている。これに対し、求人件数は25%余り減少した。

<空港や美容院にも>

波紋は大きく広がっている。西側の制裁によって旅行が途絶えたため、モスクワのシェレメチエボ空港は先月、スタッフの2割を一時帰休とした。

ロシアのサービスセクターは3月、約2年ぶりの急激な縮小ぶりを示し、就業者数は2020年6月以来最も大幅に減少した。

世界銀行は、全体で260万人が今年、ロシアの公式な貧困ラインを下回る可能性があると推計している。

モスクワ近辺で美容師をしているアレフティナさん(25)は、3月は常連客の1割以上から予約が入らなかったと語る。このため、平均10万ルーブルだった月収が1万5000ルーブル(185ドル、約2万3000円)削られてしまった。

「私のお客さんは毎月減っていくのだろう。仕事がなくなったから美容代を節約している、という不満を耳にする」という。

ロイター調査によると、ロシアの対外収支黒字は今年、エネルギー収入を支えに2330億ドルと、前年の約2倍に膨らむ見通しだ。このため当局は失業給付の支払いを維持できるかもしれない。

しかしオックスフォード・エコノミクスのオルロバ氏は、ロシア経済は1998年や2008年よりも深刻なリセッション(景気後退)に陥ると予想。しかも、例えば制裁によってロシア企業が投資に必要な外国の技術や設備にアクセスできなくなるなど、長期的な影響も伴いそうだという。

オルロバ氏のモデルでは、ロシアは生産性も貿易相手諸国に比べて低下する見通しとなっている。

その一因は、ロシアで有望視されていたITセクターが打撃を被りそうなことだ。ハイヤー・スクール・オブ・エコノミクスによると、ロシアのITセクターは2019年までの6年間に経済価値が倍増し、同年末時点で国内総生産(GDP)の1.2%を占めていた。

しかしウクライナ侵攻以来、10万人を超えるIT専門家がロシアを脱出したとロシア電子通信協会は推計している。

コロナ禍中に西側諸国の失業率が2桁台に上昇する一方で、ロシアの失業率が6.5%を超えなかったのには、同国特有の要因もある。国営企業がしばしば人員解雇よりも賃金カットを選ぶことが、その1つだ。

もう1つの要因として、高齢化が進んでいるため、非熟練労働を中心に人手不足の穴埋めを近隣諸国からの出稼ぎ労働者に頼る傾向が強まっているという事情がある。世界銀行によると、ロシアでは65歳以上の人口の割合が世界平均の9%の2倍程度に上る。

つまりロシアで雇用が失われると、旧ソ連諸国に影響が広がり始めるだろう。

キルギス民族離散会議(モスクワ)の代表、クバニチベク・オスマナリエフ氏は「どこもかしこも人員削減で、ルーブルは下落し、給料を支払われていない人々もいる」と嘆く。

「(ロシアの)キルギス人は途方に暮れている。帰国して状況が良くなるのを待てば良い?母国にも職が無いのは周知の事実だ」とやるせなさを口にした。


弱小ウクライナ軍に勝てないロシア軍は必然だった

4/16(土) 6:01配信

■ 若いウクライナの国防体制作り  ウクライナとロシアの間では、大きな国力(2020年世界GDP=国内総生産ランキング:ロシア11位、ウクライナ55位)と軍事費(ロシアがウクライナの13倍)の差を背景に、軍事力の比較において、ロシア軍の強大さがウクライナ軍を圧倒している。  しかし、圧倒的に優勢なロシア軍はウクライナ軍の粘り強い抵抗に遭って苦戦し、ウクライナ軍は戦力の劣勢を跳ねのけて善戦敢闘している。  そのカギは、ウクライナ軍が、NATO(北大西洋条約機構)標準化とコンパクトで機動性に富んだ部隊作りを目指して、ソ連型軍隊からNATO(欧米)型軍隊への転換を図ってきたことにある。

ウクライナは、2021年8月24日に独立30周年記念式典を迎えた人間で言えば30歳代に入ったばかりの若い国である。  同国は、旧ソ連邦崩壊後、その構成共和国の一つ「ウクライナ・ソビエト社会主義共和国」の領域を継ぐ形で成立し、その地理的範囲を領土とする自由で、自己決定できる国としての完全な独立主権国家である。

 東西冷戦下の旧ソ連邦時代、軍事上の前線と位置づけられ攻撃的な性格の強い部隊が配備されていたウクライナは、ソ連邦崩壊に伴い膨大な軍事施設と兵力、組織および装備品などをそのまま受け継ぐこととなった。  しかし、1991年に独立したことによって自国防衛、すなわち国防が主任務となったウクライナ軍にとって、旧ソ連型の攻撃的で大規模な兵力を擁する軍事組織、装備品などは不要となった。  国家防衛に特化した、また国力国情に応じた軍隊作りに政策転換した。  そして、ウクライナは独立から5年後の1996年に、旧ソ連型の軍から国防を主任務とする軍事組織への移行を完了した。

■ NATO型軍隊への転換を目指した軍改革  その後、 2000年2月に策定された「軍事力整備計画」では、 NATO標準化とコンパクトで機動性に富んだ部隊編成を目指すとし、それ以来、国防省は同計画に基づき機構改革、部隊改編、兵力の削減、老朽化した装備品の用途廃止などの軍改革を推進した。  1996年時点で合計約70万人いた軍人および文官は、2012年末時点で18.4万人にまで削減され、将来的には10万人まで削減する計画であった。

 しかし、ウクライナ東部情勢の悪化などを受け、2015年には総定員約25万人に拡大された。  また、2002~2003年にかけてNATOの協力を得て国防計画の見直しが行われ、2004年6月には今後の軍改革の方向性と最終的な目標を明示した「戦略国防報告」が公表された。

2005年には、「2006~2011年の間のウクライナ軍発展国家プログラム」が、2013年には「2017年までのウクライナ軍改革・発展段階」が策定された。  完全職業軍人化のほか、指揮統制システム、装備、教育訓練などの分野における軍改革が段階的に推進された。  なお、完全職業軍人化については、2013年秋をもっていったん徴兵制が廃止された。  しかし、ウクライナでは、2014年のロシアのクリミア半島併合とウクライナ東部に対する軍事介入によって一挙に情勢が悪化した。  それ以降、ウクライナは困難に直面しつつ、平和的解決を目指し努力を継続してきた。  

同時に、一時的動員を定期的に実施しつつ、2014年に徴兵制を復活させるなど、国防力の強化に努めてきた。  その一環として、2019年2月の憲法改正により、将来的なNATO加盟を目指す方針を確定させた。  ウクライナでは、18歳以上の男子に兵役義務が課せられている。任期は18か月(1.5年)であり、兵役経験者などの予備役が約90万人いる。

ウクライナには、正規軍とは別に、2014年のロシアによるクリミア半島併合などを受けて創設された有志の市民ボランティアで構成する「領土防衛隊」があり、ロシアの軍事侵攻に直面し、その人数は劇的に増加していると言われている。  また、今般のロシアの軍事侵攻に備えるため、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、18歳から60歳の男性の出国を原則禁止して総動員態勢の措置をとった。

■ NATOによる教育訓練  NATOによるウクライナ軍に対する教育訓練の取組みは、2008年、ロシアがグルジア(ジョージア)に侵攻したロシア・グルジア戦争を契機として本格的に開始された。  この取組みには、米国や英国、カナダ、ポーランド(1999年加盟)、ルーマニア(2004年加盟)などNATO加盟の8か国が参加し、従来のソ連型軍隊からNATO(欧米)型軍隊へシフトする支援を行ってきた。

 ソ連式の指揮は、伝統的に厳格なトップダウン(上意下達)型のアプローチで、上官が部下へ命令を下す。  下位の兵士が考えたり、状況に合わせて変化させたりする権限をほとんど与えない硬直したスタイルである。  他方、NATO型はいわゆる委任型指揮というアプローチで、上官が作戦・戦闘の目標を設定し、それに向けた具体的方法などの意思決定を指揮系統のできるだけ下に位置する者、場合によっては個々の兵士に委ねるという柔軟なやり方をとる。  ソ連型戦術は、まず一斉砲撃を行ってから、部隊を大量投入し、敵の陣地を奪おうとするものだ。

 スターリン時代からほとんど変わらない定型的な戦法をロシアが採っているの対し、NATO型は戦況に適応したより柔軟・機敏で機動性に富んだ戦術である。  また、NATOは下士官の地位を確立した。それは、経験のある兵士が権限のある階級(下士官)に昇進し、上層部と現場の部隊をつなぐ重要な橋渡し的な役割を果たすものである。  

一方、ロシア軍の下士官は現在、契約勤務制度(一種の任期制職業軍人)による契約軍人で賄われているが、1990年代まで遡ればロシア軍には契約軍人という制度自体がなく、将校のほかは下士官も兵士も徴兵で賄っていたようにその地位・権限は概して高くない。  これまでの訓練期間中、ウクライナ軍の中にはNATO型訓練に反発する動きもあった。  しかし、2014年にロシアのクリミア半島併合とウクライナ東部への軍事介入を許したことが契機となり改革が進んだ。  

当時のペトロ・ポロシェンコ大統領が軍事改革の推進を命じ、NATOの取り組みを活性化させたのである。  昨年(2021)、ロシアからの脅威が増すにつれ、軍事訓練のペースも加速した。  ウクライナ軍では、NATOアドバイザーの下でロシアの侵攻に対抗する防衛計画が策定され、また、例えば英国が提供した次世代軽対戦車(NLAW)ミサイルをウクライナ軍部隊が円滑に使用できるよう急いで対応した。  このようにして、ウクライナ軍はNATOのルールに沿って戦争をする方法を学び、2022年2月末に始まったロシアの軍事侵攻でそれを実践し、善戦敢闘する成果を出すまでに成長している。

外国からウクライナへの武器・装備品の提供  ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2022年2月24日早朝(現地時間)、ウクライナへの軍事進攻に踏み切った。  これを受け、米国のジョー・バイデン大統領は3月16日、ウクライナに対しこれまでに供与した10億ドルに加え、8億ドルの安全保障援助を発表した。合わせると、約20億ドルとなる。

 8億ドルの安全保障援助の内訳は、下記の通りである。  

  • スティンガー対空システム(800)
  • ジャベリン(対戦車ミサイル、2000)、軽対装甲火器(1000)、AT-4対装甲システム(スウェーデンSaab社製の単発使い捨て式84mm滑空式無反動砲、6000)
  • 戦術無人航空機システム(100)(例:小型自爆ドローン「スイッチブレード」)
  • 擲弾筒発射機(100)、小銃(5000)、拳銃(1000)、機関銃(400)、ショットガン(400)
  • 小火器弾薬・擲弾筒発射機・迫撃砲弾(2億発以上)
  • 防弾チョッキ(2万5000セット)
  • ヘルメット(2万5000セット)

*備考:括弧内の数字は数量を示す。  なお、上記に加え、これ以前に行った安全保障援助の内訳は、下記の通りである。  

  • スティンガー対空システム(600以上)
  • ジャベリン(対戦車ミサイル)及び対装甲システム(約2600)
  • Mi-17ヘリコプター(5)
  • 哨戒艇(3)
  • 対砲兵・対無人航空機システム追随レーダー(4)
  • 対迫撃砲レーダー(4)
  • 擲弾筒発射機及び弾薬(200)
  • ショットガン(200)および機関銃(200)
  • 小火器弾薬(4億発以上)および擲弾筒・迫撃砲弾・砲兵弾(100万発以上)
  • 高速機動多目的装輪車両(HMMWVs)およびその他の車両(70)
  • 通信・電子戦探知システム、防弾チョッキ、ヘルメットおよびその他の戦術装備品
  • 治療・後送のための軍事衛生資器材
  • 不発弾処理および地雷除去装置
  • 衛星画像および同分析能力

*備考:括弧内の数字は数量を示す。

NATOを中心とする欧州諸国も、陸路・空路からウクライナへ武器を提供している。  

英国は、2月24日の侵攻開始前からウクライナに武器を提供しており、次世代軽対戦車(NLAW)ミサイル2000基を届けた。  

ウクライナへの武器提供は主に、旧ソ連圏かソ連と近かった中欧諸国のNATO加盟国から送られている。  

米国はNATO加盟国とともに、大量の対戦車兵器を送ったと説明しているが、その大半はチェコ軍から提供されたとの報道がある。  

ドイツは、当初ヘルメットなどでお茶を濁そうとしたが、積極姿勢に転じて対戦車兵器1000基、スティンガー500基および旧東独軍が保有していたソ連製携帯式SAM(ストレラ)2700基を提供した。

バルト諸国はスティンガーや、射程2.5キロの世界で最も効果的な対戦車兵器の一つである対戦車ミサイル「ジャベリン」など数千基を提供した。  

トルコが提供した同国製ドローン(小型無人機、TB2)が、ロシアの戦車や装甲車両の車列に襲い掛かっている模様である。  

NATOに加盟していないスウェーデンやフィンランドも加わり、両国とも、数千もの対戦車兵器をウクライナに送った。  

日本は、武力攻撃を受けているウクライナへ異例の防衛装備品の提供を行った。「防衛装備移転三原則」は、「紛争当事国」への装備品の供与を禁じているが、政府はウクライナがこの対象ではないと判断して、まず、防弾チョッキとヘルメットを提供した。自衛隊法116条の3は、自衛隊の任務に支障がない範囲で装備品を他国に渡すことを認めている。初回、対象とした防弾チョッキとヘルメットのほか、非常用食料や防寒服、テント、発電機、カメラ、衛生用品など殺傷能力がないものを想定している。  

侵攻の初期段階で、ウクライナに兵器・装備品を提供している国は、合わせて14か国に上り、ウクライナの防衛力を補備・強化している。  その後も、英国が装甲車や対艦ミサイルシステム、チェコが旧ソ連製の「T72M」戦車、スロバキアが地対空ミサイル「S300」など、NATO加盟国などから兵器・装備品等の提供が続いている。

ウクライナ存立を左右する最大の戦闘局面へ  首都キーウや北部の都市を制圧しようとするロシア軍の試みは3月下旬、機動的なウクライナ軍の「待ち受け、ヒット・アンド・アウェイ(ambush, hit and away)」戦法でロシア軍の戦車や装甲車を襲撃し、森林や村々を通るロシア軍の長い補給線に空爆を加えたことで崩壊した。  

ここにきて、ロシアの主要作戦目標は、東部ウクライナへ戦力を集中し、東部ドンバス地方でまだ制圧できていない地域を掌握するとともに、ウクライナ南東部の要衝である港湾都市マリウポリを制圧し、それらをもって東部ウクライナから併合したクリミア半島までを繋ぐ戦略的戦果を挙げることにシフトした模様である。  

ウクライナ北部と違い、東部ウクライナの丘陵や平地での戦いは、砲撃、航空攻撃などを伴った大戦車戦となり、ロシア軍の編成装備の優位性が発揮されやすいと見られている。  これに対し、米国は、これまでのウクライナ紛争に対するアプローチを軌道修正し、重火器や装甲兵員輸送車(APC)、ヘリコプター、無人沿岸防衛艇などの大型兵器を提供するとともに、ウクライナ軍への機密情報の提供を大幅に拡大して反撃を支えようとしている。  

ウクライナは、まもなくその存立を左右する、今回の戦争で最大規模になる戦闘局面に突入する。  ソ連型軍隊からNATO(欧米)型軍隊へ転換したウクライナ軍は、旧ソ連製兵器と西側製兵器をミックスした、ロシアとの非対称な軍事力とNATO型戦術をもって戦うことになる。


露原油、取引拒否相次ぎ生産7割減 中印も輸入躊躇で露政府予算減少計り知れず

  • 2022年4月15日

核心産業であるエネルギー業界への制裁にロシア経済が揺れているようだ。ウォールストリートジャーナル(WSJ)は13日(現地時間)、2月24日にロシアがウクライナを侵攻するとすぐに開始された国際社会のロシア産原油に対する制裁措置が効果を発揮し始めたと報じた。

ロシア産エネルギーを輸入しないことにした米国をはじめとする欧州連合(EU)加盟国で、ロシア以外の国からエネルギーを輸入しようとする国が増えているためだ。これに対しロシアのエネルギー業界は供給先を見つけることができず、結局、原油生産を減らし始めたとWSJは分析した。

WSJはディーゼルとガソリンなどを生産するロシアの精油業界が先週に入って生産量を1日170万バレルずつ減らしたと伝えた。例年に比べて減少量が70%も増したという。専門家たちはロシアの精油業界が新たな供給先を見つけられず、このような状況が発生したと分析した。

国際エネルギー機関(IEA)によると、ロシアの原油生産量は来月から1日300万バレル近くまで減ると予想される。ウクライナ侵攻前のロシアの1日の原油生産量は1100万バレルを超えていたことから、その7割以下に減るということになる。

専門家らは国際社会制裁で残っているロシア産原油を中国が輸入すると予想したが、中国がロシア産原油を急いで輸入する動きはない。ロシアとの関係を維持しているインドがロシア産原油を輸入する可能性があるが、国際社会でインドへの視線が厳しくなっていることから、難しくなるのではないかとの分析も出ている。

専門家は、エネルギー業界の稼働中断はロシア経済の困難を倍増させると指摘した。昨年のロシア政府予算の45%は原油と天然ガスの販売益が担っている。国家予算の半分近い収入を占める産業が大打撃を受ければ、ロシア経済への影響は計り知れない。


ロシア軍を予想外に弱体化させた、プーチン政権の「深刻な汚職」の実態とは

4/13(水) 6:01配信

 193の国が参加する国連総会は7日、ロシアのウクライナ侵攻に対する緊急特別会合を行い、国連人権理事会においてロシアが保持していた理事国というステータスを剥奪することを決定した。ウクライナにおけるロシア軍の活動状況がよく分からない中で、一部のロシア軍が市民の虐殺を含む戦争犯罪に手を染めていたことが判明すると、国際社会はロシアに対してより強い姿勢を見せるようになった。

ロシア軍は人権侵害以外にも組織的な略奪が問題視されており、ウクライナの民家から盗まれるものは、貴金属類から食料、さらには洗濯機などの家電製品まで多岐にわたる。まともな国の軍隊として機能していないようにも思えるロシア軍だが、軍としての能力にも疑問がある。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は同日、「ウクライナでの作戦で多くの兵力が失われた。これは大きな悲劇だ」と異例のコメントを発表した。ロシア軍に何があったのだろうか?今回は「汚職」という視点から考えてみたいと思う。(ジャーナリスト 仲野博文)

  •  ロシア軍がウクライナで 撤退を続ける3つの理由

 ベラルーシの反体制派ジャーナリストのハンナ・リュバコワ氏によると、ロシアの民主活動家ナワリヌイ氏に関するジョークが、ロシアと同盟関係にあるベラルーシで今はやっているそうだ。ジョークを訳すとこんな感じになる。  「ナワリヌイはロシア国内で汚職や腐敗を一掃するための戦いを続けてきたけれど、今のロシア軍の状態に目を向けると、ナワリヌイが汚職との戦いに勝利しなくて本当によかった」

 この数年で10万人規模の反政府デモが複数回行われ、現在も多くのデモ参加者が「政治犯」として拘留されているベラルーシでは、隣国ウクライナへの軍事侵攻に反対する若者も少なくない。ロシアで同様のジョークが流行っているのかは不明だが、「欧州最後の独裁者」と評されるルカシェンコ大統領や腐敗した政府に憤る市民の間で話されているジョークだという。  ジョークに出てくるナワリヌイ氏は、昨年1月にドローンで撮影した黒海沿岸のリゾート地にある豪華な宮殿の様子をユーチューブに投稿し、数千億円の建設費が投じられた宮殿の所有者はプーチン大統領だと主張している。

 ナワリヌイ氏はプーチン大統領や彼の取り巻きによる不正蓄財の実態を告発し続け、汚職が蔓延するロシア社会の現状を国内外に発信し、汚職の撲滅を目指した。だが、ナワリヌイ氏は先月22日、横領などの罪で懲役9年の実刑判決を言い渡され、汚職撲滅キャンペーンは志半ばでストップした状態だ。

 しかし、汚職が完全に無くならなかったことは、逆にロシア軍を弱体化させ、結果的にウクライナ側の徹底抗戦の助けになっているというのがジョークの内容だ。一体どういうことなのだろうか。

 2月24日に始まったロシア軍のウクライナへの軍事侵攻。当初は1週間もしないうちに首都のキーウ(キエフ)が陥落し、親ロ政権が樹立されるのではないかとまで考えられていた。だが、ウクライナ軍や銃を手にした一般市民、義勇兵らの激しい抵抗によって、ロシア軍はキーウ陥落はおろか、ウクライナの主要都市のほとんどを現在も掌握できていない。

 多くの国で「ロシア軍はこんなに弱かったのか」という声が出ているが、ここまでひどいとはアメリカやイギリスの情報機関も予想していなかったようだ。ロシア軍が撤退を続ける理由はいくつも指摘されているが、以下の三つがよくいわれるものだ。  

  • ロシア軍のトップがプーチン大統領に正しい戦況報告を行っていない可能性
  • 軍に入ったばかりの若者も多く、ロシア軍部隊の中で著しく低下する士気
  • 必要な兵器や食料が足りないまま戦いを強いられている現状  食料が足りない原因については、当初、ロシア軍の補給線をウクライナ軍が破壊し、それによって弾薬や食料が尽きたからではないかと考えられていた。しかし、そもそも十分な弾薬や食料が各兵士に渡されていなかったのではないかという疑惑が生じている。
  •  拷問・殺害・略奪 ロシア軍の数々の蛮行

ウクライナに展開するロシア軍兵士が持っていた野戦食(MRE)を押収したあるウクライナ軍部隊は、MREの箱に記載されていた消費期限を見て驚きを隠せなかったという。消費期限は2015年となっていた。一方、同じタイプの野戦食で、2022年夏までの消費期限が書かれたものが、ロシア国内や日本でもネット通販で販売されていた。詳しくは後述するが、その原因について、物資の密売を組織的に行っていた可能性がある。  

また、ウクライナ軍が捕虜にしたロシア兵の防弾ベストを調べたところ、ベストの中に入っていたのは鉄板ではなく、段ボール紙であったという例も報告されている。他にも戦死したロシア兵の防弾ベストを調べたところ、鉄板の代わりに盗まれたノートパソコンが入っていた例も報告されている。単純に盗品を隠し持っていたという声がある一方で、防弾ベストに使われる鉄板が支給されていなかった可能性も指摘されている。  

ロジスティクスの面で大きな問題を抱えるロシア軍だが、倫理的にも大きな問題を抱えているようだ

 4月初旬、戦闘で多くの死傷者を出したキーウ近郊のロシア軍部隊は撤退を開始。キーウ周辺の町を奪還したウクライナ軍やジャーナリストが目にしたのは、手を縛られた状態で射殺され、路上に放置された多くの住民の遺体であった。  キーウの西20キロに位置する人口4万人のブチャでは、少なくとも300人以上がロシア軍によって拷問・殺害されたと、地元の市長が語っている。この現状をモスクワにいるロシア軍のトップやプーチン大統領がどれだけ把握していたかは不明だが、ウクライナ侵攻に投入された兵士のモラルが低いことだけは間違いない。  

キーウ近郊では撤退中のロシア軍のトラックが何台もウクライナ軍によって破壊されたが、トラックには兵士ではなく、略奪された家電製品や食料が積まれていた。隣国ベラルーシではウクライナからやって来たロシア軍の兵士が、市民に洗濯機やテレビなどを売りつける姿が確認されている。  ウクライナに投入されたロシア軍部隊のモラルハザードは許されない問題だが、それを引き起こしたのはロシア国内でまん延する組織的な汚職だという見方がある。  

プーチン政権が誕生する以前から、ロシアでは社会のあらゆる場所で汚職がまん延していた。米タフツ大学の調べによると、2016年にロシア国内で贈収賄などの汚職で約1万3000人が逮捕されており、他国と比較しても賄賂で物事が決まる文化が出来上がってしまっている。反汚職の非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」によると、ロシアの汚職度ランキングは180カ国中136位で、ミャンマーとほぼ同じレベルだ(2021年度)。

  • まん延する組織的な汚職と「大物」が逮捕されない構造

フィナンシャル・タイムズの記者として1970年代からモスクワに住み、プーチン政権を批判する複数の著書を出版したのち、2013年にロシア政府から国外退去を命じられたアメリカ人ジャーナリストのデービッド・サッター氏は筆者の取材に対し、プーチン政権下のロシアで汚職はよりまん延したと断言する。  

「小さな規模の賄賂は昔から存在したが、プーチン政権になってからは、プーチン大統領とその取り巻きにより多くのカネが入るシステムが確立された。ロシア国内では収賄罪で逮捕される人の数が他国と比べても多いが、市民が憤るレベルの大規模な汚職で逮捕者が出るケースはまれだ。本物の悪人は逮捕されず、私腹を肥やし続けている」  

プーチン大統領との親しい関係が指摘される人物の一人に、実業家のエフゲニー・プリゴジン氏がいる。ケータリング事業で成功した人物だが、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」との関係も報じられており、アメリカ政府は先月3日に彼と彼の家族に対して資産凍結などの制裁を科すと発表した。  

プーチン政権発足後、ロシア軍の戦闘糧食や基地での食事に使われる食材の約9割はプリゴジン氏が経営する企業が取り扱っている。事実上の随意契約となっているが、契約の詳細はほとんど公表されていない。

 ロシアでは医療、高等教育、公共工事などで賄賂のやりとりが日常茶飯事となっているが、最も汚職がはびこるのが国防省と軍だ。ロシアのオリガルヒや汚職の構造に詳しい米サウスカロライナ大学のスタニスラフ・マルクス准教授は公務員のモラルの低さが大きな問題であると語る。  「私の研究では、政府職員による政府予算の着服や流用が広範囲で確認できた。

ウクライナに侵攻したロシア軍部隊が戦果を上げられない理由として部分的に考えられるのは、軍に割り当てられたはずの予算の流用だ」  ロイター通信は先月24日、「ロシアは精密誘導爆弾をほとんど使い果たしている」という、米国防総省のコリン・カール国防次官の談話を報じた。市民に多くの犠牲者を出す通常の爆弾やクラスター爆弾の使用はロシア軍の戦術として世界中から非難の的になっているが、予算の流用などで本来存在するはずの兵器が無かったという可能性もある。  

ロシア軍の汚職がウクライナ侵攻にどれくらいの影響を与えているのかは不明だが、この数年の間にも軍関係者が数百トンのガソリンを転売したり、偽の開発計画が承認され、ペーパーカンパニーに数十億円が入金されたものの、研究開発は何も行われていなかったりといった事件が発覚している。高官から末端まで、多くの人間がロシア軍を巻き込んだ汚職に関与しているとされるが、プーチン大統領はどこまで事態を把握しているのだろうか?  米タフツ大学で研究員としてロシアの汚職について調査を続けるポリーナ・ベリアコワ氏は先月8日、政治ニュース専門サイト「ポリティコ」に寄稿したオピニオン記事の中で、横領などを含む汚職がウクライナに侵攻したロシア軍部隊に与えた影響について言及している。  

石油が不足するはずのないロシアから侵攻した部隊がなぜ燃料不足に陥ったのか。なぜロシア軍は精密誘導弾をあまり使わないのか。なぜロシア軍部隊に支給されたMREの中に消費期限が何年も前に切れたものがあったのか。これらの疑問に対する答えとして、ベリアコワ氏は予算の着服や、物資の密売が組織的に行われていたからだと結論付けている。

  • EU加盟を目指すウクライナが 直面する汚職との戦い

汚職に関しては、ウクライナも多くの問題を抱えている。ロシア軍のウクライナ侵攻によって、ウクライナにもはびこる汚職という社会問題は語られなくなったが、先に述べた汚職度ランキングでは122位と決して褒められる数字ではない。とはいえ、2010年の同調査では、154カ国中146位だったので、この11年間で少しずつ汚職は減っている。  

キーウを訪問した欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は4月8日、ゼレンスキー大統領にウクライナの将来的な欧州連合(EU)加盟に向けた質問書を手渡した。過去の例から考えると、EU加盟が承認されるまでには数年を要するとみられるが、ウクライナのEU加盟がいつ承認されるのかは不明だ。  フォン・デア・ライエン委員長は加盟手続きの迅速化をゼレンスキー大統領に約束し、ゼレンスキー大統領は質問書への回答は1週間以内に準備できると語ったが、汚職という問題にウクライナがどう向き合うのかという課題は残ったままだ。


すでにプーチンはこの戦争で負けている|

ユヴァル・ノア・ハラリ氏が、ロシアのウクライナ侵攻について歴史的観点から解釈する映像です。 彼はロシアのプーチン大統領が既にこの戦争に負けたと断言しています。 戦争が勃発する前にはウクライナへの世界的関心はあまりなく、ただ旧ソ連で独立した新生国としてしか認識されませんでした。 しかし、今は世界のすべての人の注目を受けており、善のウクライナと悪のロシアの対決として認識されています。 この戦争に対するユヴァルハラリ氏の洞察を聞いてみましょう。(動画の字幕を文字に起こしました)

危険なのは そんなに多くの力を持っている人が現実感覚を失ったとき自分の過ちを認めないことです。

これは独裁政権の最も根本的な問題であり、独裁者が間違えたとき彼はそれを認めることができません。

ソヴィエト連邦崩壊後のロシア人とウクライナ人は敵ではありません。彼らは別々の道を進みましたが、それはある意味家族間の別離のようなものです。プーチンは彼らを敵に替えています。これは彼の遺産になるでしょう。彼は後世代に憎しみの種を植えています。これはその地域の歴史において彼の遺産となるでしょう。

そして世界的に幅広く見ると、彼は人類全体をジャングル時代に戻しています。戦争の時代に、私たちがもう終わったと思うその時代に戻しています。

1945年以降世界は受け入れられなくなりました。強大国が弱小国をなくすこと、地球上で一目で弱小国と見える国をです。

世界で様々な内戦があり、いろいろな紛争の介入があり、一部の国は国内の不同意で崩壊しました。しかし、昔の歴史では,基本的に大きな魚が小さな魚を食べるような状態でした。大きくて強いからと言って隣国に侵入し、ただ彼らを全滅させることができました。それはもう受け入れられなくなりました。そして私たちが見ていることの一部は特にヨーロッパの驚きの反応だけでなく世界の他の地域の驚きの反応、人々が本能的に気づくということです。

もしロシアのウクライナ侵略が成功すれば、大きな国が再び弱い隣国を全滅させるならば、ただ侵略したいという理由ですれば世界中の誰もがもう一度ジャングル時代に戻るでしょう。多くの紛争が起こるという理由よりはです

ただ統計的観点からそれを考えてみてください。人々は言います。長い平和への考え、私たちが生きてきた長い平和は単なる想像だったと。

しかしそれは予算の統計から見えます。政府の防衛予算を見ると2020年世界の国の平均国防予算は国の予算の約6%です。ヨーロッパでは約3%です。歴史的にこれは絶対にすばらしいことです。ほとんどの歴史は皇帝.王.王子 彼らは40%、50%、70%を軍隊に費やしていました。

今はたったの3%か6%?。これが私たちが優れた医療システムを持っている理由、優れた教育システムをっている理由です。

そして今、ロシアのウクライナ侵略の翌日、ドイツは国防予算を2倍にしました。それに私は完全に同意します。これはこの状況で彼らがすべきことです。しかし誰もが理解しています。もしこの侵略を許すと、勝利へと許すと、地球上のすべての人を傷つけるでしょう。ウクライナとロシアに直接関係する人たちだけでなくです。この戦争はウクライナ国家の存在についてです。

この意味でプーチンはすでに負けました。なぜなら何も知らなかった人でも一週間前ウクライナのことについて今は皆がウクライナは実体的な国家だと認識しています。

生存のために戦い、ロシアに吸収させられない国家だと認識しています。プーチンの幻想から何があっても関係がないです。彼の問題は全独裁者の最も根本的な問題で、周囲は彼に真実を話すことをとても恐れていますが、最終的に彼は確信することになった。自分の嘘を完全に確信しました。彼は何度も言いました。ウクライナは存在しないと、周りの人も言いました。そうウクライナという国はない。ウクライナ人はただロシアに戻りたいと、そしてプーチンは現実感覚を失いました。

危険なことは、そんなに多くの力を持っている人が、現実感覚を失ったとき自分の過ちを認めないことです。これは独裁政権の最も根本的な問題であり、独裁者が間違えたとき彼はそれを認めることができません。そして周りには誰もいません。独立した政党、市民、メディアもいません。彼に「あなたは間違えました」と言える人はいません。そんな言葉は状況をさらに悪化させるだけです。そして最大の危険は次に何が起こるのか知りたいのならシリアで起きたことに目を向けるべきです。

プーチンはまたホムスで起きたことの背後にいる人物で、アレッポで起きたことの背後にもいる人物です。そして文字通り私を眠らせなくすることは、彼が同じことをしようとする恐怖です。ウクライナのキーフとハリコフでです。私は希望します。ロシアの人々がそれを耐えられないことをです。シリアのアレッポとホムスではロシア軍は空爆しました。しかし地上での虐殺はシリア人がシリア人を虐殺していました。

今のウクライナの場合は違います。ロシア人が戦いウクライナ人を虐殺しています。しかし、死んだロシアの兵はロシア人とウクライナ人は文字通り家族です。彼らはお互いに知っています。強大はモスクワにいて姉妹はキエフにいる。

プーチンから期待するものはありません。彼を今停めることはできません。ただ私はロシア人がそれに耐えられないと願います。

ドイツについて具体的に付け加えたいですが、歴史家としてドイツは常に過去の中心だったことを認識し、現在と未来を作るのは過去です。そしてドイツに言いたいことは、今ドイツに必要なことは自信を持ってリードすることです。今ヨーロッパのリーダーになることです。あなた方が本当に償いたいのならナチス時代の犯罪の償いをしたいのなら、今の状況に中立になるのではなく、傍から退いているのではなく、この戦いの最前線にいる必要があります。自由のため民主主義のためにです。これは最高の贖罪になるでしょう。

ウクライナではなくロシア人について彼らは何百年の間独裁的環境に住んでいました。だから彼らは民主主義を持つことができません。そしてウクライナはこれが真実ではないことを示します。ウクライナは同じ独裁者の国家の中で同じ君主の下で生きました。同じソヴィエト独裁政権下で生きました。そして彼らは更に悪条件の中で建国しました。ロシアよりもです、なぜならウクライナはロシアのように天然資源を持っていなかったからです。なのでウクライナは実際とても貧しい国です。そしてウクライナは異なる選択をしました。自由民主主義を選びました。それを守るために繰り返し戦いました、つまり数百年間独裁政権下にいたとしてもです。そんな状況でもまだ民主主義を選ぶことができます。たぶんそれはプーチンを激怒させる一つのことだと思います。ウクライナについてです。それはまるでロシア人に向けるぽすた―のようなもので、「見ろ民主主義を選択きるんだ」と。何故ならもしロシアが持っていた唯一の例がオランダやスウエーデンなど簡単に言い訳になります。「スウエーデンはロシアとは全く違う話だ。だからロシアには適用されないと。モスクワの人がウクライナのキエフを見るとき自問すべきです。「彼らが民主主義になれるなら何故私たちは出来ない」と。これは非常に重要なことで、歴史的観点からそれを理解することは非常に重要です。歴史は非常に重要で、それは現在に影響を与えます。しかし現在と未来を決定づけることはありません。あなた方は常に選択肢があります。


欧州がウクライナ武装化に動く-プーチン氏に制裁は無力、方針転換

Kevin Whitelaw、Marc Champion、John Follain

2022年4月12日 3:38 JST

  • ウクライナへの武器追加供給を呼び掛け-停戦交渉も進展見られず
  • 即効的な制裁は原油やガス禁輸、EU加盟国の間で依然意見分かれる

欧州諸国はロシアのウクライナ侵攻への対応で、外交や制裁に重点を置く通常のやり方を超える方向に動いている。ロシアのプーチン大統領に考えを改めさせる最善策として、ウクライナの早急な武装化が新たな焦点に浮上した。

  侵攻から6週間がたっても、制裁は緊張緩和にほとんど寄与せず、ロシアとの交渉が何らかの結果を生み出す兆候も見られない。こうした中で、軍事支援には最も消極的と見られた欧州の一角が意外にも兵器の追加供給を呼び掛けている。

  11日にはドイツのベーアボック外相が軍需品、とりわけ重火器をさらに送るべきだと主張。「言い訳をする時間はない」と述べた。同氏は伝統的に平和主義を掲げる緑の党に所属する。

  こうした方針転換の一因として、軍事資金を確保するロシアの能力に制裁はほとんど影響を及ぼしていないと欧州諸国が認めていることや、一部諸国が自国経済への打撃を懸念して最も厳格な制裁措置に抵抗し続けていることが挙げられる。テクノロジー輸出の制限など欧州連合(EU)が導入した措置の多くは、長い時間をかけてロシア経済に影響を及ぼすことを目的としている。

  短期的な影響という観点では、ロシア産原油やガスに制裁を科す以外にEUには取り得る手段がほとんど残されていない。原油やガスへの制裁に関しては、EU加盟国の間で依然として意見が分かれている。

  ルクセンブルクのアッセルボルン外相は11日、「今は基本的に、制裁か武器か、どちらがより重要かを判断する問題に直面している」と記者団に発言。「私の結論は、今では武器だ。2カ月前であれば、こんな結論を出すなど狂気の沙汰だと一笑に付しただろう」と述べた。


2022/04/11 8:00

ついにドイツも「脱ロシア」へ...エネルギー輸出に頼りきっているプーチン大統領の行き詰まり 外貨が枯渇し、デフォルトが目前に迫っている

ロシアのデフォルトは時間の問題か

欧米諸国による金融、経済制裁によってロシア経済の悪化が鮮明だ。ウクライナ危機が発生するまで、ロシアは基本的に自国の原油や天然ガスなどの資源を輸出することで経済を成長させてきた。そのため、ロシア国内では、軽工業やサービス業の分野で企業は育っていない。

欧米諸国の厳しい制裁、中でも中央銀行への制裁などによってロシアの米ドル資金は枯渇し、デフォルト(債務の不履行、当初の約束通りに利払いや元本の返済がなされないこと)は時間の問題になっている。外資企業の撤退も増えている。経済と金融システムが混乱し、ロシアの経済成長率が急速かつ大幅に低下することは避けられない。

ウクライナ侵攻についても、キーウ(キエフ)近郊でロシア軍による民間人の殺害の疑いが浮上したことによって制裁は強化され、そのリスクは高まった。今後、懸念されるのは、追い詰められたプーチン大統領が、欧州向け天然ガスのパイプライン"ノルドストリーム1"を停止することも懸念される。

その場合、世界経済にはかなりの悪影響が生じる。供給制約はいっそう強まり、経済成長率の低下と物価上昇の同時進行が鮮明化するだろう。それ以外にも、ロシアが報復措置を実行する可能性が高い。ウクライナ危機が世界経済のゲームチェンジャーであることは冷静に考える必要がある。

新しい需要を生み出しづらい産業構造

ロシア経済にはいくつかの特徴がある。まず、ロシアは世界有数の資源国だ。ロシアは地中から掘り出される天然ガスなどのエネルギー資源や、農地で収穫される小麦などの穀物を輸出して米ドルなどの外貨を獲得した。手に入れた外貨を用いてロシアは経済運営に必要な機械や資材を輸入した。2020年の輸出の51.3%が鉱物製品、8.8%が食料・農産品(繊維除く)だ。輸入の47.6%は機械や輸送機器、18.3%が化学製品だった。

次に、製造業とサービス業の育成が十分ではないと考えられる。理論的に、経済の発展は第1次産業(農林水産業)、第2次産業(建築や製造業)、第3次産業(サービス業)の順に進む。特に、製造業の成長は、新しいモノの創造を通して人々の新しい生き方を可能にする。それがサービス業の育成に欠かせない。輸出入のデータを見る限り、ロシアは自律的かつ持続的に新しい需要を生み出し、人々の満足感を高めるための産業構造を整備することが難しいようだ。

「天然ガスを止める」と欧州を脅すが...

3月、ロシアのサービス業購買担当者景況感指数(PMI)が52.1から38.1に大きく低下したのはその裏返しに見える。欧米企業の撤退によってロシア資本が運営するサービス業の供給能力の低さがあらわになったといっても良い。製造業(工業力)の弱さは、エネルギー輸出にも関わる。ロシアは主にはノルドストリーム1などパイプラインを通してドイツなどに天然ガスを輸出する。それは液化技術の不十分さを示唆する。

ロシアは天然ガスの供給を止めると西側諸国に警告を発しているが、外貨獲得を考えるとその実行は容易ではないだろう。それは、プーチン大統領の姿勢から確認できる。3月下旬にプーチン大統領は天然ガスの購入代金をルーブルで支払うよう非友好国に圧力をかけた。

その目的はルーブルの売り圧力を少しでも弱めることや欧州などへの脅し、天然ガス価格押し上げによる利得増加などだろう。その後、プーチン大統領と会談したイタリアのドラギ首相はロシアがルーブルでのガス代金支払い要求を後退させたとの見方を示した。

米ドル建て国債の半分以上をルーブルで買い戻し

プーチン政権にとってエネルギー資源などの輸出による外貨獲得は、社会と経済運営のために手放せないと考えられる。その状況下、中銀が海外で保有していた資産が差し押さえられたインパクトは非常に大きい。金融制裁によってロシアの米ドル資金は枯渇し、デフォルト懸念が高まった。

ロシア経済は追い詰められている。3月31日にロシア財務省が4月4日に償還期限(満期)を迎える20億ドル(約2470億円)の米ドル建て国債のうち、14億4760万ドル分をルーブルで買い戻したのは、外貨の枯渇がかなり深刻だからだろう。なお、買い戻しに応じたのはロシア国内の投資家が主だったとみられる。

4月に入ると、ロシア軍が民間人を多数殺害した疑いが浮上し、欧米各国はロシアへの制裁を強化した。4日に米財務省は、米金融機関によるドル建てロシア国債の元利金支払い手続きを承認しなかった。そのため、6日にもロシアはドル建て国債の元利金をルーブルで支払った。ロシアは約束通りに債務の返済を行っていない。

追い詰められたプーチンがとる手段は

ロシアはデフォルトに陥ったと主要投資家らに認定され、ヒト、モノ、カネの海外流出は加速するだろう。GDP成長率の低下は避けられない。ロシア国民の不満は高まり、2024年に大統領選挙を控えるプーチン大統領は追い詰められるだろう。なお、2020年の名目GDPでロシアは世界11位(GDP規模は約1.5兆ドル(185兆円))だ。デフォルトが世界の金融市場を混乱させる可能性は低い。

それよりも懸念されるのが、ロシアがさらに強硬な手段に打って出る展開だ。経済面にフォーカスすると、4月6日時点でノルドストリーム1によってロシアは西側諸国と脆いながらも経済的な関係を保っている。天然ガスの4割をロシアからの輸入に頼ってきたEUは、今すぐロシア産の天然ガスや原油の供給が断たれることは避けなければならない。

ロシアにとってもノルドストリーム1は米ドルなどを確保するために必要だ。しかし、追い詰められたプーチン大統領が報復のために天然ガスの輸出を減らすなどすれば、欧州をはじめ世界経済には大きな負の影響がおよぶ。

"ロシア依存"のドイツが方針転換する意味

キーウ近郊などで多数の民間人の殺害疑惑が浮上した後、西側諸国は、真剣にロシアへのエネルギー依存を断たなければならないと危機感を強めはじめた。特に、ドイツの対ロ姿勢は一段と硬化しはじめたように見える。ランブレヒト独国防相はEUがロシア産ガスの輸入禁止を議論すべきと指摘した。

それはドイツのエネルギーや安全保障政策の転換といえる。その考えに傾斜するEU加盟国は増えるだろう。ロシアとウクライナの停戦交渉の内容、今なお激しい戦闘が続いていることなどを念頭におくと、ウクライナ危機が短期間で落ち着く展開は考えづらい。

ウクライナ情勢は深刻化し、欧州各国をはじめ西側諸国はロシアへの制裁を強めるために石炭、原油、天然ガスの禁輸など踏み込んだ措置を検討、導入しなければならなくなるだろう。6日に米国が発表した追加制裁に加えて、ガスプロムバンクなどが行うエネルギー関連の取引が金融制裁の対象に含まれる展開は排除できない

円安圧力はこれからも強まる

その一方で、EUはロシアからの供給減に対応するために、米国、アジア、中東、北アフリカなどからのエネルギー資源などの調達をさらに急がなければならなくなる。ロシアも小麦の輸出を制限するなど、対抗手段をとるだろう。

"西側諸国vsロシア"という対立構造は鮮明化し、世界経済のブロック化が加速する。エネルギー資源や穀物などの供給は追加的に制約され、世界全体で経済成長率は低下する。モノの価格上昇によって、各国のインフレ圧力もさらに強まる。米国に加えて、ユーロ圏などでもかなり急速に金融政策が正常化される可能性が高まっている。

その状況下、わが国では経済の実力の低下によって金融政策を正常化することが難しい。内外の金利差は拡大し、円安圧力が追加的に強まる。それは、輸入物価を押し上げ、国内の物価上昇圧力を高めるだろう。ロシアへの制裁強化によって、外需に依存してきたわが国をはじめとする世界経済にはかなりの悪影響がもたらされると懸念される。


ウクライナ「非ナチ化」計画の驚愕の中身...!ロシア国営メディア記事から「プーチンの本当の狙い」が見えてきた

4/11(月) 7:02配信

 2月24日にはじまったロシアによるウクライナ侵攻。戦闘は長期化し、民間人の犠牲者も増え続けている。そんな中、首都キーウ近郊の町ブチャで起こった虐殺が注目されている。ブリンケン米国務長官は4月5日、「ブチャで起きたことは、ならず者部隊による行き当たりばったりの行為ではない」「殺害、拷問、レイプなどの残虐な行為は意図的な作戦だ 」と発言した。 これは、本当にプーチンの指示なのか? あるいはブチャにいた部隊が、たまたま残虐だっただけなのか? 真相は不明だが、ロシアの国営メディアには、ウクライナの民間人弾圧を肯定する驚愕の記事が掲載されているーー。

ロシアはウクライナに何をすべきか

 私が注目したのは、ロシアの国営メディア「RIAノーボスチ」4月3日に掲載された次の記事だ。  「Что Россия должна сделать с Украиной」(ロシアはウクライナに何をすべきか)  著者は、ティモフェイ・セルゲイツェフ。「Cyclowiki.org」によると、セルゲイツェフは1963年、ウクライナ生まれ。政治戦略家で、「методологического движения」(方法論的運動)の指導者だという。  この運動は、「ロシア語を話し」「ロシア製品を買い」「ロシア人であれ」などと主張している。要するに、「民族主義運動」だ。  では、セルゲイツェフは、ロシアはウクライナに何をすべきと考えているのだろうか? 彼は、ウクライナの「非ナチ化」の必要性を強調する。

ウクライナおよびゼレンスキー政権は、「ネオナチ」だという説が、ロシアでは広く信じられている。ナチスといえば、「ユダヤ人絶滅」を画策したことで知られている。ゼレンスキーは、ナチスに滅ぼされる側の「ユダヤ系」なのだが......。

 セルゲイツェフは、現在のウクライナは、「ロシアの敵」であり、ロシアを破壊するための「西側の道具だ」と主張。そして彼は、「どんな時、非ナチ化が必要なるのか」を説明している。  それは、「国民の大部分が、ナチス政権に取り込まれた時」だ。  彼の言いたいことが理解しやすいように、補足しておこう。

 1932年、ヒトラーのナチ党は、議会選挙で37.8%を獲得し、第1党になった。 1933年、ヒンデンブルグ大統領の下、ヒトラーは首相に就任。 1934年8月2日、大統領が亡くなった。当時首相だったヒトラーは、以後「首相兼大統領」(総統)となる。 そして、同年8月19日、ヒトラーが首相と大統領を兼任することに関する国民投票が実施された。結果は、89.9%が支持。  おそらくこれが、セルゲイツェフのいう「国民の大部分が、ナチス政権に取り込まれた」状態なのだろう。

 彼は、「国民は良い、政権は悪い、という仮説が働かない状態」と表現している。そして、今のウクライナは、「まさにそのような状況にある」と主張する。  つまり、セルゲイツェフに言わせれば、今のウクライナ国民の大部分は、「ナチス政権に取り込まれた状態」なのだ。

 一方、国際社会は、ゼレンスキーではなく、むしろプーチンを、ナチスの本家ヒトラーに近いとみている。  実際、プーチンの顔にヒトラー風の髪の毛とヒゲを描き、「ストップ、プトラー(ヒトラー+プーチンの造語)!」と叫びながらデモ行進する人々が世界中にいる。

「勝者のみが、非ナチ化を実現できる」

 セルゲイツェフの主張に戻ろう。  どうやって、ウクライナの「非ナチ化」を進めていくのか。もちろん、ウクライナ軍と民間人は、分けて考えるべきだろう。  彼は次のように言う。

 「武器を持つナチス(=軍人)は、戦場で最大限殺されるべきだ」  問題は、民間人に対する彼の態度だ。セルゲイツェフは民間人について、こう書いている。  「国民の大部分も、受動的なナチス、ナチスの共犯者であり、有罪である」  驚くべき見解だ。  では、「ナチスの共犯者」である国民の大部分を、どうすべきなのか? 

 彼は、国民の「非ナチ化」を実現するために「再教育」する必要があると主張する。「再教育」は、「イデオロギー的弾圧」と「厳格な検閲」によって達成される。イデオロギー的弾圧と検閲は、政治分野だけでなく、教育や文化にも適用されなければならない、と。  しかし、ロシアがウクライナの「非ナチ化」を実現するためには、戦争に勝利する必要があるだろう。  セルゲイツェフは言う。  「勝者のみが、非ナチ化を実現できる」

 さらに、驚くべき主張がつづく。  「非ナチ化される国(ウクライナ)は、主権を持つことができない」  では、「非ナチ化プロセス」、つまり、ウクライナが主権を持てない期間は、どのくらいつづくのか?   彼は、「一世代以下は、ありえない」と断言する。セルゲイツェフによると、ウクライナのナチ化は1989年から30年以上かけて進んできた。だから、「非ナチ化」も、そのくらいの期間はかかると考えているのだ。  つまり、ロシアは、ウクライナの「非ナチ化」のために、向こう30年間主権を奪わなければならないと。

セルゲイツェフの「個人的」意見なのか

 いかがだろうか? おそらく、かなり驚かれたことと思う。私自身、これを読んだときは、かなりの衝撃を受けた。  ここまでのセルゲイツェフの主張をまとめておく。 ---------- ・ロシアは、ウクライナを「非ナチ化」しなければならない。 ・ウクライナ国民の大部分も、受動的なナチス、ナチスの共犯者であり、有罪である。 ・ロシアは、「イデオロギー的弾圧」と「厳格な検閲」による「再教育」で、ウクライナの「非ナチ化」を実現しなければならない。 ・ロシアは、ウクライナの「非ナチ化」プロセスを、最低1世代(30年)つづけなければならない。 ・「非ナチ化」プロセスがつづいている間、ウクライナに主権を与えてはならない。 ----------

 「信じられない」「フェイクニュースではないか」という方は、グーグル翻訳を使って原文を読んでみてほしい。かなりおかしな日本語になるが、大意は理解できるだろう。  「Что Россия должна сделать с Украиной」

 強調しておくが、ロシア国民の大部分が彼の考えを共有しているわけではない。問題は、「これは、セルゲイツェフ一人の意見なのか、それともロシアの支配層の一般的な意見なのか?」ということだ。  もちろん、真相を正確に知ることは不可能だ。しかし、国営RIAノーボスチが、セルゲイツェフの(私たちから見ると)超過激な記事を掲載している事実は重要だ。  なぜか? 

 現在のロシアには、言論の自由は存在しない。ロシアのメディアは完全にクレムリンの支配下にあり、「事実を伝える機関」というよりは、「プロパガンダマシーン」として機能している。セルゲイツェフの記事が、クレムリンの方針と違うのものなら、そもそも掲載されることはあり得ない。  つまり、クレムリンの意向と合致しているからこそ、この記事は掲載されたのだろう。  ということは、プーチンは本当に、この戦争に勝利して、ウクライナから最低30年間主権を奪い、イデオロギー的弾圧と検閲によって、「非ナチ化」を進める計画なのか?   実現可能性はともかく、意図している可能性はある。

「残虐行為は意図的な作戦」だったのか

 私がそれ以上に気になったのは、「大部分のウクライナ国民もナチスの共犯だ」という点だ。  「ナチス」と聞いて、日本人はどんな感情を抱くだろうか?   ナチスドイツは第2次大戦中、2000万人のソ連人を殺したといわれる。だから、日本人が「ナチス」と聞いたときに抱く感情と、ロシア人が抱く感情には、大きな差がある。ロシア人にとって、「ナチス」は絶対悪であり、憎悪の対象なのだ。  そして、ウクライナの大部分の国民は、「ナチスの共犯者だ」とセルゲイツェフは言う。その主張を国営RIAノーボスチが、堂々と掲載している。

 セルゲイツェフの記事は当然、クレムリンの意向に沿ったものだろう。であるならば、ウクライナ国民は「ナチスの共犯者」と考えられていて、ロシアの支配者にとって「憎悪の対象」なのではないか?   あるいは、クレムリンは、ロシア国民がウクライナ国民を「ナチスの共犯者」と考え、憎むように仕向けているのかもしれない。

 米国のブリンケン国務長官は、「ブチャで起きたことは、ならず者部隊による行き当たりばったりの行為ではない」「殺害、拷問、レイプなどの残虐な行為は意図的な作戦だ」と言う。  もしもロシアの支配者たちが、セルゲイツェフ同様、「ウクライナ国民の大部分はナチスの共犯者」と考えているのなら、「残虐行為は意図的な作戦」というのも、ありえない話ではなくなってくる。もちろん、現段階で断言することはできないが。  

今知っておくべきは、「ウクライナ国民はナチスの共犯者」「ロシアは戦争に勝利し、ウクライナの主権を奪い、弾圧によって『非ナチ化』を成し遂げる必要がある」という主張が、ロシアの国営メディアで発信されているという事実だ。  このことを知っておくだけでも、異常に思えるプーチンとロシア軍の行動が、理解しやすくなるのではないか。


2022年04月10日 20時00分 メモ

ロシア経済の崩壊が「ドミノ倒し」のように次の世界的な経済危機につながる可能性

GDPで見ると、ギリシャの経済は日本の埼玉県を少し上回る規模ですが、ギリシャが債務不履行(デフォルト)寸前に陥った2010年のギリシャ経済危機はヨーロッパ全土の危機、ひいては世界的な金融問題に発展しました。ギリシャよりはるかに経済の規模が大きいロシアが、2022年2月からのウクライナ侵攻に対する制裁などで破綻した場合に発生しうる事態について、経済学者が解説しています。

ロシアによるウクライナ侵攻に対し、西側諸国はロシア企業やオリガルヒと呼ばれる財閥の資産凍結、国際決済システム「SWIFT」からの締め出し、ロシア中央銀行が持つ約6300億ドル(約77兆円)の外貨準備の凍結といったさまざまな経済制裁を打ち出しました。このような動きを受けて、複数の格付け会社がロシア政府が発行する国債の信用格付けを「ジャンク」に引き下げることを決定したか、近日中に引き下げる予定としています。ウェールズのカーディフ・メトロポリタン大学で経済と金融を教えているナシル・アミヌ氏によると、ロシアの格付けがジャンクに引き下げられるということは、ロシアがデフォルトに陥る可能性が高まっているとの認識が反映されたものだとのこと。これを裏付けるかのように、国際金融協会はロシアがデフォルトになる可能性が「極めて高い」との見方を示しています。

もし、ロシアがデフォルトした場合、真っ先にあおりを受けるのがロシア向けエクスポージャー、つまりロシアへの債権を保有している世界各国の金融機関です。特に影響が大きいのがヨーロッパの銀行で、国際決済銀行(BIS)の統計によると、フランスとオーストラアの銀行がロシアに対して保有する未払いの債権は約250億ドル(約3兆円)、イタリアの銀行は約175億ドル(約2兆円)あるとのこと。また、ロシアだけでなく、ロシアの攻撃で国中が大打撃を受けたウクライナにもデフォルトのリスクがあります。ロシアがデフォルトし、ロシアに資金を貸していた銀行の債権が回収不能になると、その銀行の支払い能力が危ぶまれるようになります。これが原因で、銀行が互いへの融資を渋るようになると、世界金融危機の時に発生したような流動性危機、つまり信用不安から銀行の取引が収縮してしまう問題が引き起こされる可能性もあると考えられています。世界各国の銀行が保有している資産全体から見れば、ロシアやウクライナ向けのエクスポージャーの金額はごくわずかなので、仮に両国がデフォルトしても各国の銀行が受ける直接的なダメージはさほど重大ではないとされています。それでも、欧州・アメリカ・日本の銀行が受ける損失は合計で1500億ドル(約18兆6000億円)にのぼるとされているため、影響は避けられません。また、スイス・キプロス・イギリスなどの銀行は、海外に資産を保有しようとするロシアのオリガルヒの預金を大量に引き受けているため、制裁によりロシアからの資金が入らなくなると、そうした金融機関の業績が大きく悪化する可能性もあります。

銀行だけでなく、ロシアと関係があるほかの業界の企業も、ロシアとウクライナの戦争によって大きな損害を受けます。なぜなら、制裁によりロシアと自国との経済的な結びつきがなくなれば、それらの企業がロシアに所有している資産や、ロシア企業との間の取引も失われるからです。例えば、イギリスの石油会社であるシェルやBPなどは、ロシアにある資産を売却すると発表しているほか、ロシアの石油会社に多額の出資をしているスイスのグレンコアといった企業も、資産の売却を検討中としています。しかし、これらの資産に妥当な値段がつかず、二束三文で手放すことになれば大きな痛手となります。


そして最も危険なのは、ロシアの戦争によって損害を被った企業の株が下落してパニック売りが行われ、ドミノ倒しのように世界経済が崩壊することです。前述の世界金融危機も、アメリカの投資会社であるリーマン・ブラザーズが経営破綻したことを発端とする危機、いわゆるリーマンショックが大きな要因の1つでした。アミヌ氏は、最後に「要するに、この戦争がもたらす波及的な影響は甚大だということです。今後、短期間のうちにさらに多くの問題が表面化するでしょう。世界経済は新型コロナウイルス感染症のパンデミックからまだ立ち直っておらず、すでに大幅なインフレ、つまり物価の急激な上昇に見舞われており、金融市場も非常に不安定な状態です。ロシアのウクライナ侵攻がこうした状況の悪化に拍車をかけているので、金融界は今後の展開に神経をとがらせることになるでしょう」と述べました。


焦るプーチン大統領がウクライナ首都をミサイル再攻撃か...5.9対独戦勝記念日まで1カ月

公開日:2022/04/10 06:00 更新日:2022/04/10 06:00

 ロシアによるウクライナ侵攻の「節目」とされる対独戦勝記念日まで、9日で残りちょうど1カ月。ウクライナ東部への猛攻が予想される中、停戦交渉は暗礁に乗り上げてしまった。ロシア軍は首都キーウ周辺から完全撤退したが、予断を許さない状況が続いている。

 ロシアは今年も例年通り、戦勝記念日に式典を開く予定だ。プーチン大統領の演説も行われる見通し。メモリアルデーまでにドネツクとルガンスクの東部2州全域を制圧し、演説で南部クリミアまで通じる南東部一帯の掌握を「戦果」としてアピールするとみられる。

 実際、英米の情報機関はロシア軍がキーウ周辺からロシアやベラルーシに撤退し、補給を済ませて東部へ展開しつつあると分析している。英国防省は8日、「(ウクライナ)北部からの大規模な再動員には少なくとも1週間を要する可能性が高い」と指摘。米シンクタンクの「戦争研究所」(ISW)も7日、「ロシア軍は数日以内に行うウクライナ東部への大規模攻撃に向け、準備を進めている」との見方を示した。ロシアのペスコフ大統領報道官も英スカイニューズ・テレビが7日に報じたインタビューで、「今後数日のうちに作戦の目標が達成されるだろう」と東部への猛攻を示唆。ドネツク州マリウポリは「陥落間近」ともいわれている。州政府は8日、州内の駅にロシア軍のミサイル2発が着弾して子供を含む50人が死亡、98人が負傷したと発表した。ただ、東部攻略をもって侵攻が終わるとは限らない。ウクライナ軍参謀本部によると、ロシア軍は東部を完全制圧した後、キーウ再攻撃に転じる可能性があるという。ウクライナ軍高官は「ロシア軍はキーウへの2度目の攻撃という目標を諦めていない公算が大きい」と警戒を強めている。国際ジャーナリストの春名幹男氏がこう言う。

「ロシアのラブロフ外相がウクライナ側からの停戦合意案を拒否し、停戦交渉が行き詰まる中、プーチン大統領は主戦論を張っています。しかし、ロシア軍は負傷者が2万~3万人出ており、キーウ再攻撃どころか、東部を制圧できるかどうか。地上部隊を再投入するというよりも、ロシア領内からキーウなどへ執拗にミサイル攻撃を重ねる可能性があります」

ロシア国内では食糧難が始まる

 ロシアは攻撃を緩める様子も見せず、停戦合意案もはねつけた。長期戦を覚悟しているフシはあるが、果たして思惑通りにいくのか。米欧などによる対ロ包囲網はジワジワと狭まっている。米国は大量虐殺問題を受け、制裁対象にロシア最大手の政府系金融機関ズベルバンクと民間最大手のアルファバンクを追加。「最も厳しい措置」にあたるカードを切った。EU(欧州連合)も追加制裁に動き、8月からロシア産石炭を禁輸。ほかに55億ユーロ(約7400億円)相当に上る原材料などの輸入や、ハイテク製品など100億ユーロ相当の輸出も禁じた。筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。

「制裁の影響がロシア国民の生活にも表れ始めています。レシートなどの紙類が不足しているほか、オリーブオイルやバナナといった食料品もなくなってきているようです。ロシア人が好むチェコビールやベルギーチョコレート、ウイスキーなどの嗜好品も入ってきていない。海外企業の撤退により失業者は増える見込みで、戦争が長引けば長引くほど、国民の不満は高まっていくに違いありません。反戦ムードを抑え込み続けるのは難しいでしょう」食料難をキッカケにプーチン大統領が倒されるのか、ウクライナが耐え忍ぶのか──。タイムリミットは迫っている。


「プーチンは正気を失っていない。完全に合理的だ」政治学者ヤシャ・モンクが解説 西側諸国が独裁者の行動を理解できない理由

4/8(金) 17:30配信

ヤシャ・モンク 1982年、ドイツ・ミュンヘン生まれ。米ジョンズ・ホプキンズ大学国際関係研究所の准教授。著書に『民主主義を救え!』『自己責任の時代──その先に構想する、支えあう福祉国家』

ジョンズ・ホプキンズ大学の准教授を務めるヤシャ・モンクは、プーチンの暴行はこれまで何十年も続いた「あるプロセス」の論理的な結末だと説明する。つまり、ベルリンの壁崩壊のあと自由民主主義の国々は自分たちの勝利にあぐらをかき、独裁者たちが徐々に自信をつけて冷戦時代の最も危険な悪しき習慣を取り戻すのを許したのだと。 

「首都キーウ(キエフ)を包囲しようとしている軍隊が、民主主義は世界においてもはや唯一の選択肢ではなくなったことを示しています」とモンクは言う。 「ウクライナ戦争は、私たちがあまりに長いあいだ当然のように享受してきた『自由』を公然と否定する者と、民主主義の擁護者のあいだで起きた最初の戦いなのです」 なぜ、こうした事態に発展するまで西側諸国はロシアを放置し続けてしまったのか。スペイン紙がモンクにインタビューした。

甘やかされたいじめっ子

──ロシアによるウクライナ侵攻は、大陸における1つの戦争であるだけでなく、より深く、解決が困難な問題の表れだとあなたは指摘しています。 私たちは10年前から「民主主義の後退」を生きています。アメリカをはじめ多くの国で民主的な制度の劣化がみられ、それと同時に権威主義的な国で民主主義を求める勢いが弱まっています。過去2年間に起きたことで最も憂慮すべきは、民主国家におけるポピュリズムの台頭ではありません。そうではなく、独裁体制からの解放を試みた国の少なさです。  

──その事実は、ウクライナの戦争をどう説明するのでしょうか。 「民主主義の後退」には3つ目の要素があります。それは、民主主義の国々が自らの道義を守ることに消極的になっているのを見た専制主義者たちが、強気になっていることです。これがまさにウラジーミル・プーチンのケースです。彼は20年以上、戦争、殺人、人道に反する犯罪を政治的な道具に使ってきました。それなのに、彼を罰する者は誰もいませんでした──ウクライナに侵攻するまでは。

──実際、公然と「独裁者」と呼ばれることもありませんでした。「専制主義者」や「権威主義的な指導者」など歪曲的な表現で呼ばれるのが一般的でした。 プーチンをめぐって私たちは2つの大きな過ちを犯しました。まず、敵を国外で殺害してでも民主主義の制度を完全に破壊し、全権力を手中に収めるのが彼の計画だということに気づくのに長い時間がかかりました。

次に、そのことに気づいても、見て見ぬふりするほうが楽だったことです。西側諸国は、近所の弱い子供に暴力を振るういじめっ子のケースを扱うソーシャルワーカーのように振る舞ってきました。厳しく罰する代わりに、相手を諭そうとし、バスケットボールのクラスに参加させては、ストレスを発散すれば周りの子に手を出さなくなるのを期待してきたようなものです。

──でも上手くいかなかった。 まったく上手くいきませんでした。いじめっ子を長いこと甘やかしておくと、自分の行動には結果が伴うことを理解しなくなり、少しずつ大胆になって平気でルールを破るようになります。そういう意味でプーチンは、西側の怠慢と弱腰が生んだ怪物だと言えます。

──多くの専門家はその真逆のことを指摘しています。プーチンは私たちが生んだ怪物だが、それは私たちが余計なことをしたからだと。NATO(北大西洋条約機構)とEU(欧州連合)の境界線をロシアのほうに寄せすぎたからだと。 現実がそれを否定していると思います。

プーチンは権力を掌握するや否やチェチェンに対して残忍な攻撃を仕掛けましたが、このとき西側はまったく圧力をかけませんでした。それどころか逆に、私たちのことを見下している相手との関係を強化しようとしたのです。 私たちは歴史を理解しようとしませんでした。ロシアは何世紀ものあいだ、伝統的な帝国で、その後はソビエト連邦というイデオロギー的な帝国になりました。その帝国主義的な衝動が、プーチンのあらゆる行動を導いているのです。

──なぜ、見て見ぬふりするほうが楽だったのでしょう。 主な要因は3つあります。1つは、経済的要因です。何万という高齢者が寒さで凍え死なないようにするために暴君に頼っていると、問題が生じます。ロシア産ガスへの依存という問題を解決するには、政治家は大きな創造力を働かせなければなりません。有権者にウケの悪い中期的なコストが発生するからです。政治家にとっては、目をつぶって、プーチンは厄介だけど共存可能な存在だと思い込むほうが楽だったのです。

──2つ目の要因は? 欧州は"歴史上のバカンス"をほのぼのと楽しんでいました。ベルリンの壁崩壊と共にはじまった平和と繁栄の奇妙な時期のことです。この期間はまるで、もはや対立などなくなったかのようでした。戦争を直接経験したことがあるのは高齢者だけで、このため軍事費は削減されました。"ビーチ"の人出がどんどんまばらになり、どんどん寒くなってもお構いなしでした......欧州の人々は"バカンス"を続けて家に帰りたがらなかったのです。

──3つ目の要因は? どんな問題も交渉と合意で解決する平和な時代にキャリアを積んだ欧州のリーダーたちが、心理面で失敗したことです。人は誰しも、他人が自分と似たように考えるものだと思いがちです。このためEUの官僚には、元KGBのスパイの思考がどういうものか想像もつかないのです。元KGBのスパイにとって、問題とはいかなるものも恐喝と暴力で解決するものなのです。

アメリカ人も似たような失敗をしています。プーチンはトランプをだまし、その前にはオバマをだましました。ブッシュに至っては、「彼の目を見つめ、その魂に触れることができた」とまで言っています。これを聞いたプーチンはどう思ったでしょうね!

──プーチンは、邪悪な心を持った天才で、完全に合理的に行動する者だと考える人もいれば、彼は正気を失い、周囲の誰も彼を止めることができないまま無謀な計画に走ったと考える人もいます。本当のところ、どうなのでしょうか。 私たちの価値観とかけ離れた行動をする人がいると、その人は常軌を逸しているか、天才のいずれかだと考える傾向があります。でも実際はもっと単純です。

プーチンは歴史上の多くの独裁者や絶対君主と同じように振る舞っているにすぎません。そういう意味で、彼の姿勢は完全に合理的です。彼は自らの領土を拡大し、征服した相手から略奪し、何の咎めも受けることなく逃げおおせたいのです。 けれども暴君に特有の大きな問題にも直面しています。誰もが彼に同意して、はっきりものを言う人がいないため、自らを批判的に見ることができなくなっています。侵攻の際に犯した作戦上の過ちは、この事実をもってしか説明できません。


露空挺部隊60人が反逆、宇派遣を拒否...懲役刑覚悟か 軍内で反逆相次ぐ

  • 2022年4月8日

ウクライナに投入予定だったロシア空挺部隊所属60人余りが戦線投入を拒否して集団反逆を行ったとの報道が出ている。彼らは命令不服従を理由にロシアで懲役刑を受ける見込みだ。)

英デイリーメールなど外信によると、ロシア空挺部隊本部があるロシアの北西部都市プスコフから出発した同部隊員らが、ベラルーシに移動した後、戦線投入に対して反発したと伝えた。

同紙は、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防長官が、同部隊の集団反逆の知らせを聞いて、自身の副官の一人をプスコフに送ったと伝えた。「ある者は解雇され、《臆病者》の烙印を押され、またある者は刑務所に入れられることになった」と同紙は伝えた。
(人気記事:英情報機関「露軍は予想より遥かに弱かった」「自軍航空機撃墜、武器不足、命令拒否...」)

ロシアの野党媒体Pskovskaya Guberniyaも「プスコフから来た約60人の兵士たちがウクライナ領土への戦争を拒否した」とし、この部隊員らがベラルーシからプスコフに復帰したという報道を伝えた。

最近、自国のウクライナ侵攻に疑問を持ち、ロシア軍内部で反発の声が出ているという。他にも、食料補給の不足や、長期化しつつある戦闘状況などに対して、ロシア


ドイツ情報機関、ブチャでの民間人殺害巡るロシア兵の会話傍受-報道

Patrick Donahue

2022年4月7日 23:14 JST

ロシア兵がキーフ(キエフ)近郊で民間人殺害について話し合う無線通信をドイツの情報機関が傍受したと、同国誌シュピーゲルが7日報じた。ロシア軍がウクライナで残虐行為に及んだことを示唆する新たな証拠となる可能性がある。

  同誌によれば、ドイツ当局者は今回傍受した内容について、キーフ近郊のブチャでの民間人殺害が一部のならず者兵士によるものではなく、恐怖をあおるための意図的な戦略の一環だった可能性があることを示唆していると語った。同当局者は6日にこの情報を議会に伝えたという。ロシア側は同国軍が撤退した後にブチャで見つかった民間人の遺体の画像について、でっち上げだと主張している。

  独連邦情報局(BND)は、ブチャで見つかった遺体の場所と一致する位置データを傍受していると、シュピーゲルは伝えた。ある会話では、自転車に乗っていた人を銃撃して殺害したと主張する兵士の声が含まれていた。また別の会話では、その場にいる民間人にはまず尋問し、その後銃撃すべきだと話している人の声もあった。

  こうしたドイツの情報は、ロシアの民間軍事会社ワグナー・グループの雇い兵が残虐行為に関与した可能性を示唆していると、シュピーゲルは報道。複数の目撃者によれば、侵攻の第1段階でブチャには当初若い兵士が来ていたが、その後別の兵士に置き換えられ民間人への攻


2022.04.7

ロシア正教会、ウクライナ民族を抹殺するのがロシア軍兵士の任務

ロシア正教会は「ウクライナ民族を地球上から抹殺するのが貴方たちの任務である」と書かれた配布物をロシア軍の兵士に配っていると報じられている。

非ナチ化の正体はロシアを拒否するウクライナ人の抹殺を意味しているのだろう

ブリャンスク管区のロシア正教会が作成した配布物には「貴方はロシアの戦士である、貴方の任務はウクライナの民族主義から祖国を守ることだ、貴方の任務はウクライナ民族を地球上から抹殺することだ、貴方の敵は人間の魂に罪深い損害を与えるイデオロギーだ」と書かれており、この話題を取り上げたウクライナのEuromaidan Pressは「ロシア軍兵士にとって正教会関係者の指示はウクライナ民族に対する暴力に限り免罪符を与えている」と指摘しており、もはや平和なウクライナ人をナチズムから解放するという建前は何処かに消えてしまったようだ。

結局「虐げられてきたドンバスの住民を救うため」という綺麗事で始めた戦争の本音は「西側の価値観(民主主義)に傾向するウクライナ人の排除=ロシアへの同化」であり、非ナチ化の正体はロシアを拒否するウクライナ人の抹殺を意味しているのだろう。

因みに英国のトラス外相はウクライナ侵攻の理由にプーチン大統領が挙げていた「NATOの東方拡大」について興味深い主張を披露している。

トラス外相は「国際的な安全保障条約の枠組みを再構築する必要があり、プーチンの言いなりになるような時代遅れの協定(NATO)は必要ない。もし我々が関与するのであれば我々の条件に基いて行動する」と述べており、彼女が言及した新しい安全保障条約は「関与範囲をロシアに指定されるのではなく自分達の条件に基いて関与範囲を決める=もうロシアには配慮しない」という意味だ。

さらに「このアプローチの下では中国といった新しい脅威も認識する必要がある」とも言及しており、再構築された新たな安全保障条約の枠組みは「欧州」に限定したものではなく「世界をカバーする反権威主義・全体主義体制」を想定しているのかもしれない。

まぁ上記の構想は飽くまでトラス外相の私見だと思われるが、もしウクライナ侵攻がきっかけとなり特定の地域に縛られない「新たな安全保障体制」が誕生すれば中国は困ったことになるだろう。


ブチャ虐殺はウクライナ軍による犯行、犠牲者はロシア軍への協力者=米軍事アナリスト

2022年4月7日, 15:00

ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャで起こった虐殺はウクライナ軍による犯行である。スコット・リッター元国連大量破壊兵器査察官がウクライナ危機に関するイベントに参加した中で発言した。

リッター氏によると、ロシア軍がブチャに展開していたのは直近の数週間で、地元住民との関係は良好だったという。その証拠に、ウクライナ警察は4月1日にブチャへ向かう際、ロシア軍への協力者を摘発して殲滅すると警告していた。リッター氏はイベントの中で次のように発言した。

ウクライナ側はこのように発言していました。仮にロシア軍に協力すれば、待っているのは死だと。政府高官がこうした発言を行った映像は残っています。その高官はブチャの市民に対し、SNSで次のように呼びかけました。「自宅にいてください、国家警察が摘発を行います。パニックにならずに自宅にいてください」と。

ウクライナの懲罰部隊は路上で市民に発砲し、ロシア軍に協力していた市民の自宅に押し入るなどしていたという。

昨日, 22:41

我々のもとにはウクライナ警察が、具体的にはアゾフのグループが「サファリ」(狩猟)を始めると豪語している動画が残っています。ブチャに展開したウクライナ警察特殊部隊の名称がまさに「サファリ」でした。そして彼らはサファリを実行し、ロシア軍への協力者を摘発したのです。摘発とは殺害を意味します。拘束するのではなく殺害です。そして彼らはこれを実行しています。その後、彼らは市内を練り歩き、遺体の撮影を行い、ロシア人がやったのだと豪語してるのです。

またリッター氏は遺体に白い布が結われていることに着目した。これは市民がロシア軍に投降したことを示しているという。また、遺体近くには緑色の箱が映されているケースがあるが、これはロシア軍による食料供給の箱とされている。さらに、メキシコのジャーナリストが4月1日、現地に到着して撮影していたところ、まだ鮮血が流れていたと証言している。これは市民が撮影直前に殺害されたことを意味している。こうした状況を踏まえ、ブチャで起こった虐殺の真相はウクライナ国家警察による親露派住民の粛清だとリッター氏は結論付けている。

ロシア国防省は3日、ウクライナ・キエフ州ブチャにおける民間人殺害について、ウクライナ側による非難を否定した。ロシア国防省では、ロシア軍は3月30日に完全にブチャから撤退しており、「犯罪を証明するもの」は、ウクライナ安全保障当局職員が同市に到着してから4日後になってようやく表に出たとしている。ロシア国防省はまた、3月31日のブチャ市のフェドルク市長がビデオメッセージの中で市内にロシア兵はいないと発言したこと、さらに市街における一般市民に対する銃撃について何の言及もなかったことを強調している。


2022.04.7

キーウ州ホストーメリ、ロシア軍のスナイパーが民間人を標的にして訓練か

キーウ州ブチャの隣町ホストーメリで民間人11人の遺体が見つかり、地元住民は「ロシア軍のスナイパーが民間人を標的にして訓練を行なった」と証言しているらしい。

ロシア軍によるジェノサイド(大量虐殺)が発生したブチャでは民間人400人以上の遺体が回収され、ウクライナのベネディクトワ検事総長が「ブチャより酷い」と明かしたボロディアンカでは民間人が何百人も行方不明だと報じられており、ウクライナ軍が抵抗を続けるマリウポリでは「ロシア軍が無差別攻撃による民間人への被害を隠すため移動式火葬装置で遺体の焼却を始めている」と報告されている。

さらにブチャの隣町ホストーメリではガレージの中で民間人11人の遺体が見つかり、地元住民は「ロシア軍のスナイパーが民間人を標的にして訓練を行い遺体をガレージに引きずり込んだ」と証言、これが事実ならロシア軍とは正規軍ではなく「無法者の集まり」と呼ぶのが相応しい。

因みに露国営メディアのRIAノーボスチは6日、ロシアはウクライナで何故戦っているのかという記事の中で「我々は自国民を殺した遺体で欧米向けのフェイクニュースを作るようなことはしない。我々は嘘をつかないし思想の自由や言論の自由もある。我々は異なる考え方をもつ人々を投獄したり拷問したり殺したりしないが、ウクライナが熱心に信奉する西側諸国にこのような自由はない。ロシアが実行しているウクライナ人を救うための戦いは正に人間愛だ」と主張しており、ロシアはきっと別次元の事象でも観測しているのだろう。


投稿日: 2022-04-07 投稿者: hidezumi

ロシア国債のデフォルトが確定的に

ロシア政府が国債の利払いをルーブルで行なった。まだ猶予期間があるそうだが契約違反とみなされるためロシア国債の「デフォルト」が確定的となった。NHK日曜討論(4月3日)の時点では「5月25日が節目では」と言われていたのだからこの数日で急速に状況が変わったことになる。

普通は国債がデフォルトすると裁判が起こされる。裁判が全て片付くまでロシアは国際金融市場には戻れない。だが、ロシアはすでに国際金融市場からは切り離されているためにこれ自体には大した意味はない。ブルームバーグはウクライナでの戦争が終わるまで訴訟に持ち込むことは難しいだろうという。つまり国債保有者はルーブルを甘受するか泣き寝入りするかという二者択一を迫られることになる。

ロシアが契約違反を30日以内に是正しない限りデフォルトになるというのが国際的な常識だ。だが、NRIの記事によると今回は格付け機関が「格付けそのものを停止」しているそうだ。つまりレフリーが審判しないという状態になっている。つまり正確にはカギカッコ付きで「デフォルト」と表現されなければならないという不思議な状態になっている。

さらにロシアは「自分たちは支払うつもりがあったのに支払いを妨害された」と主張することができる。この事実だけを抜き出せば間違ったことは言っていない。つまり仮に裁判が起こされたとしても「これはアメリカのせいだ」と言えてしまうのである。

時事通信によるとロシアのペスコフ大統領報道官は6日の声明で「理論的にはデフォルトの状況が作り出されるかもしれないが、純粋に人為的なものだ。真のデフォルトではない」と強調したとされる。「人為的デフォルト」という新しい概念を持ち出しのちに裁判になったとしても「アメリカや西側の制裁のせいだ」と抗弁する道を残しているのだろう。

実際問題としてプーチン政権や後継政権が続く限りロシア政府が国際社会から信頼されることはないのだろう。テクニカルにはデフォルトではないという不思議な状態が続くことになる。ロシアのウクライナ侵攻は宣戦布告なき「戦争」に対してウクライナが加盟していないNATOが支援するという極めて不思議な構図を生み出した。さらに、安全を保障するはずの国連常任理事国が自ら戦争犯罪・人道犯罪状態を作り出すという異常事態に発展した。さらに、国際金融市場にも極めて稀で先行きの見えない状況を作り出したことになる。

全てが規格外の出来事であり、誰も先行きを見通すことができないのだ。


それではプーチンの戦争は止まらない...欧州がいまでも「ロシア産LNG」に大金を払い続ける根本原因 「侵略戦争にEUが資金提供している」と言われても仕方ない

2022/04/05 17:00

前田 雄大元外務省職員、エネルギーアナリスト

欧州は日米と連携してロシアに経済制裁を科しているが、天然ガスは対象外としている。なぜ天然ガスの輸入をやめないのか。エネルギーアナリストの前田雄大さんは「欧州は政策的に脱炭素を進めてきたため、ロシアへの依存か高まってしまった。無自覚に『プーチンの罠』にはまっている状態だ」という--。

脱炭素に全集中...欧州がハマった「プーチンの罠」

ロシアのウクライナ侵攻は現代社会が抱えるさまざまな問題を露見させた。安全保障はその代表格であるが、社会・経済システムに大きな影響を与える点で見過ごせないのが資源・エネルギーの論点だ。

対ロ経済制裁の中で、アメリカはロシア産の原油・天然ガスの禁輸を3月8日に発表した。もちろん、経済制裁は西側が連帯をして行わなければ効果は薄くなる。ブリンケン米国務長官は、欧州各国と事前に調整を試み、ロシアに対する資源・エネルギーの制裁でも欧州側に協力を求めた。

しかし、この対ロ制裁に同調できたのはイギリスだけだった。資産凍結や国際決済システムからの排除といった制裁では足並みを揃えることができたにもかかわらず、エネルギー分野だけは不十分な形になった。これには明確な理由がある。

EU各国は資源・エネルギー分野でロシアとの関係を断ち切れない弱みがある。これに深く関係しているのが、欧州の焦り過ぎた脱炭素戦略だ。欧州はある意味で「プーチンの罠(わな)」に完全にはまったと言っていい。それも無自覚のままに――。

脱炭素の主導権を握るためにロシア依存を進めた欧州

なぜ欧州は、国家存立の要であるエネルギーに関して、ロシアに致命的な弱みを握られることになったのだろうか。改めて振り返ると、資源・エネルギーに関するロシアと欧州の関係は伝統的に結びつきが非常に強いことがわかる。

ロシア経済の主軸は化石燃料セクターだ。ロシアの輸出品目を見ると、資源・エネルギー関係で輸出額の半分を占めている。お得意さまは欧州だ。また原油にいたっては半分弱の輸出は欧州向けに出されている。したがって、ロシア経済を欧州が支えているといってもあながち間違いではない。

ウクライナのゼレンスキー大統領は3月17日、ドイツ連邦議会での演説でドイツ政府の対応を一部強い口調で非難した。それはドイツがロシアから天然ガスを直接買い受けるために敷設したパイプライン、ノルドストリーム2を念頭に置いたものだ。要は、ドイツがロシアに資源・エネルギーを得る対価として支払った資金が、ウクライナ侵攻にも使われたというロジックだ。

欧州から見てもロシア産の資源・エネルギー依存は高い。天然ガスについては4割、ドイツでは5割以上を占めている。この面では欧州のエネルギー事情をロシアが支えてきたといっても、こちらもあながち間違いではない。

実際のところ、この関係性は最近になって構築されたわけではない。冷戦時代から段階的に構築されてきた。

ロシアはソ連時代の1970年代、シベリアのガス田開発と欧州と接続するパイプラインの開発で主要生産国・輸出国になった。1984年に建設されたウレンゴイ-ウージュホロド・パイプライン、1996年に稼働したベラルーシとポーランドを経由するヤマル・パイプライン、バルト海を通ってドイツと結ぶノルド・ストリームで、ロシアは天然ガスを欧州に供給。トルコ向けのブルー・ストリーム(2003年稼働)、トルコと南東ヨーロッパ向けのトルコ・ストリーム(2020年稼働)もある。

今回のウクライナ侵攻は、北大西洋条約機構(NATO)の東側拡大がロシアを刺激したという見方が安全保障の専門家から指摘されることがある。だが、資源・エネルギー分野で言えば、NATO対ワルシャワ条約機構という明確な構図が存在した冷戦期にも欧州はソ連に依存してきたのだ。安全保障は対立するものの経済面では関係性を構築することでバランスを取ってきたという部分もあるのだろう。

冷戦構図の終焉(しゅうえん)とともに、今日に至るまで、世界はグローバリズムを標榜(ひょうぼう)し、国際協調、相互依存によって「平和」と経済的な安定を実現させてきた。ここ数年、国際協調主義から自国第一主義への転換が見られるようになりバランスは揺らいでいる。

そのトリガーこそ、欧州主導の急進的な脱炭素戦略だった。

欧州の焦りが生み出した「ロシア頼みの脱炭素戦略」

気候変動対策をはじめ、欧州はこれまで脱炭素の国際的な旗振り役を担ってきた。各国で事情は異なるが、再エネ比率の拡大に努め、脱炭素転換を世界に先んじて実行してきた。

世界的なメガトレンドになった背景には、気候変動の問題が現実の経済・社会に悪影響を及ぼすようになったこともある。だが、再生可能エネルギーの国際的な価格下落と、脱炭素が経済性を持ってきたことが最大の要因だろう。先行者の利益を得たい欧州にとっては、世界的に吹いた脱炭素の風は大いにプラスとなった。

ルール作りでも、経済的にも主導権を取りたい欧州は一貫してあるブランディングを開始する。それは「CO2を出さないことの正義」という新たな価値観だ。これは脱炭素転換で先行する欧州にとっては非常に都合がいい。気候変動問題はCO2の排出が主要因と考えられている。この欧州の「CO2無排出正義」は、地球環境の保護、国際社会への貢献という大義名分を与えるからだ。

他国が異を唱えるものなら、「気候変動問題は喫緊の課題であるのに、経済成長を優先する姿勢は果たして正しいのか」と欧州勢は反論できる。もちろん、国際貢献の文脈もなくはない。欧州の世論が気候変動対策を支持する土壌があるのも事実だ。

しかし、国際交渉に携わった現場で筆者が見てきたのは、欧州の政策展開は国際貢献の文脈を超えて、自国・自地域にとって都合のよいルール・体制作りを行いたいという主導権争いを色濃くしたアグレッシブな姿勢だった。

特にパリ協定が発足してから、その傾向は一層強くなった。パリ協定はCO2無排出正義にお墨付きを与える枠組みであるが、アメリカや中国の企業を中心に、脱炭素分野で猛追を始めたことが欧州を焦(あせ)らせた。

日本の石炭火力、ハイブリッド車の排除に躍起に

2019年に一度は調整に失敗した「2050年カーボンニュートラル」だが、EUは2020年に合意し、他国に先駆けて方針を打ち出した。欧州はこうして、後戻りでいない一本道に自ら足を踏み入れた。

3月15日にEU加盟国の間で基本合意に至った国境炭素調整措置(CBAM)の導入は、欧州の脱炭素が「気候変動対策」に留(とど)まらないことを明確に示している。

CBAMは、環境規制の緩い国からの輸入品に事実上の関税をかける措置だ。CO2無排出正義を掲げつつ、EU域内の産業を保護するもので、気候変動対策でも、戦後の国際秩序とも言える自由貿易の原則から言っても問題となり得る措置だ。

これは自動車分野にも当てはまる。2015年のディーゼルエンジンの排出規制不正の結果、燃費のいい車の競争で日本に敗れた欧州勢は、CO2無排出正義を掲げて反撃に出る。

2021年7月、欧州委員会は2035年に欧州で販売される新車について、CO2の排出を認めない方針を発表した。日本勢が得意とするハイブリッド車は「CO2を出す」という理由だけで欧州市場から排除されることになった。

こうしたなりふり構わない脱炭素方針は、エネルギーセクターでも見られた。標的となったのが石炭火力発電所だ。化石燃料の中でも石炭はCO2の排出が多く、気候変動対策上も低減させる必要性が叫ばれた。2017年11月にはイギリスなどの有志国により脱石炭連盟が発足し、その傾向は加速していった。

ここでも日本は大きなあおりを受ける。日本は、相対的にCO2排出の少ない高効率石炭火力を得意としているが、石炭火力は一律に問題視されるようになった。2021年末の気候変動に関する国際会議(COP26)で、締約国は石炭火力を段階的に削減することで合意した。もちろん、その強烈な旗振り役を担ったのは欧州だ。

軍事面だけではない...エネルギー分野にもあった戦争の引き金

すべて欧州の思い描いた通りに脱炭素シフトが進むように見えた。しかし、この急激な脱炭素シフトによって、欧州とロシアのバランスを崩すことになる。

先述の通り、ロシアは天然ガスや石油といった化石燃料セクターで経済がもっている。欧州はロシア産の化石燃料を購入するかたちで、ロシア経済を支えてきた。

しかし再エネが普及すれば、当然ロシアからの化石燃料輸入は減る。それだけでなく、CO2無排出を掲げる欧州が、脱炭素を世界に各国に求めるほど、化石燃料に依存するロシアを圧迫することになる。

ただでさえ、年金制度改革で国内経済の不安をかかえるプーチン政権にとって、これは長年培ってきた欧州との間のバランスを崩す一手であったことは間違いがない。

2021年にロシアが欧州向けの天然ガスの供給を絞ったことは、これとは無縁ではないだろう。ロシアが、天然ガス供給を政治的に利用したことで、欧州は急遽エネルギー不足に見舞われた。

電力価格が高騰し、多くの新電力が各国で倒産したほか、産業界にも影響が波及した。これは欧州にとどまらず、世界的な天然ガス価格の高騰を招き、それと連動する形で原油、石炭の価格も大きく上昇した。また石炭価格の高騰は、中国国内の電力不足の原因となるなど、世界のサプライチェーンにも影響を及ぼすまでになった。

ロシアはこうした一連のドミノ倒しを見て、自国のもつ影響力を再認識したに違いない。

ロシア産の天然ガスに依存するようになった根本原因

なぜロシアが供給を絞っただけで、欧州はエネルギー危機となったのだろうか。その原因もまた、欧州自身が進めた急激な脱炭素戦略と言っていい。野心が招いた結果とも言える。

EUの脱炭素戦略の内実は、脱石炭というエネルギー政策だ。世界にCO2無排出正義を掲げるに際し、欧州は先手を打ってここ数年、脱石炭を一気に加速させた。イギリスは2024年に石炭火力全廃を発表、ドイツも2030年までの段階的廃止を決定した。

もちろん、風力や地熱、水素といった再生可能エネルギーに代替させているが、すべては賄えない。そこで、化石燃料ではあるが、石炭に比べてCO2排出が少ない天然ガスに依存せざるを得なくなったわけだ。

こうして脱炭素への移行期における燃料として、天然ガスの重要性は高まった。隣国で、調達コストが安価で済むロシア産天然ガスが、欧州にとっては最適だった。

天然ガスであっても当然CO2は出る。欧州は脱炭素時代の移行期の方策と考えられたハイブリッド車は排除する方針だが、発電に関してはCO2の排出を許した。この点はいかにも欧州の二面性を象徴している。

いずれにしても、欧州は急進的な脱炭素転換に伴うエネルギーのひずみを埋める役割を、ロシア産の天然ガスに求め、依存度を高めていった。欧州が脱炭素で米中などとの競争を制し、主導権を握り続けるためにはロシアが不可欠なものだった。

ロシアのウクライナ侵攻後も、EUは天然ガスの供給に依存している。対ロシアで結束する形を示しながらも、欧州各国の喉元はプーチンに刃を突き付けられた状態は今も継続していると言っていい。

後戻りはできない脱炭素の隘路

振り返れば、アメリカのトランプ政権はロシア産の天然ガスに依存を強めるドイツに警鐘を鳴らしてきた。メルケル政権はリスクを承知のうえで、戦略的な選択を採ったと見るのが妥当だろう。EUの要、そして脱炭素のトップランナーであるからこそ、ロシアのプーチンに頼らざるを得なかったのだ。

EUはリスクを承知で何を優先したのか。それは脱炭素推進による経済復興であり、今後の脱炭素市場における自国・自地域にとって有利となるルール形成だ。日本や米中に対する産業競争力の優位性を築き上げることを選んだわけだ。新型コロナからの復興という論点も加わり、2021年以降に一気に加速させた。取れる利益が見えたときに、リスクが霞(かす)んで見えてしまった。

そこにウクライナ戦争は勃発(ぼっぱつ)した。ソ連の冷静時代から続いてきた相互依存のゲーム理論が崩れることは当面はない、という読み違いだろう。もはや欧州はロシアの天然ガスなしでは機能しない。もし供給を止められても、中国がいる――。プーチンのこうした打算は侵攻直前の中ロ首脳会談の内容からもうかがえる(もちろん誤算も多々あっただろうが)。

安価な天然ガスという餌に、野心的な欧州は見事に誘い込まれた。先述の通り、脱炭素は後戻りが許されない一方通行の隘路(あいろ)だ。急激な脱炭素戦略によって、欧州は自らプーチンの罠にはまっていった格好となったと言える。

戦争が終わってもエネルギー問題に悩まされることになる

アメリカはこの期に乗じて国産シェールガスの増産をもくろみ、欧州向けの輸出量を増やしている。それでも、地つながりのパイプラインで輸送した低コストのロシア産天然ガスに価格で対抗することは難しい。ウクライナ戦争が終わったとしても、欧州はエネルギー不足、調達先の確保や価格高騰に悩まされ続けることになる。

特に深刻なのは、ドイツだろう。ドイツは欧州各国の中でも、急進的な脱石炭、脱原発方針を掲げ、転換を図ってきた。特にメルケル政権の次に発足をした現政権は、メルケル政権よりもさらに高めの気候変動対策を掲げ、世論の支持を取り付けてきた背景がある。そのため、もはやアイデンティティーにもなったその方策を下ろすことは容易ではない。

ノルド・ストリーム2という天然ガスのパイプライン敷設計画は、さすがに承認手続きを停止せざるを得なくなったうえ、脱炭素方針の見直しについて、ハーベック経済・気候保護相が、現時点での方針見直しに否定的な見解を述べる一方、「タブー」なしに妥当性を検討する姿勢を示すなど、すでに旗下ろしの兆候は見せつつある。実際、すでにドイツでは休止中だった石炭火力が再稼働した。

各国の思惑がうごめく脱炭素戦線ではあるが、その移行期はバランスが崩れるものであり、こうしたリスクの急な顕在化も生じるのも特徴だろう。単にCO2を減らすという観点だけでなく、各国の綱引きやゲームの潮目なども意識しながら取り組まなければならない。

脱炭素は単なる環境対策ではない。日本がこれまで議論を避けてきた、国の根幹をなす安全保障の問題なのだということが、欧州の流転から読み解けよう。